ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は契約署名と同時に始まる

『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2017年12月25日9時15分配信
【「アドミラル・クズネツォフ」の修理は国家契約の合意と同時に始まる~『統合造船業営団』トップ】
モスクワ、12月25日、インタファクス-AVN
重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」(ソ連邦海軍元帥クズネツォフ)の修理と近代化の契約は、2018~2020年の国家防衛発注における規模を定める政府の決議が出た後に署名される。
月曜日、『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフは『インタファクス-AVN』のインタビューに対し、こう述べた。

「その時期と同時に作業は始まります~我々は、国家契約の合意と同時に開始する準備を整えております」
彼は説明した。
彼によると、修理は、艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』の支所である『第35艦船修理工場』で実施するつもりである。

「巡洋艦の基礎駐屯場所がムルマンスクである事に応じて」
『統合造船業営団』のトップは指摘した。
以前、2016年末~2017年初頭のシリア沿岸への遠距離航海の実施後、航空母艦は修理が予定される『第35艦船修理工場』に居ると伝えられた。
以前、ロシア海軍の代理人は、航空母艦の修理と近代化は2018年の開始が予定されていることを認めた。
現在、ロシア連邦国防省は、実行には2年~2年半が予想される作業予定の「ロードマップ」へ取り組んでいる。
予想されるように、現実的な作業の範囲は、資金拠出量が判明した後に定められる。
ロシア北方艦隊の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(1991年1月20日就役)は、2016年10月15日から2017年2月8日まで遠距離航海を行ない、地中海東部(シリア沖)まで遠征しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]
2016年11月15日には初めてシリアへの空爆作戦へ参加し、イドリブ県の『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃しました。
以後、2017年1月初頭までシリア領内のテロ組織(『イスラム国』や『アル=ヌスラ戦線』)への空爆作戦へ参加しました。
無論、「アドミラル・クズネツォフ」にとっては、1991年1月20日の就役以来初の実戦参加となりました。
「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行ない、シリア領内のテロ組織の施設1252を破壊しました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ近代化改装]
今後、「アドミラル・クズネツォフ」は寿命を延長する近代化改装が行なわれます。
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装を担当するのは、セヴェロドヴィンスクの艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』のムルマンスク支所である『第35艦船修理工場』になるようです。
[ムルマンスクの第35艦船修理工場はロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為にドックを拡張する]
[ロシア海軍唯一の空母(重航空巡洋艦)アドミラル・クズネツォフの近代化改装はムルマンスクで始まり、後にセヴェロドヴィンスクへ移される]
[セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』はロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装を行なう用意がある]
艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』(セヴェロドヴィンスク)

『第35艦船修理工場』(ムルマンスク)

近代化改装の全容は明らかにされていませんが、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理システムなどは新型に変更される事になるでしょう。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により兵装を変更する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな通信システムを受け取る]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは航空隊と戦闘情報管理ステムを近代化する]
「アドミラル・クズネツォフ」の8基のボイラーの内、4基が新品に交換されるのは確実であり、ムルマンスクの『第35艦船修理工場』には、2017年8月下旬に同艦の為の新造のボイラーが届けられています。

近代化改装を終えた「アドミラル・クズネツォフ」は、少なくとも20年間の就航が可能となります。
つまり、2040年頃までは現役に留まるという事です。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは近代化改装後、少なくとも2040年まで現役に留まる]
以前には「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は2017年から始まる予定でしたが、2018年に延期されました。
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2018年に始まる]
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2018年に始まり、3年間に渡る]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装はムルマンスク艦船修理工場で2018年から始まる]
以前には500億ルーブルと伝えられた「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装費用は、「ほぼ半分」(250億ルーブル程度)に減らされる事になるようです。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装の予算は500億ルーブルよりも減らされる]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装の契約への署名は、2018年1月~3月の間に行なわれ、署名後に工事が開始されるとの事です。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の契約への署名は2018年1月~3月に行なわれる]
当初の計画内容よりも限定されたものとなる「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は、「2018年~2027年の国家軍備プログラム」の枠組みにおいて実行される事になります。
なお、「2018年~2027年の国家軍備プログラム」においては、ヤコブレフ社の新世代VSTOL艦上戦闘機の開発と、新世代航空母艦の建造開始も計画されています。
[ロシア海軍の為の新たなVSTOL艦上戦闘機が開発される]
[ロシア海軍の新世代空母の建造は2023年~2028年に開始される]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装が限定的なものとなったのは、新世代VSTOL戦闘機や新世代航空母艦との兼ね合いという事も有るようです。
それに、これから開発されるヤコブレフ社の新世代VSTOL艦上戦闘機は、「アドミラル・クズネツォフ」でも無理なく運用が可能でしょう。
現在の「アドミラル・クズネツォフ」の主力艦載機であるSu-33は2025年まで運用されますが、その後継として新世代VSTOL艦上戦闘機が導入されることも有り得るでしょう。
将来(2020年代末以降)の「アドミラル・クズネツォフ」は「VSTOL空母」となるかもしれません。
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