ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の設計作業は進められている

『タス通信』より
2017年6月28日12時17分配信
【ロシアは将来ヘリコプター母艦「プリボイ」の設計作業を始めている】
サンクトペテルブルク、6月28日/タス通信
将来ヘリコプター母艦「プリボイ」の設計作業は始まっており、既知の造船所でこのタイプの艦を建造できる。
『統合造船業営団』軍事造船担当副総裁イーゴリ・ポノマリョフはタス通信へ話した。
「統合造船業営団の企業は、このプロジェクトの作業へ着手しております:プロジェクトは精密化され、全ての基礎技術を会得します。
統合造船業営団は、このような艦を建造する用意のある建造所を有しております:近代化後の『北方造船所』、更には『バルト工場』と『セヴマシュ』。
これらは、大型水上艦の建造の豊富な経験を有しています」
彼は話した。
以前、『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフは、タス通信のインタビューに対し、ヘリコプター母艦「プリボイ」の建造は、新たな『2018-2025年の国家軍備プログラム』に組み込まれていると述べた。
汎用揚陸艦「プリボイ」の排水量14000トンのモデルは、フォーラム『アルミヤ-2015』の海軍展示場で初めて提示された。
(2017年)5月、ロシア連邦国防次官ユーリー・ボリソフは、最初のロシアのヘリコプター母艦は2022年頃に出現すると報道陣へ伝えた。
彼は、艦のタイプは明らかにしなかった。
[汎用揚陸艦]
タス通信が『クルイロフ国立科学センター』総取締役で科学技術博士、教授のウラジーミル・ニキーチンから伝えられたように、センターは、『2018-2025年の国家軍備プログラム』で実現できる汎用揚陸艦の概念設計を開発している。
彼によると、新たなロシアの汎用揚陸艦のクルイロフセンターによる概念案は、フランスの軍艦「ミストラル」型よりも優れている。
「設計作業中に我々は、この艦による揚陸部隊の上陸任務の遂行に一番最適な革新的な技術的解決策を適用しました。
それは、船体の形状、そして電波電子機器に属しております。
我々のプロジェクトで提示されるのは、例えばミストラル以外のエンジンの他の可能性です」
ニキーチンは話した。
「汎用揚陸艦プリボイは、我々の海軍の艦のような特殊な運用といったロシアの条件を考慮に入れて作成されています。
その全体的な概念は、フォーラム"アルミヤ-2016"での最初の提示以来、変わっていませんが、発注者の希望に応じ、艦の設計に追加して組み込むことが出来ます。
これは、特に、艦首のランプ或いはミサイル複合体の展開に適用されます」
センターのトップは説明した。
ニキーチンによると、将来汎用揚陸艦「プリボイ」のモデルは、6月28日から始まったサンクトペテルブルクの第8回国際海軍サロン(IMDS-2017)のエキシビションセンターで提示される。
将来汎用揚陸艦「プリボイ」は、海洋揚陸作戦中に車両を受け入れ、海上を輸送、他の海軍部隊と連携して無防備の海岸へ上陸させる為に意図されている。
また、それは海上軍事輸送を提供し、防衛機雷及び障害物網、更には水中位置観察システムの為の水中音響ブイの設置へ参加できる。
軍艦「プリボイ」の基準排水量は23000トン、全量200メートル、幅34メートル、最大速力20ノット、経済速力14ノット、航続距離6000海里、自立行動期間30日。
艦は主動力装置としてガスタービンを装備する。
艦の乗組員は約400名、500名から900名の海洋揚陸部隊、約50両の歩兵戦闘車両と10両までの戦車を輸送できる。
2011年6月にロシアはフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスはウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。
2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンとフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]
フランスはロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]
その後、2隻の「ミストラル」級はエジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)
「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。

「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。

一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター母艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター母艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]
[ロシア海軍の為の将来大型揚陸艦は複数のヴァージョンが設計されている]
[ロシア海軍の為の新たなヘリコプター揚陸艦の設計は進められている]
[汎用揚陸ヘリコプター母艦「ラヴィーナ」]
満載排水量:24000トン
全長:180メートル
幅:30メートル
吃水:5メートル
速力:22ノット
航続距離:5000海里
自立行動期間:60日
乗員:320名
積載能力:海軍歩兵隊員500名、各種戦闘車両50両
搭載機:ヘリコプター×16機(Ka-29、Ka-52K、Ka-27)
搭載艇:揚陸艇×6隻
兵装:AK-176MA 76mm単装砲×1基
高射ミサイル砲複合体「パーンツィリ-M」×2基
高射砲複合体「パラシ」×3基
AK-630M2「ドゥエト」30mm機関砲×2基
この概念設計案「ラヴィーナ」をベースにして、ロシア海軍向けとなる汎用ヘリコプター揚陸艦プロジェクト「プリボイ」が設計され、実際に建造されることになります。
汎用揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]

搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。
[ロシア海軍向けの艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランの供給契約は2019年に締結される]
Ka-52K「カトラン」の量産は2020年から開始される予定です。
[ロシア海軍向けの艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランの量産は2020年に始まる]
この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、最近、修復が始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊は修復された戦闘輸送ヘリコプターKa-29を受領する]
「ミストラル」級が配備される予定だったウラジオストク南部ウリス湾では、埠頭の建設が続けられています。
[ウラジオストクのウリス湾ではロシア海軍の大型水上艦(ヘリコプター空母)の為の埠頭の建設が続けられる]

「ロシア版ミストラル」の建造は『2018-2025年の国家軍備プログラム』の枠組みで開始される予定です。
[ロシア海軍の為の新たな汎用大型揚陸艦は『2018-2025年の国家軍備プログラム』において建造される]
[ロシア海軍は4隻の汎用ヘリコプター揚陸艦を必要とする]
[ロシア造船業界はロシア海軍の為の汎用ヘリコプター揚陸艦の建造を開始する準備を整えている]
2017年5月末、ロシア連邦国防相代理(国防次官)ユーリー・ボリソフ氏は、1隻目の汎用ヘリコプター母艦は2022年にロシア海軍へ引き渡されると発言しました。
[ミストラル級の代わりとなる新型汎用ヘリコプター母艦の1番艦は2022年にロシア海軍へ就役する]
その後、「ロシア防衛産業の匿名希望の情報提供者」は、揚陸ヘリコプター母艦の建造スケジュールの詳細を明らかにしました。
[ミストラル級の代わりとなる新たな揚陸ヘリコプター母艦2隻は2024年と2026年にロシア海軍へ引き渡される]
[揚陸ヘリコプター母艦]
・1番艦:2020年起工/2024年就役予定
・2番艦:2022年起工/2026年就役予定
揚陸ヘリコプター母艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)となるとの事です。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]
揚陸ヘリコプター母艦が何処の造船所で建造されるのかは未だ決まっていないようですが、最有力候補は、「ミストラル」級2隻の後ろ半分を建造したサンクトペテルブルクの『バルト工場』でしょう。
[ロシア海軍の将来汎用ヘリコプター揚陸艦の建造にはミストラル級の経験が生かされる]

この他にサンクトペテルブルクの『北方造船所』、セヴェロドヴィンスクの『セヴマシュ』も候補に挙がっています。
揚陸ヘリコプター母艦の艦名は未だ明らかにされていませんが(というか、おそらくは未だ決まっていない)、「ミストラル」級に命名される筈だった「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」が筆頭候補のようです。
[ウラジオストクとセヴァストーポリの名はロシア海軍の将来ヘリコプター揚陸艦へ与えられる]
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