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ロシア海軍の新世代汎用ヘリコプター揚陸艦セヴァストーポリ型の設計は『北方計画設計局』が担当する

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『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2018年3月29日17時14分配信
【情報筋:ロシアは海軍の為の新たな汎用揚陸艦の概略設計をスタートさせる】

ロシアの設計者は、ロシア海軍の為の汎用揚陸艦の概略設計の開発を始める。
『Mil.Press FlotProm』は、サンクトペテルブルクの設計局に関係する3名の情報提供者より伝えられた。


その内の1人によると、汎用揚陸艦の概略設計の作成の発注は、『北方計画設計局』へ一任された。
これまでは伝統的に、国産の揚陸艦及び航空艦の設計には『ネフスキー計画設計局』が従事していた。

2000年代、『北方計画設計局』は、プロジェクト21810中型揚陸艦を開発した。
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唯一の充分に大きな「揚陸艦」は書類上に在ったが、ロシア海軍は、その発注を断念した。
艦の模型は、軍事技術フォーラム『アルミヤ(軍)-2017』で初めて示された。
インド海軍の為に中型揚陸艦の輸出版が作成されたものの、それは発注者が居ないままである。

サンクトペテルブルク設計局の高位の情報提供者の1人は『Mil.Press FlotProm』へ、海軍『ネフスキー計画設計局』が間接的に作成に立ち会ったプロジェクト11711大型揚陸艦の改善ヴァージョンを断念し、ヘリコプター母艦を選択したと話した。

2015年、「揚陸艦」の2つのヴァージョンを設計者より提示された~それは排水量約14000トンのヘリコプター・ドック艦(コード名「プリボイ」、開発者『ネヴァ川計画設計局』)と、クルイロフの技術者による排水量24000トンの汎用艦(コード名「ラヴィーナ」)である。
海軍が、どのプロジェクトを選択したのかという情報は未だ知られていない。
設計局へは3月29日に対応する問い合わせを送った。

他の情報提供者は『Mil.Press FlotProm』特派員との対談で、新たな艦の作成には、協業生産の枠組みで複数の企業が関わり、艦の概念案の作者である『クルイロフ国立科学センター』も含まれる事を強調した。
『クルイロフ国立科学センター』は模型試験を実行し、強度計算を仕上げ、更には設計への助言を続ける。
対談者は、艦の開発へ『ネヴァ川計画設計局』及び『北方計画設計局』の技術者が関わる可能性を排除せず、既に数年間に渡り企業合併の可能性が討議されていると付け加えた。

大規模な揚陸艦の建造は、2027年までの国家軍備プログラムにおいて起工され、ヘリコプター母艦の建造は『北方造船所』へ一任される。
発注される最初の船体は、2020年頃には現実化する。

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プロジェクト775大型揚陸艦「カリーニングラード」の元艦長セルゲイ・ストゥプニコフ3等海佐は『Mil.Press FlotProm』特派員との対談で、海軍は新たな汎用揚陸艦を必要としている事を指摘した~まず第一に太平洋艦隊黒海艦隊、更には北方艦隊も有り得る。
彼によると、バルト艦隊には、この艦は存在しなくとも良い。

彼は、現在、大型揚陸艦は主に貨物輸送の為に使用されており、大型の汎用揚陸艦の出現は、ロシア海軍の能力を拡張する事を付け加えた。

[『Mil.Press FlotProm』参照]
2017年6月、サンクトペテルブルク国際海軍サロン開催時にロシア海軍副総司令官(軍備担当)ヴィクトール・ブルスク中将『FlotProm』特派員へ、海軍は2025年に2隻のヘリコプター母艦の受領を見込んでいると語った。
彼によると、納入される2隻の艦は、フランス「ミストラル」に類似しており、この国家軍備プログラムの有効期間の最後に計画されている。

2015年、『ネヴァ川計画設計局』は、ヘリコプター母艦のヴァージョンを提示した。
プロジェクト「プリボイ」艦はディーゼル動力装置の装備が計画されている。
その兵装は、高射ミサイル-砲複合体「パーンツィリ-M」、4~6機のヘリコプターKa-27或いはKa-52K電波位置測定ステーション「ポジチフ-M1.2」MR-231である。

「プリボイ」は500名の海軍歩兵隊員、40~60両の車両、更には4隻のプロジェクト11770M揚陸艇或いは2隻のプロジェクト12061M揚陸艇を積載する。
ヘリコプター母艦の排水量は約14000トン、全長165メートル、幅25メートル。
最大速力は約20ノット。



2011年6月にロシアフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

フランスロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]

その後、2隻の「ミストラル」級エジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)

「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。
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「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。
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一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]
[ロシア海軍の為の将来大型揚陸艦は複数のヴァージョンが設計されている]
[ロシア海軍の為の新たなヘリコプター揚陸艦の設計は進められている]

