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ルイビンスクのサトゥルン社はロシア海軍の為のガスタービンエンジンの生産を開始する


『ロシア通信社ノーボスチ』より
2018年1月11日13時49分配信
【ルイビンスクは(ロシア)国防省への海洋ガスタービンエンジン提供を準備している】
ルイビンスク、1月11日-ロシア通信社ノーボスチ

ルイビンスク企業『ODK-サトゥルン』は、ウクライナ製動力装置に代わる海洋ガスタービンエンジンの量産開始の準備を整えている。
今、工場にはロシア連邦国防省からの発注合意文書が存在している。
木曜日、『サトゥルン』総務取締役ヴィクトール・ポリャコフは報道陣へ語った。

「準備は出来ております。
試験-設計作業の完了と並行して、既に海軍の艦船の為の最初の生産ユニットの製造が始まっております。
私たちは、新たな専門分野を有し、国防省の為に必要な数の動力装置を提供いたします」
彼は話した。

ポリャコフは、『サトゥルン』で製造される事になるエンジンは、エアクッション艦「ズーブル」型及びエアクッション艇「ムレナ」を始めとして、果ては近海及び遠海ゾーン艦といった広範囲の艦艇の為に意図されていると説明した。

「私共は最初の発注文書を既に持っており、我々の今日の課題は、このリストにおける弊社の長期に渡る充分な仕事量の確保です」
『サトゥルン』
総務取締役は話した。

公開株式会社『ODK-サトゥルン』(『統合発動機製造営団』へ加入)は、軍用並びに民間用の航空隊及び艦船隊の為のガスタービンエンジン、発電、天然ガス装置、海上用途の動力装置の開発、製造と、販売後の整備を専門としている。
『ODK-サトゥルン』は、スホーイ・スーパージェット100旅客機の為のSaM146エンジン(『サフラン・エアクラフトエンジンズ(スネクマ)』社と共同)、輸送機の為のD-30KPエンジンを生産している。

ロシアウクライナからの輸入より自立する事を保障する為、2014年から2017年までの期間に『サトゥルン』の生産施設において3つの海洋動力装置「M90FR」(出力27500馬力)、「ユニット-DKVP」(出力10000馬力)、「M70FRU-R」の試験-設計作業が行なわれた。
以前にはプロジェクト11356フリゲートの為のものを含め、それはウクライナから供給されていた。



ソ連/ロシア艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシア「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」ウクライナ「ゾーリャ機械設計」が関わっており、エンジンの最終組立は「ゾーリャ機械設計」で行なわれていました。
(主要部品はロシアの企業で製造し、それをウクライナへ送って最終組み立て)

【科学生産合同「サトゥルン」公式サイト】
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【『科学製造合同アヴローラ』公式サイト】
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【国営企業ガスタービン製造科学工業複合体「ゾーリャ機械設計」公式サイト】
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なお、ロシアカルーガ市に在る非公開株式会社「科学製造国内企業トゥルボコン」は、公式サイトを持っていません。
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ソヴィエト連邦時代、ガスタービン搭載艦は、ニコラーエフ市61コムーナ造船所カリーニングラード州ヤンターリ造船所ゼレノドリスクゴーリキー造船所などで建造されていました。
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特に、ウクライナ61コムーナ造船所では大型のガスタービン推進艦が建造されていました。
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プロジェクト61大型対潜艦/警備艦(1962-1973年に15隻建造、他にレニングラードで5隻建造)
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プロジェクト1134B大型対潜艦(1971-1979年に7隻建造)
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プロジェクト1164ロケット巡洋艦(1982-1989年に3隻建造、1隻未完成)
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ですから、ニコラーエフ市ガスタービンエンジンの最終組立工場が在った方が輸送などの面で都合が良かったわけです。
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しかし、1991年末のソ連邦解体後、ガスタービン機関の部品を製造する会社と最終組立を行なう会社が別々の国に分かれてしまう事になり、何かと不都合が生じました。

そこで1993年、旧ソ連ガスタービン製造に関わっていた「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、「ゾーリャ機械設計」が集まり、合同企業「トゥルボルス」が設立されました。
【非公開株式会社『トゥルボルス』公式サイト】

ロシア海軍新世代水上艦の為のガスタービン(M90FR)も、ロシアウクライナの企業の共同開発でした。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]

しかし、2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナロシアの関係も悪化しました。

2014年3月末まで「ゾーリャ機械設計」社ロシアへのガスタービン機関供給を継続していましたが、その後、供給は途絶えました。
[ウクライナ防衛産業は依然としてロシアとの契約を忠実に履行している]

ウクライナロシアガスタービンエンジン生産に関する「分業体制」が瓦解した為、ロシア海軍ガスタービン装備艦の建造は停滞しました。
[ロシア海軍の新型フリゲートの建造は停滞する]

プロジェクト22350フリゲートは1番艦と2番艦、プロジェクト11356Rフリゲートは1番艦~3番艦のガスタービンは供給されましたが、ウクライナは、それ以降のエンジンの引き渡しを拒否しました。
(代金はウクライナへ支払っていた)
[ロシアはガスタービンエンジン供給中止に関してウクライナを訴える]

この為、ガスタービンの生産を全面的にロシア国内へと切り替える事になり、ルイビンスク『サトゥルン』社ガスタービンエンジンの最終組立施設を作る事になりました。
[ロシア海軍の艦艇には完全国産のガスタービンエンジンが提供される]
[ロシアは艦艇用ガスタービンの製造を全面的に国内へと切り替える]
[ロシアのサトゥルン社は2017年までにウクライナ製ガスタービンを完全に代替する]

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ルイビンスク『サトゥルン』社におけるガスタービンエンジン生産の為の各種試験は2017年12月末までに完了しました。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2017年12月31日17時40分配信
【科学生産合同サトゥルンは3つのガスタービンエンジンの試験設計作業を完了した】

ガスタービンエンジン「M90FR」
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ガスタービンエンジン「M70FRU-R」
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そして2018年1月初頭から『サトゥルン』社ガスタービンエンジンの生産が始まりました。


新たに生産されるガスタービンエンジン「M90FR」は、先ず初めにプロジェクト22350フリゲートへ装備されます。
[ロシア製ガスタービンはロシア海軍のプロジェクト22350フリゲートへ最初に装備される]

2016年10月末に1番艦が起工されたプロジェクト20386コルベットにはガスタービン電気推進システムが採用されており、こちらにも「M90FR」が供給されることになります。
[ロシア海軍の新世代コルベット・プロジェクト20386はガスタービン電気推進システムを装備する]

ガスタービンエンジン「M70FRU-R」は、プロジェクト11356フリゲートの4番艦以降に装備されます。
[プロジェクト11356Rフリゲート後期建造艦3隻の内、2隻はインドへ売却され、1隻はロシア海軍の為に完成する]

「ユニット-DKVP」は、建造再開が計画されている「ズーブル」級エアクッション揚陸艦へ装備されます。
[ロシア海軍の為のエアクッション揚陸艦ズーブル級の建造が再開される]

この他、2020年の建造開始が予定されている新世代汎用ヘリコプター母艦「プリボイ」級ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)を採用しており、おそらくは「M90FR」を装備する事になるでしょう。
[ロシア海軍の新世代汎用ヘリコプター母艦プリボイ級1番艦セヴァストーポリはサンクトペテルブルクの『北方造船所』で2020年に起工される]
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