第6のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークのロシア海軍への引き渡しは2018年に延期される

『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2017年12月26日18時24分配信
【小型ロケット艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は2018年も試験を継続する】
(ロシア)海軍はプロジェクト21631小型ロケット艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」を2017年に受領しない。
『海軍産業』(フロートプロム)特派員は防衛産業企業体の消息筋より伝えられた。
彼によると、システムの準備状態を証明する為の艦の必要な全ての試験の必要な実施が停滞した。
これについて情報提供者は、発注者への艦の引き渡しの遅延は、工場製造者或いは小型ロケット艦の兵装試験には関連していないと付け加えた。
彼は、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」の海軍への引き渡しは2018年第1クオーター(1月~3月)末になるだろうと見ている。
『ゴーリキー記念ゼレノドリスク工場』の情報提供者は、『海軍産業』(フロートプロム)特派員に対し、この情報を認めた。
黒海艦隊情報供給部は、試験が悪天候~特に嵐により妨げられたと伝えた。
複雑な天候条件は艦の試験を妨げていると『海軍産業』(フロートプロム)は12月13日に伝えられた。
2017年5月、『ゴーリキー記念ゼレノドリスク工場』総取締役レナート・ミスタホフは、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」を10月に海軍へ引き渡すと表明した。
[『海軍産業』(フロートプロム)参考資料]
(2017年)8月、艦は内陸水路でノヴォロシースクへ移動した。
工場航行試験は9月5日に始まった。
それを成功裏に終えた後、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は国家試験へと向かった。
プロジェクト21631小型ロケット艦・コード名「ブヤン-M」は『ゼレノドリスク計画設計局』で開発された。
これは、「河川-海洋」型多目的艦であり、8基のミサイル「カリブル」を含む現代的な風貌の砲、ミサイル、対水中工作、高射、電波工学兵装を装備する。
排水量949トン、全長75メートル、幅11メートル。
最大速力25ノット。
航続距離2500海里、自立行動期間10日、乗組員52名。
[新世代小型ロケット艦「ブヤン-M」]
プロジェクト21631「ブヤン-M」小型ロケット艦の6番艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は2013年8月29日に起工され、2016年8月22日に進水しました。
「ブヤン-M」の1~5番艦はドイツのMTU社製ディーゼルエンジンを装備していましたが、ヨーロッパ連合の対ロシア制裁により以後の供給が停止した為、6番艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」以降は、ドイツ製ディーゼルをライセンス生産した中国製ディーゼルエンジンが装備されます。
[ロシア海軍の為の最新鋭小型ロケット艦ブヤン-Mの6番艦以降は中国製ディーゼルエンジンを装備する]
艤装を完了した「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は、7月下旬から8月初頭に掛けて内陸水路経由でゼレノドリスクからノヴォロシースクへ回航されました。

[ロシア海軍黒海艦隊の為の第6のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークはノヴォロシースクへ回航された]
[ロシア海軍黒海艦隊の為の第6のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは黒海での航行試験の準備を行なっている]

