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新型原子力砕氷船がサンクトペテルブルクのバルト工場で建造される

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『中央海軍ポータル(フロートコム)』より。
【『バルト工場』は新世代原子力砕氷船を建造する】
2012年8月6日

ロシア連邦国家発注公式サイトの公開委員会議事録によると、2012年8月3日(金曜日)、ロスアトム取締役会は、有限会社 『バルト工場-造船』を、出力60メガワットの新世代原子力砕氷船のトップ船の建造契約履行会社として承認した。

2012年7月3日、連邦国家単一企業「アトムフロート」は、新型の核動力装置RITM-200を搭載するプロジェクト22220原子力砕氷船のトップ船の建造の為の入札を行なうと発表した。
契約額は369億5900万ルーブルである。

ただ一社のみ入札申請で認可されたのは、有限会社 『バルト工場-造船』である。
従って、連邦政府法No.94-FZにより、8月3日、競争入札は不成立と判断され、唯一の会社との契約締結が発表された。

契約に基づき、有限会社『バルト工場-造船』は、2017年12月30日までに「ターンキー」の砕氷船を建造し、ムルマンスク連邦国家単一企業「アトムフロート」へ納入する。
承認されたスケジュールによれば、砕氷船の起工は2013年11月、進水は2015年11月の予定である。

作業範囲には、次のものが含まれる:開発技術文書、砕氷船の建造(原子力動力装置の設置を含む)、必要な全ての設備の同船への提供、進水、国家受領委員会による同船の係留及び航海及び砕氷試験の準備。

プロジェクト22220砕氷船LK-60は、世界で最大かつ最も強力な砕氷船となる。
その全長は173.3m、幅34m、設計吃水10.5m、最少作業吃水8.55m、計画排水量33540tである。

砕氷船には、出力175メガワットの原子炉RITM-200のペアを主動力源とする2基の原子力動力装置が提供される。

2つのドックで建造される船は、北極圏エリア、更には、極地の河川の双方に適応している。
砕氷船は、北極海西方:バレンツ海ペチョラ川及びカーラ海、更には、より浅いエニセイ川及びオビ湾の河口付近でも作業を行なえる。

「新世代の砕氷船がバルチースキー・ザヴォードで建造されるのは偶然ではありません」
有限会社 『バルト工場-造船』総取締役アレクサンドル・ヴォズネセンスキーは述べた。
「まず第一に、我が社は、過去50年間において、このような船を建造できるロシアで唯一の企業です。
第二に、60メガワットもの出力を有する原子力砕氷船を建造できるのは、我が社のみであります。
第三に、我が社は、現在、ロシア原子力技術監督局からLK-60建造の認可を受けています」


更に注目すべきは、この契約が『バルト工場』にとって最大のものであり、同社の戦略的な財務状態の回復にとって重要な役割を果たす事である。




現在、ロシアは、6隻の原子力砕氷船を運航しています。

『ロスアトム公式サイト』より
【原子力砕氷船隊】

原子力砕氷船「ロシア」(アルクチカ型、23000t):1985年就役
原子力砕氷船「ソヴィェツキー・ソユーズ」(アルクチカ型、23000t):1989年就役
原子力砕氷船「タイミール」(タイミール型、21000t):1989年就役
原子力砕氷船「ヴァイガチ」(タイミール型、21000t):1990年就役
原子力砕氷船「ヤーマル」(アルクチカ型、23000t):1992年就役
原子力砕氷船「50リェート・ポべードゥィ」(アルクチカ型、25168t):2007年就役

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この他、砕氷能力を有する原子力艀コンテナ輸送船「セヴモルプーチ」(1989年就役、61880t)が運航されています。
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アルクチカ型の1、2番船は既に退役しています。

アルクチカ型2番船「シヴィーリ」
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アルクチカ型は海洋砕氷船、タイミール型は河川砕氷船ですが、新型のプロジェクト22220は、この両タイプを統合した両用砕氷船となります。
[原子力砕氷船「アルクチカ」級]

今回の記事によると、プロジェクト22220原子力砕氷船LK-60の建造に当たり、発注者の「アトムフロート」(ロスアトム)は、いちおう公開入札を行なったようですが、応募してきた会社が 『バルト工場-造船』だけだったので、自動的に同社が落札したという事のようです。
言わば「出来レース」ですが、そもそも、今のロシアで、原子力砕氷船の建造が可能な造船所が 『バルト工場-造船』しか存在しないので、当然の結果でしょう。
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新世代原子力砕氷船プロジェクト22220の原子炉は、これも新開発のRITM-200になります。
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ロシア海軍は、新世代の原子力駆逐艦(14000t級)原子力航空母艦(60000t級)の建造計画を立案中ですが、これらの原子力水上艦にも、RITM-200の改良型が搭載されるのでしょうか。
[ロシア海軍新世代駆逐艦の建造計画は現司令部に承認された]
[ロシアは新たな駆逐艦及び巡洋艦及び空母の建造計画を続行する]
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