ロシア海軍航空隊の水陸両用機Be-12チャイカは近代化改修される
- カテゴリ:ロシアの対潜哨戒機
『イズベスチヤ』より
2018年1月18日0時1分配信
【「チャイカ」は復活を待つ】
ユニークな水陸両用機Be-12は「第2の生命」を得る。

(ロシア)海軍総司令部は、ユニークな航空機Be-12「チャイカ」の寿命を延長する決定を採択した。
この機体は水陸両用クラス(航空界の俗語では、またの名を「飛行艇」という)に属する。
それは、陸上の飛行場、そして水上から発進し、降りる事ができる。
近代化の際に「チャイカ」は、根本的に新しい捜索-照準システムと現代的な兵器を受け取る。
Be-12はロシア連邦軍の軍備として存在する最古参の航空機と見られている。
最初の「飛行艇」をソヴィエト社会主義共和国連邦海軍が受領したのは1960年代半ばであった。
海軍総司令部が『イズベスチヤ』へ話したように、Be-12を近代化する決定は原則的に採択されている。
現在、水陸両用機の機上兵装更新の科学-研究及び試験-設計作業の開始の為に必要な戦術-技術的課題及び文書一式は形成されている。
Be-12は、敵潜水艦の情報偵察の為に最も重要な3つの複合体の更新を計画している:水中音響(潜水艦の騒音検出)、電波位置特定及び磁気探知(潜水艦には船体から放出される磁気が存在する)。
更に、近代化される「飛行艇」の弾薬として現代的な対潜魚雷及び深海爆弾が補充される。
Be-12の初飛行は1960年に実施された。
航空機が水上から発進する際の利便性の為、曲がったV字翼が採用された。
胴体下部の設計には艦船の輪郭が取り入れられた。
そのお陰で「チャイカ」は、3バールの嵐でも滑らかな水面と同様に着水及び離水できる。
「飛行艇」は時速500キロメートルの速度を発揮する。
Be-12は機内搭載燃料により4000キロメートル以上の飛行と、数時間に渡る哨戒が可能である。
水陸両用機の弾薬には、機雷、魚雷、爆雷が含まれる。
雑誌『アヴィアポルト』編集長代行オレグ・パンテレーエフによると、現用のBe-12集団の点検により、この空中船は充分な飛行のリソースを残している事が示され、動力装置も同様であり、それは稼働の為の保守修理作業の実行を助ける。
「これにより、チャイカの戦闘効率性は著しく増大し、潜水艦検出の為の独特の兵装はより完全なものとなり、他のシステムも同様です」
専門家は指摘した。
「まず第一に、この通信システムは航空機の対潜作戦統制の総合回路とのインテグレートが可能です」
海軍専門家アレクサンドル・モズゴヴォイは、Be-12の近代化は海軍の能力、特に沿岸海域での対潜防衛を強化する事を指摘した。
「当時、これは極めて成功した航空機であり、そして今、兵装の更新により、沿岸海域での監視任務を完全に効率よく果たす事ができるようになります」
専門家は指摘した。
「Be-12は大きくない海域、例えば黒海やバルト海において独特の必要性が有ります。
それは、大洋における長時間の哨戒或いは強く波打つ海上での作業の為に意図されておりませんので」
1960年から1973年にかけて143機のBe-12が生産された。
この機体は、ソヴィエト社会主義共和国連邦海軍の全ての艦隊が装備していた。
太平洋艦隊において「チャイカ」は第289独立対潜航空連隊及び第317混成航空連隊が装備していた。
同様の「飛行艇」航空連隊は、黒海艦隊と北方艦隊にも在った。
カリーニングラードには、バルト艦隊の第49独立飛行隊のBe-12が駐留していた。
1993年から1998年に、殆ど全ての「チャイカ」が退役した。
最後の6機の機体は黒海艦隊の第318航空連隊に含まれている。
更に約10機がタガンロク航空工場及びオストロフ飛行場で保管状態に在る。
【株式会社「G.M.ベリエフ記念タガンロク航空科学技術複合体」公式サイト】

水陸両用機ベリエフBe-12「チャイカ」は、1959年から1973年に掛けて対潜型と捜索救助型が合計143機製造され、太平洋艦隊、北方艦隊、バルト艦隊、黒海艦隊の海軍航空隊に配備されました。
【ベリエフBe-12全機リスト】
[太平洋艦隊]
・第289独立対潜航空連隊(沿海地方、ニコラエフカ飛行場)

・第317混成航空連隊(カムチャツカ半島、エリゾヴォ飛行場)

