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タルトゥースのロシア海軍基地に関するロシアとシリアの協定は批准された

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『タス通信』より
2017年12月29日15時34分配信
【プーチンはタルトゥースのロシア連邦海軍基地に関する協定の批准を承認した】
モスクワ、12月29日/タス通信

ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは、タルトゥース港領域のロシア連邦海軍物資-技術サービス供給所(MTO)を実質的に海軍基地(VMB)相当へ変身させる為の拡大に関するロシア・シリア間の協定を批准する法令へ署名した。
文書は12月21日に国家院(下院)で採択され、12月26日には連邦院(上院)で可決された。
連邦情報ポータルは公表した。

合意文書では、原子力巡洋艦を含むロシアの軍用海上船がシリアの港及び内部水域へ立ち寄る事が可能となり、シリアロシアへ、合意された全適用期間(49年、自動的に25年までの期間で延長可能)における地上の特定区画、水域と一連の不動施設の返却不要の利用権を提供する。
物資-技術サービス供給所の駐屯場所、その要員と乗組員は、ロシア側の法の下で保護される特権を有する。
加えて、供給所の要員は、更に、自由にシリアの境界線へ移動できるようになり、シリア・アラブ共和国の境界線警備及び税関組織に従う義務は無い。

協定により、ロシアは、ロシア連邦海軍物資-技術サービス供給所へ、原子力推進装置を有する艦を含め同時に11隻までの軍用艦を収容する権利を獲得する。

シリア政府の代表は、その指揮官の同意無くしてロシア連邦海軍物資-技術サービス供給所の駐屯場所を訪れる事は出来ない。
協定では更に、タルトゥースへの海上および空中の輸送手段は、臨検、捜査、接収、拘束、及び他の強制的措置からの不可侵の特権を受ける。
更に、物資-技術サービス供給所の全ての資産も不可侵である。

物資-技術サービス供給所の駐屯場所の境界線の外部の警護は、シリア側の戦力及び手段により行なわれる。
供給所の海上境界線の内部の警護と対空防衛、内部の警護、秩序の維持はロシア側の戦力及び手段により行なわれる。

以前、連邦院防衛・安全保障委員会の代表ヴィクトール・ボンダレフが指摘したように、タルトゥースロシア軍基地は、ロシア及びシリアに有益である。
「私たちは、シリア及び他の中近東諸国の利益に責任を負い、地域の安全の保障、戦略的抑止を可能にします。
そして同時に、地中海におけるロシアの地位を強化します」

上院議員は話した。



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現在、シリアタルトゥースには、ロシア海軍第720物資-技術サービス供給所が置かれています。
元々は、ソ連邦海軍時代の1971年に設立されたものです。

これは、地中海東部で行動するロシア海軍の艦船へ各種物資を供給し、更には、技術サービスの供給~艦船の整備や簡単な修理を行なう為のものです。

「技術サービスの供給」の為、タルトゥースにはロシア海軍工作船1隻が交代で常駐しています。

工作船PM-56
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PM-138
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ロシア海軍は2013年初頭から地中海東部へ艦船を常時展開させており、同年6月1日には、地中海ロシア海軍艦船を統一指揮する為、「地中海作戦連合部隊」が創設されました。
[ロシア海軍地中海作戦部隊は6月1日から任務を遂行している]


2015年10月には、タルトゥース港内の浚渫作業が行なわれました。
[ロシア海軍はシリアのタルトゥース港の浚渫作業を行なった]

2016年10月、ロシア国防省は、タルトゥースへ恒常的な海軍基地を作成する意向を示しました。
[ロシア海軍はシリアのタルトゥースへ恒常的な基地を作る]

2016年12月23日、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは、タルトゥースの海軍基地の拡張に関するシリアロシアの協定に関する法令へ署名しました。
[シリアのタルトゥース港のロシア海軍基地は拡張される]

今後、拡張工事が行なわれるタルトゥースは、排水量1万トン以上の水上艦の入港が可能となります。
[近代化されるシリアのタルトゥースのロシア海軍基地は巡洋艦の寄港が可能になる]

