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プロジェクト11356Rフリゲート後期建造艦3隻の内、2隻はインドへ売却され、1隻はロシア海軍の為に完成する

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『タス通信』より
2017年8月23日10時12分配信
【『統合造船業営団』は、ロシア連邦海軍の為に起工されたプロジェクト11356フリゲート2隻をインドの為に完成させる】
クビンカ/モスクワ州/8月23日/タス通信

当初は黒海艦隊の為に沿バルト造船工場『ヤンターリ』で起工された2隻のプロジェクト11356フリゲートは、インドの為に完成させる。
『タス通信』『統合造船業営団』副総裁(軍事造船担当)イ―ゴリ・ポノマリョフより伝えられた。

「新たなガスタービンエンジンを有する2隻の艦はインド側の為に完成させ、そして1隻はロシア海軍の為に完成させます」
彼は話し、沿バルト造船工場『ヤンターリ』で建造されるプロジェクト11356フリゲートの後期建造艦3隻の運命は、ロシア及びインド政府間の合意により定められた事を強調した。

「私共は、この作業(『ヤンターリ』がプロジェクト11356艦3隻を完成させる)の終了を望んでおり、ロシア海軍は、少なくとも2隻の同プロジェクトフリゲートの発注を決定します」
『統合造船業営団』
副総裁は話した。

現在、インドへの4隻のプロジェクト11356フリゲートの供給の為の交渉が進められている。
以前、『ロシアン・テクノロジー』国際協力及び地域政策担当取締役ヴィクトール・クラドフは、計画される契約は「2プラス2」方式により実現すると述べた:2隻のフリゲートロシアで製造し、インドへ供給され、2隻の艦はインド造船業界の国内造船所の1つでの建造が計画されている。
その後、連邦政府軍事技術協力サービスは、これがカリーニングラード工場『ヤンターリ』インド『ゴア造船所』についての話であると説明した。

以前、黒海艦隊の為にカリーニングラードで起工された3隻の艦の船体は、インドフリゲート建造の為の使用が意図されていた。
しかし、6月、ロシア海軍副総司令官ヴィクトール・ブルスクは、これらのフリゲートロシア連邦海軍の為に完成すると述べた。

プロジェクト11356艦の排水量は約4000トン、速力は30ノットに達し、自立航行期間は30日間である。
黒海艦隊の為に、現在、このような艦は3隻が建造されている。



[アドミラル・グリゴロヴィチ型フリゲート]

プロジェクト11356R警備艦(フリゲート)は、インド海軍向けとして計6隻が建造された「タルワー」級フリゲートロシア海軍向けヴァージョンです。
[「タルワー」級(プロジェクト1135.6)]
[プロジェクト11356(タルワー級)の装備]
[プロジェクト11356R(改タルワー級)フリゲート]

プロジェクト11356Rの1番艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」は、2010年12月18日に起工され、2014年3月14日に進水、2016年3月11日に就役しました。
[プロジェクト11356R警備艦(フリゲート)1番艦アドミラル・グリゴロヴィチはロシア海軍へ就役し、黒海艦隊へ編入された]
2016年6月に黒海艦隊基地へ回航された後は度々地中海東部へ進出しています。

2番艦「アドミラル・エッセン」は2011年7月8日に起工、2014年11月7日に進水、2016年6月7日に就役しました。
[第2のプロジェクト11356R警備艦(フリゲート)アドミラル・エッセンはロシア海軍へ就役した]
2017年4月末に黒海艦隊基地へ向けて出航し、5月中旬には地中海東部へ到達しました。

2017年5月末と6月下旬には、シリアISIL(イラク・レバントのイスラム国)施設へ有翼ミサイル「カリブル」を発射しています。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦(フリゲート)アドミラル・エッセンと潜水艦クラスノダールはパルミラのISIL(イラク・レバントのイスラム国)施設へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート2隻と潜水艦1隻はシリアのハマー県のISIL(イラク・レバントのイスラム国)施設へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

3番艦「アドミラル・マカロフ」は2012年2月29日に起工、2015年9月2日に進水し、2016年7月末から洋上試験が行われています。
2017年秋にロシア海軍へ引き渡され、今年末までに黒海艦隊基地へ到着する予定です。
[ロシア海軍の最新警備艦(フリゲート)アドミラル・マカロフは2017年11月に黒海艦隊基地へ到着する]


4番艦「アドミラル・ブタコフ」は2013年7月12日に、5番艦「アドミラル・イストミン」は2013年11月15日に起工されました。

6番艦「アドミラル・コルニロフ」は、まだ公式には起工されていませんが、既に船体は製造されているようです。

「アドミラル・ブタコフ」は2016年3月2日に造船台から出され、現在は岸壁に係留されています。

4番艦以降の3隻は、ウクライナからのガスタービンエンジンの供給問題により建造が中断しました。
[ガスタービンエンジン代替問題]
ソ連/ロシア艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシア「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、ウクライナ「ゾーリャ機械設計」が関わっており、エンジンの主要パーツはロシアで製造し、最終組立は「ゾーリャ機械設計」で行なわれていたのですが、2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナロシアの関係も悪化し、ガスタービン生産の分業体制も瓦解しました。

この為、2016年初春頃からインドへの売却交渉が行なわれ、2017年2月にはインドへの売却が決まったと報じられました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為に建造されたプロジェクト11356Rフリゲートの4番艦と5番艦はインドへ売却される]

その後、プロジェクト11356Rの後期建造艦3隻は、ロシア海軍向けとして建造が再開されると報じられました。
[ロシア海軍向けのプロジェクト11356Rフリゲート後期建造艦3隻の建造工事は2018年に再開される]
[ロシア海軍向けのプロジェクト11356Rフリゲート後期建造艦3隻は黒海艦隊の為に完成する]

プロジェクト11356Rの前期建造艦3隻は、ガスタービン集合体M7N1(巡航用ガスタービンDS-71ブースト用ガスタービンDT-59から成るユニット)を搭載していましたが、後期建造艦3隻は、出力14000馬力のガスタービンエンジンM70FRU4基によるCOGAG(COmbined Gas turbine And Gas turbine)方式となるようです。

しかし結局、後期建造艦3隻の内、2隻をインドへ売却し、1隻はロシア海軍向けに完成させる事になりました。

おそらくは、工事が進んでいる4番艦「アドミラル・ブタコフ」と5番艦「アドミラル・イストミン」インドへ売却し、6番艦「アドミラル・コルニロフ」ロシア海軍向けとして完成する事になるでしょう。

「アドミラル・ブタコフ」
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「アドミラル・イストミン」
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この3隻の後に、ロシア海軍向けとして更に2隻の11356Rが追加建造される事になるようです。
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