ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の契約への署名は2018年1月~3月に行なわれる

『タス通信』より
2017年12月21日9時40分配信
【情報筋:「アドミラル・クズネツォフ」の修理の為の契約は2018年第1クオーター(1~3月)に署名される】
モスクワ、12月21日/タス通信
航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の近代化を伴う修理は3年間と見積もられており、ロシア連邦国防省と統合造船業営団の間の契約への署名は2018年第1クオーター(1~3月)となる。
『タス通信』はロシア防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。
「来年(2018年)の第1クオーターに契約へ署名され、それ(修理)は3年間と見積もられています。
同時に、ムルマンスク近郊のロスリャコヴォの第35艦船修理工場で航空母艦の作業へ着手されます」
対談者は話した。
『タス通信』は、この情報を公式に確認していない。
情報提供者によると、現在「艦の近代化を伴う修理の削減された技術的設計の立案は完了し、差し迫った作業の価格を定める為の資材の原価計算の準備が行われています」
対談者は、計画されている「クズネツォフ」の近代化は高度なものにはならないと説明した。
「艦は必然的な航海の間の修理の結果、数回の遠距離航海を行なう機会を得ました。
その後、初めての大規模修理を行なう事を余儀なくされました」
彼は話した。
以前、『ネフスキー計画設計局』総取締役セルゲイ・ウラソフは、「クズネツォフ」は近代化せずに修復されると述べた。
この時、彼は、幾つかの種類の機器を交換するのみであると説明した。
『タス通信』への情報提供者は、「クズネツォフ」の修理は第35艦船修理工場で9月から開始される計画だったが、資金供給の不足という障害が有ったと付け加えた。
艦の作業は、新たな2018年~2027年の国家軍備プログラムに含まれており、この問題は解決する。
[計画について]
修理の技術的課題の削減については、以前に他の防衛産業企業体の情報提供者が『タス通信』へ伝えたようなミサイル複合体「グラニート」の「カリブル-NK」への交換、主動力装置を含む全ての電気機械部分の修復、幾つかの使い古されたボイラーの交換、まず第一に艦上航空隊のフライトの支援を増大する為の離着艦複合体の近代化である。
更に、艦は電波電子システム及び艦上航空機拘束装置を交換する。
以前に情報提供者が『タス通信』へ伝えた所によると、「クズネツォフ」の近代化を伴う修理において、このような作業量には400億ルーブルが必要となる。
彼(註:今回の情報提供者)は、修理プロジェクトの削減においては、何れかの部分が、ある程度は残される可能性がある事を『タス通信』への説明で否定しなかった。
[「アドミラル・クズネツォフ」]
重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は、ロシア唯一の航空母艦である。
艦は1985年12月に進水し、1990年12月に竣工した。
その全長は306メートル、飛行甲板の幅は72メートル、満載排水量は59000トンである。
「クズネツォフ」は、艦首の甲板下に12基の有翼ミサイル「グラニート」傾斜式発射装置を装備している。
巡洋艦は、30機までの戦闘機MiG-29K/KUBとSu-33、打撃ヘリコプターKa-52K、対潜ヘリコプターKa-27、そして輸送戦闘ヘリコプターKa-29を搭載する。
27年間に渡る航空母艦の勤務中に7回の遠距離航海が行われ、この内の6回は地中海へのものであり(1995~1996年、2007~2008年、2008~2009年、2011~2012年、2013~2014年、2016年10月15日~2017年2月8日)、更なる1回は北東大西洋(2004年)であった。
昨年、航空母艦は地中海への航海時にシリアでのロシア航空宇宙軍の作戦へ参加した。
2016年11月と12月に「クズネツォフ」の艦上飛行士は420回の戦闘飛行(この内の117回は夜間)を実行し、1000以上のテロリストの施設を破壊した。
ロシア北方艦隊の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(1991年1月20日就役)は、2016年10月15日から2017年2月8日まで遠距離航海を行ない、地中海東部(シリア沖)まで遠征しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]
2016年11月15日には初めてシリアへの空爆作戦へ参加し、イドリブ県の『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃しました。
以後、2017年1月初頭までシリア領内のテロ組織(『イスラム国』や『アル=ヌスラ戦線』)への空爆作戦へ参加しました。
無論、「アドミラル・クズネツォフ」にとっては、1991年1月20日の就役以来初の実戦参加となりました。
「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行ない、シリア領内のテロ組織の施設1252を破壊しました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ近代化改装]
今後、「アドミラル・クズネツォフ」は寿命を延長する近代化改装が行なわれます。
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装を担当するのは、セヴェロドヴィンスクの艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』と、そのムルマンスク支所である『第35艦船修理工場』になるようです。
[ムルマンスクの第35艦船修理工場はロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為にドックを拡張する]
[ロシア海軍唯一の空母(重航空巡洋艦)アドミラル・クズネツォフの近代化改装はムルマンスクで始まり、後にセヴェロドヴィンスクへ移される]
[セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』はロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装を行なう用意がある]
艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』

『第35艦船修理工場』

近代化改装の全容は明らかにされていませんが、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理システムなどは新型に変更される事になるでしょう。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により兵装を変更する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな通信システムを受け取る]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは航空隊と戦闘情報管理ステムを近代化する]
「アドミラル・クズネツォフ」の8基のボイラーの内、4基が新品に交換されるのは確実であり、ムルマンスクの『第35艦船修理工場』には、2017年8月下旬に同艦の為の新造のボイラーが届けられています。

近代化改装を終えた「アドミラル・クズネツォフ」は、少なくとも20年間の就航が可能となります。
つまり、2040年頃までは現役に留まるという事です。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは近代化改装後、少なくとも2040年まで現役に留まる]
以前には「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は2017年から始まる予定でしたが、2018年に延期されました。
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2018年に始まる]
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2018年に始まり、3年間に渡る]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装はムルマンスク艦船修理工場で2018年から始まる]
以前には500億ルーブルと伝えられた「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装費用は、「ほぼ半分」(250億ルーブル程度)に減らされる事になるようです。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装の予算は500億ルーブルよりも減らされる]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装の契約への署名は、2018年1月~3月の間に行なわれ、署名後に工事が開始されるとの事です。
当初の計画内容よりも限定されたものとなる「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は、「2018年~2027年の国家軍備プログラム」の枠組みにおいて実行される事になります。
なお、「2018年~2027年の国家軍備プログラム」においては、ヤコブレフ社の新世代VSTOL艦上戦闘機の開発と、新世代航空母艦の建造開始も計画されています。
[ロシア海軍の為の新たなVSTOL艦上戦闘機が開発される]
[ロシア海軍の新世代空母の建造は2023年~2028年に開始される]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装が限定的なものとなったのは、新世代VSTOL戦闘機や新世代航空母艦との兼ね合いという事も有るようです。
それに、これから開発されるヤコブレフ社の新世代VSTOL艦上戦闘機は、「アドミラル・クズネツォフ」でも無理なく運用が可能でしょう。
現在の「アドミラル・クズネツォフ」の主力艦載機であるSu-33は2025年まで運用されますが、その後継として新世代VSTOL艦上戦闘機が導入されることも有り得るでしょう。
将来(2020年代末以降)の「アドミラル・クズネツォフ」は「VSTOL空母」となるかもしれません。
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