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ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2018年に始まる

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『タス通信』より
2017年6月28日13時31分配信
【航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」の修理は2018年に開始される】
サンクトペテルブルク、6月28日/タス通信

航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」の修理は2018年に開始されるが、その費用は未だ決まっていない。
水曜日、国際海軍サロン「IMDS-2017」ロシア海軍副総司令官(軍備担当)ヴィクトール・ブルスク中将は述べた。

「それ(タス通信註:近代化の事)は来年に開始され、北方艦隊の担当ゾーンに位置する企業で実施されます。
価格は未だ決まっておらず、それは計算され、その後に決められます。
それは統合造船業営団の企業の1つになるでしょう」

彼は話した。

「アドミラル・クズネツォフ」は、ロシア唯一の航空母艦である。
同艦は1985年に進水し、1990年に竣工した。
その全長は305メートル、飛行甲板幅は72メートル、満載排水量は59000トン。

「クズネツォフ」は、艦首の甲板下に12基の傾斜発射装置が配置されている有翼ミサイル「グラニート」で武装している。
艦は30機までの戦闘機MiG-29K/KUB及びSu-33に加え、打撃ヘリコプターKa-52K対潜ヘリコプターKa-27、そしてKa-29を搭載する。

昨年、航空母艦地中海への航海中にロシア航空宇宙軍シリア作戦へ参加した。
2016年11月から12月に「クズネツォフ」艦上飛行士は420回の戦闘飛行(この内の117回は夜間)を行ない、1000以上のテロリストの施設を破壊した。


『タス通信』より
2017年6月29日9時10分配信
【航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」は近代化せずに修復される】
サンクトペテルブルク、6月29日/タス通信

ロシア海軍唯一の航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」は近代化せずに修復される。
サンクトペテルブルク第8回国際海軍サロン(IMDS-2017)において、『ネフスキー計画設計局』総取締役セルゲイ・ウラソフ『タス通信』のインタビューに対し、こう話した。

「実施される艦の修理は、複数の種類の機器の交換です」
彼は話した。
ウラソフは、実際には、近い内に控えている作業は近代化とは呼べないと説明した。
「実際には、そうではありません。これは修理です」
彼は、対応する質問に答え、付け加えた。

彼は、修理の具体的な時期は未だ定まっていないが、推定で作業には約2~3年は掛かる事を指摘した。
それは作業量に依るだろう。
航空母艦の(修理)完了は、技術的な摩耗状態により変わってくる。
「今日までに私共は、艦で実施されなければならない作業の技術的設計を行なっており、工場での作業の確固とした時期はまだ定まっておりません。
契約は未だ締結されていませんので」
ウラソフ
は話した。

サンクトペテルブルク国際海軍サロン(IMDS-2017)ロシア海軍副総司令官(軍備担当)ヴィクトール・ブルスク中将が伝えたように、「クズネツォフ」の修理は2018年に始まり、その費用は未だ定まっていない。

「アドミラル・クズネツォフ」は1985年に進水し、1990年に竣工した。
その全長は305メートル、飛行甲板幅は72メートル、満載排水量は59000トン。

昨年、航空母艦地中海への航海中にロシア航空宇宙軍シリア作戦へ参加した。
2016年11月から12月に「クズネツォフ」艦上飛行士は420回の戦闘飛行(この内の117回は夜間)を行ない、1000以上のテロリストの施設を破壊した。



ロシア北方艦隊重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(1991年1月20日就役)は、2016年10月15日から2017年2月8日まで遠距離航海を行ない、地中海東部(シリア沖)まで遠征しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]

2016年11月15日には初めてシリアへの空爆作戦へ参加し、イドリブ県『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃しました。


以後、2017年1月初頭までシリア領内のテロ組織(『イスラム国』『アル=ヌスラ戦線』)への空爆作戦へ参加しました。

無論、「アドミラル・クズネツォフ」にとっては、1991年1月20日の就役以来初の実戦参加となりました。

「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行ない、シリア領内テロ組織の施設1252を破壊しました。



[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ近代化改装]

