ロシア海軍の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツは北方艦隊基地へ到着した
『タス通信』より
2018年1月2日13時15分配信
【北方艦隊の最初のディーゼルエレクトリック砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」は基地へ到着した】
ムルマンスク、1月2日/タス通信
ディーゼルエレクトリック砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」は火曜日に北方艦隊へ到着した。
北方艦隊の最初の砕氷船の乗組員は、バルト海からコラ湾への移動を行なった。
北方艦隊広報サービスは発表した。
「北方艦隊司令官ニコライ・エフメノフ大将の下、セヴェロモルスクの埠頭でイリヤー・ムーロメツの歓迎式典が開催されました」
広報サービスは話した。
以前、砕氷船は、バルト海における完全な複合国家試験を成功裏に実施した。
プロジェクト21180ディーゼルエレクトリック砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」は新世代多機能船であり、結氷条件下での海軍部隊の駐留及び展開の砕氷支援、艦船の自立先導と曳航支援、更には、科学研究及び水路調査作業の実行の為に意図されている。
砕氷船は『アドミラルティ造船所』で2015年4月23日に起工され、2016年6月に進水した。
全長85メートル、幅約20メートルの船の排水量は約6000トンである。
砕氷船は、高い耐航性及び自立航行能力を有しており、艦上飛行装置の着艦の為のヘリコプター発着場を装備する。
ディーゼルエレクトリック砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」への補助艦隊旗の掲揚式典は2017年11月30日に開催された。
この日は、船が公式に北方艦隊の一員として加わった日と見なされる。

現在のロシアは、原子力砕氷船「アルクチカ」型を筆頭に各種砕氷船を保有していますが、これらの砕氷船はロシア海軍の所属ではありません。
ソ連邦海軍時代には、プロジェクト97砕氷船が8隻建造され、1960年から1970年に掛けて就役しました。
プロジェクト97も『アドミラルティ造船所』で建造されました。
先代の砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」(プロジェクト97K)は1965年12月にソ連海軍へ納入され、太平洋艦隊へ配備されました。


ソ連邦解体後の1993年6月にロシア海軍から除籍されました。
初代「イリヤー・ムーロメツ」が姿を消してから20年以上経った2015年4月23日、プロジェクト21180砕氷船の1番船として新たな「イリヤー・ムーロメツ」が起工されました。
[ロシア海軍の為の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツは2015年4月23日に起工される]
[ロシア海軍の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツは起工された]
2代目「イリヤー・ムーロメツ」は2016年6月10日に進水しました。
[ロシア海軍の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツは進水した]
進水後、『アドミラルティ造船所』の岸壁で艤装工事が進められ、係留試験が行なわれました。

「イリヤー・ムーロメツ」は、2017年7月22日から洋上試験~工場航行試験の第1段階を開始しました。

第1段階試験は8月29日に終了しました。
[ロシア海軍の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツは洋上試験の第1段階を終えた]
続いて9月上旬まで工場航行試験の第2段階が実施されました。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2017年9月14日1時7分配信
【最新砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」は工場試験弾2段階を実行した】
これで工場航行試験は完了し、10月4日から最終洋上試験である国家受領試験が始まる予定でしたが、1日遅れて10月5日にサンクトペテルブルクを出航しました。
[ロシア海軍の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツは2017年10月4日に最終洋上試験を開始する]
[ロシア海軍の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツの最終洋上試験はバルト海で始まった]
「イリヤー・ムーロメツ」の国家受領試験は11月下旬に完了し、2017年11月30日にサンクトペテルブルクの『アドミラルティ造船所』でロシア海軍旗の初掲揚式典、即ちロシア海軍への就役式典が開催されました。
同時に造船所からロシア海軍への納入証書への署名も行われたようです。
[新型砕氷船イリヤー・ムーロメツ、ロシア海軍へ就役(2017年11月30日)]
「イリヤー・ムーロメツ」は2017年12月26日にバルチースク基地を出港し、北方艦隊基地へ向かいました。
そして2018年1月2日、北方艦隊基地セヴェロモルスクへ到着しました。
2012年頃からロシア海軍は北極圏での活動を活発化させておりますが、この海域での活動には砕氷船は必要不可欠です。
これまではロシア海軍(北方艦隊)の艦船が北極圏の結氷海域を航行する際は、アトムフロート(ロスアトム傘下)の原子力砕氷船の助けを借りていましたが、アトムフロートの原子力砕氷船は他にも仕事があり(民間船舶の先導など)、海軍が何時でも自由に利用できるわけではありません。
そこで、何時でも自由に使える自前の砕氷船が建造される事になりました。
ただ、現在の所、「イリヤー・ムーロメツ」の同型船の建造予定は無く、その代わりに砕氷能力を有する哨戒艦の建造が進められています。
[プロジェクト23550砕氷哨戒艦イワン・パパ―ニンは2020年にロシア海軍へ引き渡される]
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