[北方艦隊]
・第403独立対潜航空連隊(セヴェロモルスク飛行場)

[黒海艦隊]
・第318独立対潜航空連隊(クリミア半島、ドヌズラフ飛行場)

[バルト艦隊]
・第49独立対潜飛行隊(カリーニングラード、ノイチフ飛行場)

1980年代にはBe-12の後継機としてA-40「アリバトロース」が開発されたのですが(1986年12月8日に初飛行)、1991年12月末のソ連邦解体後の極度の財政難により量産には至らず、試作のみで終わりました。

1990年代末までには財政難により黒海艦隊以外のBe-12は全て退役しました。
ただ、黒海艦隊のBe-12のみは、ウクライナとの黒海艦隊分割協定の絡みで退役せずに残されました。
1997年5月に締結された黒海艦隊分割協定では、セヴァストーポリ軍港の一部とクリミア半島の2ヶ所の飛行場を2017年5月まで使用できる事になりましたが、そこへ駐留する各種兵力は、この協定が成立した時点でクリミア半島に居た部隊に限られており、それ以外に新たな兵力~この場合は航空機をクリミアに配備しようとすれば、ウクライナとの事前協議を行ない、同国の同意を得る必要が有りました。
1997年5月の時点でクリミア半島に駐留していた固定翼対潜哨戒機はBe-12のみであり、例えばロシア本土から他の対潜哨戒機~Tu-142M3やIl-38をクリミアへ持ってこようとすればウクライナの同意を得なければならず、しかもウクライナは、これ以上ロシア海軍の兵力がクリミア半島へ増える事を望んでいませんでした。
このような政治的理由により、ロシア海軍としてはクリミア半島に駐留できる唯一の固定翼対潜哨戒機としてBe-12を細々と維持せざるを得ず、これが既定路線となりました。
なお、黒海艦隊協定は2014年春に破棄されました。
[ロシア-ウクライナ間の黒海艦隊協定は廃止された]
現在、ロシア黒海艦隊のBe-12は、セヴァストーポリの北にあるカーチャ飛行場に駐留しています。


2012年10月12日には捜索救助型のBe-12PS(RF-12008)が墜落しました。
[ロシア黒海艦隊の水陸両用機Be-12墜落]
稼働機が残り少なくなってきた為、2014年にはBe-12のオーバーホールが行なわれました。
[ロシア海軍航空隊のチャイカは復活する]
2014年4月には北方艦隊基地で行なわれたロシア海軍全艦隊の対潜航空隊による初の対潜戦闘競技会へ参加しました。
[ロシア海軍航空隊の「対潜道」競技会が開催された]
黒海艦隊がクリミア半島周辺で演習を行なう際も、たびたびBe-12は参加しています。
[バルト艦隊の大型揚陸艦は黒海の「抜き打ち演習」に参加した]
[黒海艦隊のロケット艦部隊は対艦ミサイル発射演習を行なった]
[ロシア黒海艦隊のロケット艦は砲撃訓練を実施した]
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワは黒海で戦闘訓練を行なった]
[ロシア海軍黒海艦隊航空隊は抜き打ち演習を行なった]
[ロシア海軍黒海艦隊は『抜き打ち演習』を実施する]
[ロシア海軍黒海艦隊はクリミアで上陸演習を行なう]
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイは黒海で対空戦闘訓練を行なった]
2017年7月30日の「ロシア海軍の日」には、クロンシュタットの「主要海軍パレード」に参加しました。
[2017年7月30日にクロンシュタットとサンクトペテルブルクで挙行される『ロシア海軍の日』観艦式には約40隻の艦船が参加する]
最近では、2018年1月20日にクリミア半島沖でヘリコプターKa-27PLと共に対潜戦闘飛行訓練を行なっています。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2018年1月20日12時16分配信
【黒海艦隊のSu-24及びSu-30乗員は戦闘順応飛行演習へ着手した】
現在、ロシア海軍航空隊の現用対潜機~対潜哨戒機Il-38と対潜ヘリコプターKa-27PLの近代化改修が進められています。
[ロシア海軍航空隊は2025年までに30機の近代化改修された対潜哨戒機Il-38Nを受け取る]
[ロシア海軍航空隊は近代化された艦載ヘリコプターKa-27Mを毎年10機受領する]
2017年12月末、ロシア海軍航空隊司令官イーゴリ・コジン少将は、今後の海軍航空隊の装備更新の話の中で対潜水陸両用機Be-12の近代化に言及しました。
ロシア連邦軍機関紙『クラースナヤ・ズヴェズダー』より
2017年12月29日1時0分配信
【更新の道】
コジン少将は「水陸両用機Be-12は新たな対潜複合体による近代化が計画されている」と述べています。
2018年1月18日0時1分配信
【「チャイカ」は復活を待つ】
ユニークな水陸両用機Be-12は「第2の生命」を得る。