2017年1月20日までに、ロシアシリアは、タルトゥースの海軍基地に関する新たな協定へ署名しました。
新たな協定により、ロシア海軍は今後49年間タルトゥースを自由に使用できるようになります。
[ロシアとシリアはタルトゥースのロシア海軍基地に関する新たな協定を締結した]

2017年7月30日の「ロシア海軍の日」には、タルトゥースで初めて観艦式が行なわれました。


その後、2017年12月下旬にタルトゥース第720物資-技術サービス供給所の拡張に関する協定の批准がロシア連邦議会(上院下院)で承認され、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンが批准書へ署名し、正式に発効する事になりました。


現在、地中海東部には、少なくとも13隻のロシア海軍艦船が滞在しています。

フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」(黒海艦隊):12月2日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
潜水艦「ヴェリキー・ノヴゴロド」(黒海艦隊):9月初頭から地中海東部に滞在
潜水艦「コルピノ」(黒海艦隊):9月初頭から地中海東部に滞在
中型偵察艦SSV-520「アドミラル・フョードル・ゴロヴィン」(バルト艦隊):2017年末から地中海東部に滞在
海洋掃海艦「イワン・ゴルベツ」(黒海艦隊):11月3日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」(黒海艦隊):12月27日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
大型揚陸艦「アレクサンドル・オトラコフスキー」(北方艦隊):12月25日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
大型揚陸艦「ヤーマル」(黒海艦隊):12月23日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
軍用輸送船「クジル-60」(黒海艦隊):12月21日南下にボスポラス海峡を南下、地中海入り
救助曳船「シャフテル」(黒海艦隊):11月3日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
サルベージ船「アレクサンドル・プーシキン」(バルト艦隊):12月10日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
水路調査船「ドヌズラフ」(黒海艦隊):11月19日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
工作船PM-56(黒海艦隊):10月21日にボスポラス海峡を南下、地中海入り

シリアタルトゥースにはロシア海軍工作船が交代で1隻ずつ派遣されており、2017年6月からはバルト艦隊PM-82が駐留していましたが、同船は11月13日にバルチースクへ帰港しており、現在は黒海艦隊PM-56が派遣されています。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア西方軍管区(バルト艦隊)広報サービス発表
2017年11月13日17時11分配信
【バルト艦隊の水上修理所(工作船)は地中海からバルチースクへ戻った】


大型揚陸艦軍用輸送船は、「シリア・エクスプレス」と呼ばれる黒海沿岸ロシア領(ノヴォロシースク或いはセヴァストーポリ)からシリアのタルトゥースへの物資・人員・機材・車両などの輸送任務に就いています。

現在、「シリア・エクスプレス」の為、北方艦隊から大型揚陸艦「アレクサンドル・オトラコフスキー」(10月初頭に地中海到着)、バルト艦隊から大型揚陸艦「ミンスク」(10月中旬に地中海到着)が派遣されています。



潜水艦「ヴェリキー・ノヴゴロド」「コルピノ」は2017年9月初頭から地中海東部に滞在し、シリア領内のISIL(イラク・レバントのイスラム国)アル=ヌスラ戦線などのテロ組織の施設へ巡航ミサイル「カリブル」を発射しています。

最近では、10月31日に「ヴェリキー・ノヴゴロド」、11月3日に「コルピノ」「カリブル」を発射しています。

2017年10月31日:潜水艦「ヴェリキー・ノヴゴロド」、デリゾールへ「カリブル」発射

『タス通信』より
2017年10月31日17時53分配信
【潜水艦「ヴェリキー・ノヴゴロド」はデリゾールの『イスラム国』戦闘員へ「カリブル」で打撃を与えた】

2017年11月3日:潜水艦「コルピノ」、アブ・カマルへ「カリブル」発射(同時にロシア航空宇宙軍の爆撃機Tu-22M3が空爆)

『タス通信』より
2017年11月3日17時17分配信
【ロシア軍のTu-22M3と潜水艦「コルピノ」はシリアの『イスラム国』戦闘員へ打撃を与えた】
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