ロシア海軍北方艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーで就役20周年記念式典が開催された
- カテゴリ:重原子力ロケット巡洋艦キーロフ型

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2018年4月21日14時28分配信
【巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」で艦の20周年に捧げられる式典が開催された】
本日、北方艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」において、艦の20周年記念式典が開催され、聖アンドレイ旗及び満艦飾が掲げられた。
祝賀会合中、北方艦隊参謀長ウラジーミル・グリシェチキー少将とロケット艦師団参謀長アンドレイ・サロシキン1等海佐、セヴェロモルスク市のトップ、ウラジーミル・エフメニコフ、ナヒーモフ海軍兵学校ムルマンスク分校校長で最後の北方艦隊第7作戦戦隊司令官アレクセイ・マクシミチュク退役中将及び艦の退役将兵は乗組員へ祝辞を述べた。

優れた将兵には表彰状と高価な贈り物が授与された。
重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」は、航空母艦を除き、核動力装置を有する世界最大の打撃戦闘艦である。
艦は、多種多様な兵器システム及び電波工学兵装を装備する。
その格納庫には、3機のヘリコプターを収容できる。
巡洋艦は、水上、空中、水中の敵との戦闘、更には沿岸施設への打撃を首尾よく実施する事が可能である。
重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」は、カリブ海でのベネズエラ海軍の艦とのものを含め、ロシア海軍の多くの国際演習へ参加した。
巡洋艦の乗組員は、北極海、インド洋、太平洋、大西洋で任務を遂行した。
総計で艦は20万海里以上を航行した。
2013年~2014年、「ピョートル・ヴェリキー」は地中海でシリア・アラブ共和国からの化学兵器の搬出及び破壊の安全を保障した。
2016年10月から2017年2月には、北方艦隊航空艦グループの一員として国際テロリストとの武力闘争の任務を遂行した。
8年間に渡り巡洋艦の艦長はウラジスラフ・マラホフスキー1等海佐が務めている。
2013年1月、彼は、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンから、ロシア海軍で最初に重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」へ授与されたナヒーモフ勲章を受け取った。
プロジェクト1144重原子力ロケット巡洋艦(キーロフ型)4番艦「ユーリー・アンドロポフ」は、レニングラード(現サンクトペテルブルク)の『オルジョニキーゼ記念造船工場』(現『バルト工場』)で1986年4月に起工され、1989年4月に進水しました。
ソヴィエト連邦解体後の1992年5月27日、「ピョートル・ヴェリキー」と改名されました。
就役前の1996年11月に北方艦隊基地セヴェロモルスクへ回航されました。
就役前の「ピョートル・ヴェリキー」(183)
手前の「090」は同型艦「アドミラル・ウシャコーフ」

[就役前の原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」(1995~1997年)]
ロシア海軍へ納入されたのは、起工から約12年後の1998年3月であり、同年4月18日に海軍旗初掲揚式典を開催し、正式にロシア海軍へ就役、北方艦隊へ編入されました。
当初は太平洋艦隊へ配備される予定でしたが、この当時のロシア海軍には「ピョートル・ヴェリキー」を極東まで回航する財政的余裕が無い為、北方艦隊へ編入されました。
[原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」就役10周年]
就役直後の「ピョートル・ヴェリキー」(099)
「090」は同型艦「アドミラル・ウシャコーフ」、「080」は「アドミラル・ナヒーモフ」

「ピョートル・ヴェリキー」を始めとするキーロフ型はステルス艦であり、装甲防御が施されています。
[ステルス軍艦・キーロフ級]
[装甲巡洋艦・キーロフ級]
就役直後は資金不足で外洋への航海を実施する事が出来ず、2004年3月下旬には、本艦を巡る「核爆発騒動」が起こりました。
[ピョートル・ヴェリキー「核爆発」騒動]
2004年10月、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」と共に北東大西洋へ進出しました。
[大西洋上のクズネツォフ・その2(機動部隊)]
[大西洋上のクズネツォフ・その3(機動部隊)]
2005年にも大西洋で行動しました。
[原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」その1]
[原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」その2]
「ピョートル・ヴェリキー」は、2008年9月から2009年3月までカリブ海、南アフリカ、インドへの長期遠距離航海を実施しました。
[ロシア艦隊の大西洋・カリブ海遠征]
この時、インド沿岸での演習を終えてアデン湾へ航行している途中の「ピョートル・ヴェリキー」は、2009年2月12日、ソコトラ島沖でソマリア海賊を発見、拘留しました。
[ロシア海軍原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、3隻の海賊船を拘留]
2010年3月30日、極東の戦略演習「ヴォストーク-2010」に参加する為に出航し、遥々極東の沿海地方までやって来ました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
【セヴェロモルスクから沿海地方まで】2010年3月30日-5月20日
【沿海地方からセヴェロモルスクまで】2010年6月26日-9月12日
2010年5月16日午後11時頃、「ピョートル・ヴェリキー」は対馬海峡を北上し、日本海へ入りました。
『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より。
【ロシア海軍艦艇の動向(2010年5月17日発表)】
沿海地方のフォーキノ基地へ入港する「ピョートル・ヴェリキー」

