ロシア海軍黒海艦隊の大型揚陸艦オルスクはシリアへの輸送任務(シリア・エクスプレス)に就いた
- カテゴリ:地中海情勢(2018年)

『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2018年4月16日12時24分配信
【ロシア海軍の大型揚陸艦は地中海へ入った】
イスタンブール、4月16日、インタファクス
ロシア海軍の大型揚陸艦「オルスク」は黒海海峡を通過して地中海エリアへ入った。
現地のインターネットサイトは、ボスポラス海峡を通過する写真を公表した。
イスタンブールのサイトは、黒海艦隊の戦闘艦「オルスク」は、地中海のロシア海軍の物資-技術サービス供給所が置かれているシリアのタルトゥース港へ向かっていると確信している。
彼らは、大型揚陸艦「オルスク」の喫水線から判断して、貨物を満杯に積んでいる事を指摘した。
公表された写真では、最上甲板には複数の装甲輸送車BTR-80、幌付きトラック「カマズ」、補給車「ウラル」、装甲自動車「チグル」が確認されており、緑色に塗装されている。
これは、大型揚陸艦「オルスク」の今年4度目のシリアへの航海である。
以前、4月に大型揚陸艦「ミンスク」(4月5日)と大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」(4月13日)が黒海海峡を通過して地中海へ行ったと報じられた。
今年、シリアへの貨物輸送航海は、大型揚陸艦「アゾフ」、「アレクサンドル・オトラコフスキー」、「ミンスク」、「ニコライ・フィリチェンコフ」、「オルスク」、更には輸送船「クズル-60」により行なわれている。
海外メディアによれば、ロシア海軍の大型揚陸艦及び補助船隊、更にチャーター船は、ラタキアのフマイミーン飛行場のロシア航空群、タルトゥースの海軍物資-技術サービス供給基地、そしてシリア政府軍の為に貨物を送り届ける「シリア・エクスプレス」と呼ばれる作戦へ参加している。
プロジェクト1171大型揚陸艦BDK-69は1968年12月5日に就役し、黒海艦隊へ編入されました。
ソ連海軍時代には、地中海、大西洋、インド洋へ進出し、活発に行動していました。
1972年6月~7月にはエジプトへ駐留しました。
ソ連邦解体後も2000年代初頭までは稼働状態に在りました。
上陸演習を行なうBDK-69(1997年撮影)

複合補給艦「べレジナ」と共に(2000年撮影)

2004年からオーバーホールが始まりましたが、資金の割り当てが不十分だった為に作業は殆ど進まず、事実上予備役となっていました。
2014年8月から本格的な修理工事が始まりました。
[ロシア黒海艦隊のアリゲーター級揚陸艦2隻はセヴァストーポリで修理される]
オーバーホールは2017年10月下旬に完了し、10月27日には艦の点検の為に出航しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア南方軍管区(黒海艦隊)広報サービス発表
2017年10月27日14時3分配信
【黒海艦隊の大型揚陸艦「オルスク」は計画修理後に出航した】
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
黒海地域情報供給部(セヴァストーポリ市)発表
2017年11月12日8時0分配信
【大型揚陸艦「オルスク」乗組員は艦の修理後の工場点検を完了した】
オーバーホール後の点検を終え、2017年12月中旬に艦隊へ復帰しました。

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア南方軍管区(黒海艦隊)広報サービス発表
2017年12月12日13時6分配信
【黒海艦隊の大型揚陸艦「オルスク」は修理後に戦闘任務遂行へ着手する】
「オルスク」は2018年1月10日にボスポラス海峡を南下して地中海へ入り、シリアのタルトゥース港へ向かいました。

1月27日にボスポラス海峡を北上して黒海へ入り、その後、セヴァストーポリへ帰投しました。

これは黒海沿岸からシリアのタルトゥース港へ各種貨物を輸送する「シリア・エクスプレス」と呼ばれる輸送任務です。

2018年3月5日には再びボスポラス海峡を南下し、2度目の「シリア・エクスプレス」へ向かいました。
[ロシア海軍黒海艦隊の大型揚陸艦オルスクはシリアへの輸送任務に就いた]
3月15日にボスポラス海峡を北上して黒海へ戻りました。
3月20日にはクリミア半島のオプークで上陸訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊の大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフとオルスクはクリミア半島で上陸訓練を行なった]
「オルスク」は3月26日にもボスポラス海峡を南下して地中海へ入り、4月9日には同海峡を北上して黒海へ戻っています。
そして2018年4月15日、「オルスク」は今年4度目の「シリア・エクスプレス」へ向かいました。
現在、地中海東部には、以下の艦船を含め、約15隻のロシア海軍艦船が滞在しています。
これらの艦船はロシア海軍地中海作戦連合部隊(2013年6月1日創設)の指揮下で行動しています。
[ロシア海軍地中海作戦部隊は6月1日から任務を遂行している]
フリゲート「アドミラル・エッセン」(黒海艦隊):2018年3月13日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」(黒海艦隊):2017年12月2日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
潜水艦「ヴェリキー・ノヴゴロド」(黒海艦隊):2017年9月初頭から地中海東部に滞在
潜水艦「コルピノ」(黒海艦隊):2017年9月初頭から地中海東部に滞在
海洋掃海艦「ヴィツェ・アドミラル・ザハリン」(黒海艦隊):2018年2月21日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
中型偵察艦「エクヴァトル」(黒海艦隊):2018年2月6日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」(黒海艦隊):2018年4月13日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
大型揚陸艦「オルスク」(黒海艦隊):2018年4月15日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
貨物船「アレクサンドル・トカチェンコ」(黒海艦隊):2018年4月13日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
対水中工作艇「キネリ」(黒海艦隊):2018年3月30日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」(黒海艦隊):2018年1月29日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
救助曳船SB-729(黒海艦隊):2018年2月21日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
工作船PM-138(黒海艦隊):2018年3月8日にボスポラス海峡を南下、地中海入り
現在は地中海東部でアメリカ海軍などの軍艦を監視しているようです。
[ロシア海軍地中海作戦連合部隊は地中海東部でアメリカ海軍などの軍艦を追尾している]

ロシア海軍は、4月11日以降、地中海東部で射撃演習を実施しています。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2018年4月11日13時6分配信
【ロシア海軍は地中海で艦船グループの演習を始めた】
具体的な演習の実施期間は、4月11日~12日、4月17日~19日、4月25日~26日です。
演習実施時間は、それぞれモスクワ時間で10時から18時までとなっております。
(日本時間だと16時から24時まで)
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