今後、「アドミラル・クズネツォフ」は近代化改装が行なわれます。

「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装を担当するのは、セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』と、そのムルマンスク支所である『第35艦船修理工場』になるようです。
[ムルマンスクの第35艦船修理工場はロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為にドックを拡張する]
[ロシア海軍唯一の空母(重航空巡洋艦)アドミラル・クズネツォフの近代化改装はムルマンスクで始まり、後にセヴェロドヴィンスクへ移される]
[セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』はロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装を行なう用意がある]

艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』
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『第35艦船修理工場』
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近代化改装の全容は明らかにされていませんが、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理システムなどは新型に変更される事になるでしょう。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により兵装を変更する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな通信システムを受け取る]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは航空隊と戦闘情報管理ステムを近代化する]


「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装に関する情報は、2016年5月以降に何度も出ていますが、改装費用の見積もりは、新しい情報が出るたびに増えています。

2016年5月下旬初出:改装費用数十億ルーブル
主に航空関係艤装に焦点を当てた必要最低限の改装。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年初頭から始まる]

2017年3月初頭初出:改装費用200億ルーブル
対空兵装、電子機器などを新型に換装し、ボイラー4基を交換。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年7月までに始まる]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年5月末から始まるかもしれない]

2017年3月中旬初出:改装費用650億ルーブル(但し、新型機器の設計開発費用300億ルーブルも含む)
兵装(打撃有翼ミサイル複合体も含む)や電子機器の殆ど全てを交換し、寿命も20年延長。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により寿命を20年延長する]

「アドミラル・クズネツォフ」を設計した『ネフスキー計画設計局』は、既に同艦の近代化改装の設計案を完成させています。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の設計案は完成した]

2017年4月下旬、「ロシア防衛産業企業体の匿名の情報提供者」は、「アドミラル・クズネツォフ」が近代化改装で現用の有翼ミサイル複合体「グラニート」汎用垂直発射装置3S-14UKSKへ換装すると発言しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな打撃巡航ミサイル(カリブル、オーニクス、ツィルコン)を装備する]
「グラニート」の換装については、以前にもロシア連邦副首相ドミトリー・ロゴージン氏が言及しています。
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2017年5月、別の「情報提供者」は、「グラニート」の換装については「おそらくは実行されない」と言いました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装で有翼ミサイル複合体グラニートを換装しない?]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の概要が定められた]

「アドミラル・クズネツォフ」の8基のボイラーの内、4基が新品に交換されるのは確実のようですが、この工事は、ムルマンスク近郊のロスリャコヴォに在る第82艦船修理工場大型浮きドックで行なわれる可能性が高いようです。
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第82艦船修理工場は、その大型浮きドックで何度も「アドミラル・クズネツォフ」の修理を行なったことがあります。
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この他、レーダーなどの各種電子機器も近代化するとの事ですから、新型のものに換装される事になるようです。

2017年6月初頭の見積もりによると、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装費用は500億ルーブルです。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装には500億ルーブルの費用が掛かる]

近代化改装を終えた「アドミラル・クズネツォフ」は、少なくとも20年間の就航が可能となります。
つまり、2040年頃までは現役に留まるという事です。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは近代化改装後、少なくとも2040年まで現役に留まる]

以前には「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は2017年から始まる予定でしたが、今回、ロシア海軍副総司令官(軍備担当)ヴィクトール・ブルスク中将は、開始は2018年からになると述べました。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは2017年から近代化改装を開始する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年に始まる]


「アドミラル・クズネツォフ」は、シリア遠征へ出発する前の2016年前半にオーバーホールと部分的な近代化(例えば、新たな艦載機を運用する為の新型システムの装備)を行なっており、現時点において、同艦の状態は、西側が想像する程に悪いものではありません。
[セヴェロドヴィンスク(とムルマンスク)の艦船修理工場は、ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフをシリア軍事作戦へ参加させる為の準備を行なった]

しかしながら、既に就役から26年が経過しているので、そろそろ艦の寿命も限界に達しつつあり(基本的にソ連/ロシアの艦船の寿命は25~30年程度)、今後も使い続けるつもりならば、いずれは大規模な寿命延長工事を行なう必要が有ります。
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