9月5日、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は洋上試験の為に初めて出航しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは黒海で洋上試験を開始した]
9月19日からは、黒海艦隊のフリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」(2016年3月11日就役)と洋上での合同訓練を開始しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークはフリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"との合同訓練を行なう]
工場航行試験は2017年10月末に完了し、11月10日から国家受領試験が始まりました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2017年11月10日17時2分配信
【小型ロケット艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」の国家試験が始まった】
「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は黒海東部(ノヴォロシースク近辺)で洋上試験を行なっていますが、12月中旬頃から同海域の天候が悪化し、洋上試験は何度も中断を余儀なくされました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2017年12月13日11時59分配信
【小型ロケット艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」の試験は天候に妨げられている】
「ヴイシニー・ヴォロチョーク」のロシア海軍への引き渡しは2017年末に予定されていましたが、12月末になっても試験が完了しなかった為、2018年に延期されることになりました。
[6隻目のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは2017年にロシア海軍へ引き渡される]
今回の記事によると、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」のロシア海軍への引き渡しは2018年春頃になるようです。
プロジェクト21631「ブヤン-M」小型ロケット艦は、既に10隻が起工され、この内の5隻がロシア海軍へ引き渡されています。
全てロシア内陸部ゼレノドリスクの『A.M.ゴーリキー記念ゼレノドリスク造船工場』で建造されています。
[小型ロケット艦プロジェクト21631「ブヤン-M」]
建造番号631「グラード・スヴィヤージスク」Град Свияжск
2010年8月27日起工/2013年3月9日進水/2014年7月27日就役
カスピ小艦隊へ配備
建造番号632「ウグリーチ」Углич
2011年7月22日起工/2013年4月10日進水/2014年7月27日就役
カスピ小艦隊へ配備
建造番号633「ヴェリキー・ウスチュグ」Великий Устюг
2011年8月27日起工/2014年5月21日進水/2014年11月19日就役
カスピ小艦隊へ配備
建造番号634「ゼリョヌイ・ドル」Зелёный Дол
2012年8月29日起工/2015年4月2日進水/2015年12月12日就役
黒海艦隊へ配備/2016年10月にバルト艦隊へ転属
建造番号635「セルプホフ」Серпухов
2013年1月25日起工/2015年4月3日進水/2015年12月12日就役
黒海艦隊へ配備/2016年10月にバルト艦隊へ転属
建造番号636「ヴイシニー・ヴォロチョーク」Вышний Волочек
2013年8月29日起工/2016年8月22日進水/2018年春就役予定
黒海艦隊へ配備予定
建造番号637「オレホヴォ・ズエヴォ」Орехово-Зуево
2014年5月29日起工/2019年10月就役予定
黒海艦隊へ配備予定
建造番号638「イングシェチア」Ингушетия
2014年8月29日起工/2018年10月就役予定
黒海艦隊へ配備予定
建造番号639「グライヴォロン」Грайворон
2015年4月10日起工/2020年就役予定
建造番号640「グラード」Град
2017年4月24日起工/2020年就役予定
現在の所、プロジェクト21631は12番艦までの建造が計画されています。
[ロシア海軍の為のブヤン-M小型ロケット艦3隻(10-12番艦)の建造契約が締結された]
[ロシア海軍の為のプロジェクト21631小型ロケット艦の10番艦グラードは起工された]
プロジェクト21631の主要兵装は有翼ミサイル複合体「カリブル」です。
「カリブル」には、対艦攻撃型(最大射程375km)と対地攻撃型(最大射程2500km)が有ります。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]
従来の小型ロケット艦は対艦攻撃のみに特化していましたが、「ブヤン-M」は対地攻撃用の有翼ミサイルを搭載する事により、地上への戦力投射にも使用できるようになりました。
2015年10月7日、カスピ小艦隊の「ブヤン-M」3隻(「グラード・スヴィヤージスク」、「ウグリーチ」、「ヴェリキー・ウスチュグ」)は、カスピ海からシリアのISIL(イラク・レバントのイスラム国)拠点へ有翼ミサイル「カリブル」を発射しています。
[ロシア海軍カスピ小艦隊の4隻の艦はシリアへ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
[ロシア海軍は巡航ミサイルでシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点を攻撃した]
[ロシア連邦軍参謀本部作戦管理総局長はロシア海軍によるシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点攻撃について語った]
カスピ小艦隊の「ブヤン-M」3隻は、11月21日にも「カリブル」による攻撃を行なっています。
[ロシア海軍カスピ小艦隊は再びシリアのISIL(シリアとレバントのイスラム国)拠点へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
2016年8月19日には、黒海艦隊の「ブヤン-M」2隻が地中海東部(シリア沖)からシリア領内のテロ組織「アル=ヌスラ戦線」の施設へ有翼ミサイル「カリブル」を発射しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新鋭小型ロケット艦ゼリョヌイ・ドルとセルプホフはシリアのアル=ヌスラ戦線を巡航ミサイル"カリブル"で攻撃した]
- 関連記事
-
- 第6のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは2018年3月末にロシア海軍へ引き渡される
- ロシア海軍の為のブヤン-M小型ロケット艦ナロ・フォミンスクは起工された
- 第6のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークのロシア海軍への引き渡しは2018年に延期される
- ロシア海軍黒海艦隊の為のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークはフリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"との合同訓練を行なう
- ロシア海軍黒海艦隊の為のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは黒海で洋上試験を開始した
スポンサーサイト