フォーキノ基地に停泊する「ピョートル・ヴェリキー」(奥)
手前の艦は同型艦「アドミラル・ラーザレフ」

「ピョートル・ヴェリキー」は、2010年7月初頭から実地戦略演習「ヴォストーク-2010」に参加しました。
『ロシア通信社ノーボスチ』より。
【実地戦略演習「ヴォストーク-2010」纏め】
2010年7月24日正午頃、「ピョートル・ヴェリキー」は、ツシマ海峡を南下、沿海地方を去りました。
『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より。
【ロシア海軍艦艇の動向(2010年7月26日発表)】
2012年5月初頭から6月下旬まで浮きドックへ入渠しました。
[重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキー、浮きドックから出渠(2012年6月23日)]
2012年9月には北極圏への遠距離航海を実施しました。
(2012年9月12日出港、9月28日帰港)
[ロシア北方艦隊北極圏演習(2012年9月)]
この時、北極圏で弾道ミサイル迎撃訓練を実施しました。
[原子力巡洋艦ピョートル・ヴェリキーはロシアの対弾道ミサイル防衛の一翼を担う]
「ピョートル・ヴェリキー」は、現在のロシア海軍において弾道ミサイル迎撃能力を持つ唯一の水上戦闘艦です。
2012年7月28日に「ピョートル・ヴェリキー」へのナヒーモフ勲章の授与が発表され、翌2013年1月10日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンよりナヒーモフ勲章を授与されました。
[プーチン大統領は北方艦隊基地を訪問する]
2013年4月、バレンツ海で各種の演習を実施しました。
[原子力巡洋艦ピョートル・ヴェリキーはバレンツ海で演習を行なう]
[北方艦隊の戦闘艦はバレンツ海で展示演習を実施した]
[原子力巡洋艦ピョートル・ヴェリキーはバレンツ海で対潜演習を実施した]
2013年9月にも北極海への遠距離航海を行ないました。
(2013年9月3日出港、9月30日帰港)
[聖アンドレイの旗の下に]
2013年10月22日から2014年5月18日まで地中海への遠距離航海を行ない、この時にシリアから搬出された化学兵器輸送船の護衛に参加しました。
[原子力巡洋艦ピョートル・ヴェリキー地中海遠征(2013年10月-2014年5月)]
2014年12月にはグリーンランド沖へ進出しました。
[ロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーはグリーンランド沖で潜水艦と「決闘」する為に出航した]
2015年9月初頭から12月初頭まで、定期修理を行なう為、ロスリャコヴォの第82艦船修理工場の大型浮きドックPD-50へ入渠しました。

[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは浮きドックで修理を行なう]
[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは浮きドックへ入った]
2016年5月にはバレンツ海で演習を行ないました。
[重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーはロシア海軍北方艦隊の演習へ参加する]
2016年10月から2017年2月まで重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする北方艦隊航空艦グループのシリア沖への遠征に参加しました。
「アドミラル・クズネツォフ」の艦載機は初めてシリア国内のテロ組織への空爆を行ないましたが、「ピョートル・ヴェリキー」は「アドミラル・クズネツォフ」のエスコート役に徹しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]
2017年7月30日の「ロシア海軍の日」にはクロンシュタットの観艦式に参加しました。
[クロンシュタットの『ロシア海軍の日』観艦式へ参加した北方艦隊の艦船はセヴェロモルスクへ帰投した]
2017年9月には北方艦隊の演習へ参加し、対艦ミサイル「グラニート」を発射しています。
[ロシア海軍北方艦隊の水上艦と原子力潜水艦はバレンツ海で超音速対艦ミサイルを発射した]
[ロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーと駆逐艦アドミラル・ウシャコーフはバレンツ海の演習で対艦ミサイルを撃墜した]
[ロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーと原子力水中巡洋艦オリョールはバレンツ海で対潜戦闘訓練を行なった]
2018年4月18日、「ピョートル・ヴェリキー」は海軍旗初掲揚(正式な海軍への就役)20周年を迎えました。
[ロシア海軍北方艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは20歳になった]
そして3日後の4月21日、セヴェロモルスク基地に停泊している「ピョートル・ヴェリキー」で就役20周年記念式典が開催されました。

記事中で触れられている第7(大西洋)作戦戦隊は、大西洋で活動するソ連海軍の艦船を統一指揮する為、1968年2月1日に設立され、2005年11月30日に解隊しました。
アレクセイ・マクシミチュク中将(右端の士官)は、同戦隊の最後の司令官でした。

「ピョートル・ヴェリキー」は、2020年頃から近代化改装を開始する予定です。
[ロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーの近代化改装は2020年に始まる]
プロジェクト1144/11442重原子力ロケット巡洋艦(「キーロフ」型)は、1981年から1998年に掛けて合計4隻がソ連/ロシア海軍へ就役しましたが、現在、稼働状態に在るのは4番艦「ピョートル・ヴェリキー」のみです。
1番艦「アドミラル・ウシャコーフ」(旧名「キーロフ」、1981年4月12日就役)は、ソ連邦解体後に予備役となり、セヴェロモルスク基地に係留されていましたが、1999年にセヴェロドヴィンスクへ回航され、2004年3月30日に除籍されました。
現在もセヴェロドヴィンスクの艦船修理工場『ズヴェズドーチカ』の岸壁に係留されていますが、今後は解体が予定されています。
[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦キーロフは就役34周年を迎えた]

2番艦「アドミラル・ラーザレフ」(旧名「フルンゼ」、1984年12月7日就役)は、「キーロフ」型で唯一太平洋艦隊へ配備されましたが、こちらもソ連邦解体後に予備役となり、現在は沿海地方のフォーキノ基地で係留保管されています。
2014年には浮きドックで船体の補修が行なわれています。
[ロシア海軍太平洋艦隊の重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ラーザレフは浮きドックで修理された]

3番艦「アドミラル・ナヒーモフ」(旧名「カリーニン」、1989年4月21日就役)は、ソ連邦解体後も稼働状態に置かれていましたが、1999年にはオーバーホールの為にセヴェロドヴィンスクへ回航され、2013年から大規模な近代化改装工事が始まりました。
改装工事は2021年末までの完了が予定されています。
[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ナヒーモフの近代化改装は2021年までの完了が予定されている]

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