(ロシア)海軍総司令部は、ユニークな航空機Be-12「チャイカ」の寿命を延長する決定を採択した。
この機体は水陸両用クラス(航空界の俗語では、またの名を「飛行艇」という)に属する。
それは、陸上の飛行場、そして水上から発進し、降りる事ができる。
近代化の際に「チャイカ」は、根本的に新しい捜索-照準システムと現代的な兵器を受け取る。
Be-12はロシア連邦軍の軍備として存在する最古参の航空機と見られている。
最初の「飛行艇」をソヴィエト社会主義共和国連邦海軍が受領したのは1960年代半ばであった。
海軍総司令部が『イズベスチヤ』へ話したように、Be-12を近代化する決定は原則的に採択されている。
現在、水陸両用機の機上兵装更新の科学-研究及び試験-設計作業の開始の為に必要な戦術-技術的課題及び文書一式は形成されている。
Be-12は、敵潜水艦の情報偵察の為に最も重要な3つの複合体の更新を計画している:水中音響(潜水艦の騒音検出)、電波位置特定及び磁気探知(潜水艦には船体から放出される磁気が存在する)。
更に、近代化される「飛行艇」の弾薬として現代的な対潜魚雷及び深海爆弾が補充される。
Be-12の初飛行は1960年に実施された。
航空機が水上から発進する際の利便性の為、曲がったV字翼が採用された。
胴体下部の設計には艦船の輪郭が取り入れられた。
そのお陰で「チャイカ」は、3バールの嵐でも滑らかな水面と同様に着水及び離水できる。
「飛行艇」は時速500キロメートルの速度を発揮する。
Be-12は機内搭載燃料により4000キロメートル以上の飛行と、数時間に渡る哨戒が可能である。
水陸両用機の弾薬には、機雷、魚雷、爆雷が含まれる。
雑誌『アヴィアポルト』編集長代行オレグ・パンテレーエフによると、現用のBe-12集団の点検により、この空中船は充分な飛行のリソースを残している事が示され、動力装置も同様であり、それは稼働の為の保守修理作業の実行を助ける。
「これにより、チャイカの戦闘効率性は著しく増大し、潜水艦検出の為の独特の兵装はより完全なものとなり、他のシステムも同様です」
専門家は指摘した。
「まず第一に、この通信システムは航空機の対潜作戦統制の総合回路とのインテグレートが可能です」
海軍専門家アレクサンドル・モズゴヴォイは、Be-12の近代化は海軍の能力、特に沿岸海域での対潜防衛を強化する事を指摘した。
「当時、これは極めて成功した航空機であり、そして今、兵装の更新により、沿岸海域での監視任務を完全に効率よく果たす事ができるようになります」
専門家は指摘した。
「Be-12は大きくない海域、例えば黒海やバルト海において独特の必要性が有ります。
それは、大洋における長時間の哨戒或いは強く波打つ海上での作業の為に意図されておりませんので」
1960年から1973年にかけて143機のBe-12が生産された。
この機体は、ソヴィエト社会主義共和国連邦海軍の全ての艦隊が装備していた。
太平洋艦隊において「チャイカ」は第289独立対潜航空連隊及び第317混成航空連隊が装備していた。
同様の「飛行艇」航空連隊は、黒海艦隊と北方艦隊にも在った。
カリーニングラードには、バルト艦隊の第49独立飛行隊のBe-12が駐留していた。
1993年から1998年に、殆ど全ての「チャイカ」が退役した。
最後の6機の機体は黒海艦隊の第318航空連隊に含まれている。
更に約10機がタガンロク航空工場及びオストロフ飛行場で保管状態に在る。
【株式会社「G.M.ベリエフ記念タガンロク航空科学技術複合体」公式サイト】

水陸両用機ベリエフBe-12「チャイカ」は、1959年から1973年に掛けて対潜型と捜索救助型が合計143機製造され、太平洋艦隊、北方艦隊、バルト艦隊、黒海艦隊の海軍航空隊に配備されました。
【ベリエフBe-12全機リスト】
[太平洋艦隊]
・第289独立対潜航空連隊(沿海地方、ニコラエフカ飛行場)

・第317混成航空連隊(カムチャツカ半島、エリゾヴォ飛行場)

[北方艦隊]
・第403独立対潜航空連隊(セヴェロモルスク飛行場)