[汎用揚陸ヘリコプター母艦「ラヴィーナ」]
満載排水量:24000トン
全長:180メートル
幅:30メートル
吃水:5メートル
速力:22ノット
航続距離:5000海里
自立行動期間:60日
乗員:320名
積載能力:海軍歩兵隊員500名、各種戦闘車両50両
搭載機:ヘリコプター×16機(Ka-29、Ka-52K、Ka-27)
搭載艇:揚陸艇×6隻
兵装:AK-176MA 76mm単装砲×1基
高射ミサイル砲複合体「パーンツィリ-M」×2基
高射砲複合体「パラシ」×3基
AK-630M2「ドゥエト」30mm機関砲×2基


この概念設計案「ラヴィーナ」をベースにして、ロシア海軍向けとなる汎用ヘリコプター揚陸艦が設計され、実際に建造されることになります。
[ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の設計作業は進められている]

汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]

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搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。
[ロシア海軍向けの艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランの供給契約は2019年に締結される]

Ka-52K「カトラン」の量産は2020年から開始される予定です。
[ロシア海軍向けの艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランの量産は2020年に始まる]

この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、最近、修復が始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊は修復された戦闘輸送ヘリコプターKa-29を受領する]

「ミストラル」級が配備される予定だったウラジオストク南部ウリス湾では、埠頭の建設が続けられています。
[ウラジオストクのウリス湾ではロシア海軍の大型水上艦(ヘリコプター空母)の為の埠頭の建設が続けられる]
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「ロシア版ミストラル」の建造は『2018-2027年の国家軍備プログラム』の枠組みで開始される予定です。
[ロシア造船業界はロシア海軍の為の汎用ヘリコプター揚陸艦の建造を開始する準備を整えている]

2017年5月、「ロシア防衛産業の匿名希望の情報提供者」は、2隻の調達が計画されている揚陸ヘリコプター揚陸艦の建造スケジュールの詳細を明らかにしました。
[ミストラル級の代わりとなる新たな揚陸ヘリコプター母艦2隻は2024年と2026年にロシア海軍へ引き渡される]

[汎用ヘリコプター揚陸艦]
・1番艦「セヴァストーポリ」:2020年起工/2024年就役予定
・2番艦:2022年起工/2026年就役予定


汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)となるとの事です。

これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]

汎用ヘリコプター揚陸艦の1番艦の建造費は約400億ルーブルになると見積もられています。
[ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の1番艦の建造費は約400億ルーブルになる]

ロシア国防省(ロシア海軍)は、セヴァストーポリ市の要望に応え、汎用ヘリコプター揚陸艦の1番艦に「セヴァストーポリ」の名前を付ける事を決定しました。
[ウラジオストクとセヴァストーポリの名はロシア海軍の将来ヘリコプター揚陸艦へ与えられる]
[ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の1番艦はセヴァストーポリと命名される]

汎用ヘリコプター揚陸艦の建造を担当する造船所は、これまでに複数の候補が挙げられていましたが、サンクトペテルブルク『北方造船所』に決まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用ヘリコプター母艦プリボイ級1番艦セヴァストーポリはサンクトペテルブルクの『北方造船所』で2020年に起工される]
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そして、実際にロシア海軍向けに建造される汎用ヘリコプター揚陸艦の設計を担当する設計局は、以前には『ネフスキー計画設計局』になると言われていましたが、最近は『北方計画設計局』が有力視されているようです。

『ネフスキー計画設計局』は、ソ連時代から海軍揚陸艦航空機搭載艦(航空母艦)の設計を手掛けているのに対し、『北方計画設計局』は、主に巡洋艦、駆逐艦、フリゲート級の水上戦闘艦の設計を専門としており、揚陸艦の設計の経験は殆ど有りません。

唯一、『北方計画設計局』が手掛けた揚陸艦が、2000年代に設計したプロジェクト21810中型揚陸艦です。
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[プロジェクト21810中型揚陸艦]
満載排水量:1600トン
全長:97メートル
幅:11メートル
速力:16ノット
航続距離:14ノットで2500海里
自立航行期間:30日
乗組員:47名
積載能力:海軍歩兵隊員200名、戦車5両
兵装:110mmロケット砲×2基
AK-630M 30mmガトリング砲×2基
高射砲複合体「パラシ」×3基
高射ミサイル複合体「イグラ」8連装発射機×1基


これはインド海軍向けなどを念頭に輸出用として設計されましたが、何処からも発注が無かった為、ペーパープランに終わりました。


『北方計画設計局』汎用ヘリコプター揚陸艦を設計する場合、その概念設計案「ラヴィーナ」を作成した『クルイロフ国立科学センター』が全面的に支援する事になるでしょう。
更には、『ネヴァ川計画設計局』も何らかの支援を行なうかもしれません。
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