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ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装の予算は500億ルーブルよりも減らされる

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『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2017年10月7日9時0分配信
【航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」の修理と近代化の予算はほぼ半分に減らされるかもしれない】
サンクトペテルブルク、10月7日、インタファクス-AVN

軍当局は、重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」(ソ連邦海軍元帥クズネツォフ)の修理と近代化の為に支出を意図する資金量の削減を計画している。
土曜日に『インタファクス-AVN』は消息筋より伝えられた。

「以前に計画されていた約500億ルーブルに代わり、作業の実行には、以前に発表された金額のほぼ半分の支出が見込まれています」
彼は説明した。

彼によると、資金量の削減は、先ず第一に近代化の問題に影響を及ぼす。
「修理は完全なボリュームで行なわれます」
情報提供者は確認した。

以前、他の情報提供者により、次の事が知られるようになった。
「アドミラル・クズネツォフの修理及び近代化は、最小限の量(の作業)が行なわれる予定となっており、それには500億ルーブルの割り当てが計画されています」
「これは多いのか、或いは少ないのかと言えば、明らかに少ないでしょう。
500億ルーブルは、8億ドルよりも少し多い位です。
インド海軍の為の同タイプの航空母艦ヴィクラマーディティヤ(以前には「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ」)の修理と近代化の費用は23億ドルと推定されていますから」

彼は想い起した。

伝えられているように、「アドミラル・クズネツォフ」の修理は、先ず初めに、主動力装置の4基のボイラーの交換に関連する。
近代化は、電波位置特定機器(レーダー)電波電子兵装、更には航空機航法複合体が意図されていた。

今年2月、北方艦隊航空打撃艦グループは、地中海からセヴェロモルスクへ戻ってきた。
グループの構成には、特に、航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」が在った。
「アドミラル・クズネツォフ」艦上航空隊は、シリアでの軍事作戦へ関わった。
公式データによると、戦闘行動に関連しない2件の航空機事故が有り、航空群は2機の戦闘機を失った。



ロシア北方艦隊重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(1991年1月20日就役)は、2016年10月15日から2017年2月8日まで遠距離航海を行ない、地中海東部(シリア沖)まで遠征しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]

2016年11月15日には初めてシリアへの空爆作戦へ参加し、イドリブ県『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃しました。


以後、2017年1月初頭までシリア領内のテロ組織(『イスラム国』『アル=ヌスラ戦線』)への空爆作戦へ参加しました。

無論、「アドミラル・クズネツォフ」にとっては、1991年1月20日の就役以来初の実戦参加となりました。

「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行ない、シリア領内テロ組織の施設1252を破壊しました。



[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ近代化改装]

今後、「アドミラル・クズネツォフ」は近代化改装が行なわれます。

「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装を担当するのは、セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』と、そのムルマンスク支所である『第35艦船修理工場』になるようです。
[ムルマンスクの第35艦船修理工場はロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為にドックを拡張する]
[ロシア海軍唯一の空母(重航空巡洋艦)アドミラル・クズネツォフの近代化改装はムルマンスクで始まり、後にセヴェロドヴィンスクへ移される]
[セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』はロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装を行なう用意がある]

艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』
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『第35艦船修理工場』
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近代化改装の全容は明らかにされていませんが、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理システムなどは新型に変更される事になるでしょう。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により兵装を変更する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな通信システムを受け取る]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは航空隊と戦闘情報管理ステムを近代化する]


「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装に関する情報は、2016年5月以降に何度も出ていますが、改装費用の見積もりは、新しい情報が出るたびに増えています。

2016年5月下旬初出:改装費用数十億ルーブル
主に航空関係艤装に焦点を当てた必要最低限の改装。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年初頭から始まる]

2017年3月初頭初出:改装費用200億ルーブル
対空兵装、電子機器などを新型に換装し、ボイラー4基を交換。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年7月までに始まる]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年5月末から始まるかもしれない]

2017年3月中旬初出:改装費用650億ルーブル(但し、新型機器の設計開発費用300億ルーブルも含む)
兵装(打撃有翼ミサイル複合体も含む)や電子機器の殆ど全てを交換し、寿命も20年延長。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により寿命を20年延長する]

「アドミラル・クズネツォフ」を設計した『ネフスキー計画設計局』は、既に同艦の近代化改装の設計案を完成させています。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の設計案は完成した]

「アドミラル・クズネツォフ」の8基のボイラーの内、4基が新品に交換されるのは確実であり、ムルマンスク『第35艦船修理工場』には、2017年8月下旬に同艦の為の新造のボイラーが届けられています。
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この他、レーダーなどの各種電子機器も新型のものに換装される事になるようです。

2017年6月初頭の見積もりによると、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装費用は500億ルーブルになりました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装には500億ルーブルの費用が掛かる]

近代化改装を終えた「アドミラル・クズネツォフ」は、少なくとも20年間の就航が可能となります。
つまり、2040年頃までは現役に留まるという事です。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは近代化改装後、少なくとも2040年まで現役に留まる]

以前には「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は2017年から始まる予定でしたが、2018年に延期されました。
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2018年に始まる]
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2018年に始まり、3年間に渡る]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装はムルマンスク艦船修理工場で2018年から始まる]


そして今回、「サンクトペテルブルクの消息筋」(ロシア海軍総司令部の関係者?)は、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装費用が、以前の500億ルーブルの「ほぼ半分」に減らされるだろうと述べました。
「ほぼ半分」との事ですから、500億ルーブルの半分の250億ルーブル程度でしょう。

「修理は完全なボリュームで行なわれる」との事ですから、艦の寿命延長工事(寿命を20年間延長)は予定通り実施されるようですが、以前に伝えられていた電子機器類や兵装の換装は限定的なものとなるようです。
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