[黒海艦隊]
・第318独立対潜航空連隊(クリミア半島、ドヌズラフ飛行場)

[バルト艦隊]
・第49独立対潜飛行隊(カリーニングラード、ノイチフ飛行場)

1980年代にはBe-12の後継機としてA-40「アリバトロース」が開発されたのですが(1986年12月8日に初飛行)、1991年12月末のソ連邦解体後の極度の財政難により量産には至らず、試作のみで終わりました。

1990年代末までには財政難により黒海艦隊以外のBe-12は全て退役しました。
ただ、黒海艦隊のBe-12のみは、ウクライナとの黒海艦隊分割協定の絡みで退役せずに残されました。
1997年5月に締結された黒海艦隊分割協定では、セヴァストーポリ軍港の一部とクリミア半島の2ヶ所の飛行場を2017年5月まで使用できる事になりましたが、そこへ駐留する各種兵力は、この協定が成立した時点でクリミア半島に居た部隊に限られており、それ以外に新たな兵力~この場合は航空機をクリミアに配備しようとすれば、ウクライナとの事前協議を行ない、同国の同意を得る必要が有りました。
1997年5月の時点でクリミア半島に駐留していた固定翼対潜哨戒機はBe-12のみであり、例えばロシア本土から他の対潜哨戒機~Tu-142M3やIl-38をクリミアへ持ってこようとすればウクライナの同意を得なければならず、しかもウクライナは、これ以上ロシア海軍の兵力がクリミア半島へ増える事を望んでいませんでした。
このような政治的理由により、ロシア海軍としてはクリミア半島に駐留できる唯一の固定翼対潜哨戒機としてBe-12を細々と維持せざるを得ず、これが既定路線となりました。
なお、黒海艦隊協定は2014年春に破棄されました。
[ロシア-ウクライナ間の黒海艦隊協定は廃止された]
現在、ロシア黒海艦隊のBe-12は、セヴァストーポリの北にあるカーチャ飛行場に駐留しています。


2012年10月12日には捜索救助型のBe-12PS(RF-12008)が墜落しました。
[ロシア黒海艦隊の水陸両用機Be-12墜落]
稼働機が残り少なくなってきた為、2014年にはBe-12のオーバーホールが行なわれました。
[ロシア海軍航空隊のチャイカは復活する]
2014年4月には北方艦隊基地で行なわれたロシア海軍全艦隊の対潜航空隊による初の対潜戦闘競技会へ参加しました。
[ロシア海軍航空隊の「対潜道」競技会が開催された]
黒海艦隊がクリミア半島周辺で演習を行なう際も、たびたびBe-12は参加しています。
[バルト艦隊の大型揚陸艦は黒海の「抜き打ち演習」に参加した]
[黒海艦隊のロケット艦部隊は対艦ミサイル発射演習を行なった]
[ロシア黒海艦隊のロケット艦は砲撃訓練を実施した]
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワは黒海で戦闘訓練を行なった]
[ロシア海軍黒海艦隊航空隊は抜き打ち演習を行なった]
[ロシア海軍黒海艦隊は『抜き打ち演習』を実施する]
[ロシア海軍黒海艦隊はクリミアで上陸演習を行なう]
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイは黒海で対空戦闘訓練を行なった]
2017年7月30日の「ロシア海軍の日」には、クロンシュタットの「主要海軍パレード」に参加しました。
[2017年7月30日にクロンシュタットとサンクトペテルブルクで挙行される『ロシア海軍の日』観艦式には約40隻の艦船が参加する]
最近では、2018年1月20日にクリミア半島沖でヘリコプターKa-27PLと共に対潜戦闘飛行訓練を行なっています。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2018年1月20日12時16分配信
【黒海艦隊のSu-24及びSu-30乗員は戦闘順応飛行演習へ着手した】
現在、ロシア海軍航空隊の現用対潜機~対潜哨戒機Il-38と対潜ヘリコプターKa-27PLの近代化改修が進められています。
[ロシア海軍航空隊は2025年までに30機の近代化改修された対潜哨戒機Il-38Nを受け取る]
[ロシア海軍航空隊は近代化された艦載ヘリコプターKa-27Mを毎年10機受領する]
2017年12月末、ロシア海軍航空隊司令官イーゴリ・コジン少将は、今後の海軍航空隊の装備更新の話の中で対潜水陸両用機Be-12の近代化に言及しました。
ロシア連邦軍機関紙『クラースナヤ・ズヴェズダー』より
2017年12月29日1時0分配信
【更新の道】
コジン少将は「水陸両用機Be-12は新たな対潜複合体による近代化が計画されている」と述べています。
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