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ロシア海軍の最新大型揚陸艦イワン・グレンの洋上試験は完了した


『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2017年12月26日8時57分配信
【大型揚陸艦「イワン・グレン」は去る年(今年)の末までに(ロシア)海軍へ引き渡す事ができる~沿バルト造船工場『ヤンターリ』総取締役】
モスクワ、12月26日、インタファクス-AVN

大型揚陸艦「イワン・グレン」国家受領試験の完了段階を脱した。
火曜日に沿バルト造船工場『ヤンターリ』のトップ、エドゥアルト・エフィーモフ『インタファクス-AVN』のインタビューに対し、こう述べた。

「大型揚陸艦イワン・グレンのロシア海軍への御引き渡しは、今年末までに可能です」
彼は説明した。

沿バルト造船工場『ヤンターリ』(『統合造船業営団』へ加入)における同プロジェクトの第2の大型揚陸艦の竣工について、彼は話した。
「その時期は、大型揚陸艦ピョートル・モルグノフ建造の総合スケジュールで指定されています」

大型揚陸艦「イワン・グレン」プロジェクト11711のトップ艦であり、公開株式会社『ネフスキー計画設計局』で開発された。
艦の起工は2004年12月、進水は2012年5月、係留試験は2015年10月に始まった。

伝えられている所によると、プロジェクト11711大型揚陸艦の兵装は、汎用艦載砲AK-176MとAK-630Mから成る。
更に、沿岸目標の攻撃及び揚陸支援の為、大型揚陸艦は2基の射程距離約20kmの一斉射撃反応火力システムA-215「グラード-M」艦載装置を装備する。
大型揚陸艦の艦上には、1機の捜索救助ヘリコプターKa-27或いは輸送戦闘ヘリコプターKa-29の駐留が提供される。

プロジェクト11711艦は、艦上に13両までの戦車あるいは36両までの歩兵戦闘車もしくは装甲車両、更には揚陸強襲部隊員を収容できる。



[新型揚陸艦イワン・グレン]

プロジェクト11771大型揚陸艦の1番艦「イワン・グレン」は、カリーニングラード沿バルト造船工場『ヤンターリ』で2004年12月24日に起工され、それから約8年後の2012年5月18日に進水しました。
[新型揚陸艦イワン・グレンは進水する]


進水から3年以上経った2015年10月9日、ようやく係留試験が始まりました。
[ロシア海軍の新型揚陸艦イワン・グレンは係留試験を開始した]

ロシア海軍への引き渡しは2015年末に予定されていたのですが、2016年に延期されました。
[大型揚陸艦イワン・グレンは2016年にロシア海軍へ引き渡される]
[ロシア海軍の新世代水上艦の就役は2016年に延期された]

「イワン・グレン」は、2016年1月下旬から航行試験開始前の消磁作業を行ないました。
[ロシア海軍の最新鋭大型揚陸艦イワン・グレン近影(2016年1月下旬-2月中旬)]

「イワン・グレン」の航行試験(工場航行試験)開始時期は何度も延期されており、最近では5月末開始予定だったのですが、これも延期されました。
[ロシア海軍最新大型揚陸艦イワン・グレンは2016年5月末に航海試験を開始する]

6月17日、「イワン・グレン」は、ようやくカリーニングラード『ヤンターリ』造船所から「試験実施基地」即ちバルチースクへ移動しました。
[ロシア海軍最新鋭大型揚陸艦イワン・グレンはカリーニングラード造船所からバルチースク基地へ移動した]

6月21日、航行試験の為の本格的な出航準備が始まりました。
[ロシア海軍最新鋭大型揚陸艦イワン・グレンの航行試験が始まる]

6月25日、「イワン・グレン」は、初めての航行試験へ出発しました。
[ロシア海軍の最新鋭揚陸艦イワン・グレンは航海試験の為に出航した]

8月15日にはクロンシュタットへ入港し、8月23日~24日には輸送戦闘ヘリコプターKa-29の発着試験が行なわれました。
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その後もフィンランド湾で試験を行なっていた「イワン・グレン」は、8月28日に暴風海域で民間の小型ボートを保護しました。
[フィンランド湾で洋上試験中のロシア海軍最新大型揚陸艦イワン・グレンは暴風海域で民間艇を保護した]

フィンランド湾での航行試験は2016年8月31日に完了し、「イワン・グレン」バルチースクへ戻りました。
[ロシア海軍最新大型揚陸艦イワン・グレンはフィンランド湾での洋上試験を終えた]

しかし、その後に艦の消磁システムの不具合が発覚し、航行試験は中断されました。

「イワン・グレン」は2016年末までにロシア海軍へ引き渡される筈でしたが、またも翌年(2017年)に延期される事になりました。

「イワン・グレン」は、カリーニングラード『ヤンターリ』造船所で不具合の改修が進められていました。
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そして2017年6月3日にカリーニングラードからバルチースクへ移動しました。
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2017年6月上旬から洋上試験を再開しました。
[ロシア海軍の最新大型揚陸艦イワン・グレンはバルト海での洋上試験を再開する]

その後、7月30日の「ロシア海軍の日」観艦式へ参加するため、クロンシュタットへ移動しました。

7月30日、クロンシュタットで行なわれた観艦式(主要海軍パレード)へ参加しました。

[2017年7月30日にクロンシュタットとサンクトペテルブルクで挙行される『ロシア海軍の日』観艦式には約40隻の艦船が参加する]

その後、洋上試験を再開し、10月21日にはバルト海AK-630M 30mmガトリング砲の射撃試験を実施しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2017年10月21日11時14分配信
【大型揚陸艦「イワン・グレン」は海上で砲複合体の試験を行なった】

10月27日にも30mmガトリング砲の射撃試験を実施しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2017年10月27日14時29分配信
【大型揚陸艦「イワン・グレン」乗組員は海上で砲射撃を実施した】

11月14日までに工場航行試験は終わりました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2017年11月14日20時53分配信
【大型揚陸艦「イワン・グレン」は工場航行試験を完了した】

その後、国家受領試験が始まり、12月9日までに軍用車両の積載及び下船試験が行われました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2017年12月9日11時6分配信
【大型揚陸艦「イワン・グレン」の国家試験の枠組みで車両積載試験が実施された】

12月22日までにバルト海30mm機関砲(AK-630M 30mmガトリング砲30mm2連ガトリング砲「ドゥエト」)の射撃試験が行われました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2017年12月22日14時0分配信
【試験中の大型揚陸艦「イワン・グレン」はバルト海で砲射撃を実施した】

これで「イワン・グレン」の洋上試験は完了したようであり、2017年中(つまり12月31日まで)にはロシア海軍へ引き渡せるとの事です。
ただし、具体的な日時は明確にされていませんが・・・

なお、今回の記事で「イワン・グレン」にはAK-176M 76mm砲AK-630M 30mmガトリング砲、更にはA-215「グラード-M」ロケット砲が装備されていると記されていますが、これは計画段階での話であり、実際にはAK-630M 30mmガトリング砲と、2連30mmガトリング砲「ドゥエト」しか装備していません。


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2015年6月に起工されたプロジェクト11711大型揚陸艦2番艦「ピョートル・モルグノフ」の建造工事も進められていますが、同型の建造は2隻で終了します。
[ロシア海軍はプロジェクト11711大型揚陸艦(イワン・グレン型)の調達を2隻で打ち切る]

その後は、より大型の汎用ヘリコプター揚陸艦の建造へ移行します。
[ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の1番艦はセヴァストーポリと命名される]
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