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ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装はムルマンスク艦船修理工場で2018年から始まる

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2017年9月9日10時8分配信
【情報提供者は航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」の修理開始が何時になるのかについて話した】
サンクトペテルブルク、9月9日-ロシア通信社ノーボスチ

重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」の修理は、2018年にムルマンスク『第35艦船修理工場』(株式会社『艦船修理センター・ズヴェズドーチカ』支所)で始まる。
『ロシア通信社ノーボスチ』防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。

「航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフに関する問題は解決され、その修理はムルマンスクの『第35艦船修理工場』で行なわれます。
来年(2018年)の初めには、航空巡洋艦は、そのようになるでしょう」

対談者は話した。

彼は、修理作業には少なくとも2年は掛かる事を指摘した。
「修理を2年で行うよう、全力を尽くします」
彼は指摘した。

2016年10月、重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」に率いられ、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」、大型対潜艦「セヴェロモルスク」、「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」支援船で構成される艦船グループは、北東大西洋及び地中海エリアへと出発した。
11月8日からはシリアのテロリストとの戦闘任務を遂行した。

ロシアの航空母艦には、40機以上の航空機とヘリコプターが在った。
(2016年)11月15日、ロシアの歴史上初めて艦上航空機Su-33が実戦で使用された。
2ヶ月間に渡る「アドミラル・クズネツォフ」航空団の海軍航空隊飛行士の戦闘勤務において、420回の戦闘飛行が実施され、この間にシリア国際テロリストの1200以上の施設を撃破した。
シリアの目標には、有翼ミサイルでも打撃が与えられた。
(2017年)2月、艦船グループセヴェロモルスクへ帰投した。



ロシア北方艦隊重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(1991年1月20日就役)は、2016年10月15日から2017年2月8日まで遠距離航海を行ない、地中海東部(シリア沖)まで遠征しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]

2016年11月15日には初めてシリアへの空爆作戦へ参加し、イドリブ県『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃しました。


以後、2017年1月初頭までシリア領内のテロ組織(『イスラム国』『アル=ヌスラ戦線』)への空爆作戦へ参加しました。

無論、「アドミラル・クズネツォフ」にとっては、1991年1月20日の就役以来初の実戦参加となりました。

「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行ない、シリア領内テロ組織の施設1252を破壊しました。



[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ近代化改装]

今後、「アドミラル・クズネツォフ」は近代化改装が行なわれます。

「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装を担当するのは、セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』と、そのムルマンスク支所である『第35艦船修理工場』になるようです。
[ムルマンスクの第35艦船修理工場はロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為にドックを拡張する]
[ロシア海軍唯一の空母(重航空巡洋艦)アドミラル・クズネツォフの近代化改装はムルマンスクで始まり、後にセヴェロドヴィンスクへ移される]
[セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』はロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装を行なう用意がある]

艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』
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『第35艦船修理工場』
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近代化改装の全容は明らかにされていませんが、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理システムなどは新型に変更される事になるでしょう。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により兵装を変更する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな通信システムを受け取る]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは航空隊と戦闘情報管理ステムを近代化する]


「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装に関する情報は、2016年5月以降に何度も出ていますが、改装費用の見積もりは、新しい情報が出るたびに増えています。

2016年5月下旬初出:改装費用数十億ルーブル
主に航空関係艤装に焦点を当てた必要最低限の改装。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年初頭から始まる]

2017年3月初頭初出:改装費用200億ルーブル
対空兵装、電子機器などを新型に換装し、ボイラー4基を交換。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年7月までに始まる]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年5月末から始まるかもしれない]

2017年3月中旬初出:改装費用650億ルーブル(但し、新型機器の設計開発費用300億ルーブルも含む)
兵装(打撃有翼ミサイル複合体も含む)や電子機器の殆ど全てを交換し、寿命も20年延長。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により寿命を20年延長する]

「アドミラル・クズネツォフ」を設計した『ネフスキー計画設計局』は、既に同艦の近代化改装の設計案を完成させています。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の設計案は完成した]

2017年4月下旬、「ロシア防衛産業企業体の匿名の情報提供者」は、「アドミラル・クズネツォフ」が近代化改装で現用の有翼ミサイル複合体「グラニート」汎用垂直発射装置3S-14UKSKへ換装すると発言しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな打撃巡航ミサイル(カリブル、オーニクス、ツィルコン)を装備する]
「グラニート」の換装については、以前にもロシア連邦副首相ドミトリー・ロゴージン氏が言及しています。
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2017年5月、別の「情報提供者」は、「グラニート」の換装については「おそらくは実行されない」と言いました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装で有翼ミサイル複合体グラニートを換装しない?]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の概要が定められた]

「アドミラル・クズネツォフ」の8基のボイラーの内、4基が新品に交換されるのは確実のようですが、この工事は、ムルマンスク近郊のロスリャコヴォに在る第82艦船修理工場大型浮きドックで行なわれる可能性が高いようです。
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第82艦船修理工場は、その大型浮きドックで何度も「アドミラル・クズネツォフ」の修理を行なったことがあります。
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この他、レーダーなどの各種電子機器も近代化するとの事ですから、新型のものに換装される事になるようです。

2017年6月初頭の見積もりによると、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装費用は500億ルーブルです。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装には500億ルーブルの費用が掛かる]

近代化改装を終えた「アドミラル・クズネツォフ」は、少なくとも20年間の就航が可能となります。
つまり、2040年頃までは現役に留まるという事です。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは近代化改装後、少なくとも2040年まで現役に留まる]

以前には「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は2017年から始まる予定でしたが、2017年6月末、ロシア海軍副総司令官(軍備担当)ヴィクトール・ブルスク中将は、開始は2018年からになると述べました。
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2018年に始まる]
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2018年に始まり、3年間に渡る]

今回の記事に登場する「防衛産業企業体の(匿名希望の)情報提供者」も同様の事を言っておりますから、これで確定のようです。

なお、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装を担当するムルマンスク『第35艦船修理工場』には、2017年8月下旬に同艦の為の新造のボイラーが届けられています。
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