ロシア海軍北方艦隊の最新砕氷船イリヤー・ムーロメツは白海の結氷海域で戦略用途原子力水中巡洋艦ユーリー・ドルゴルーキーを先導した

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2018年4月28日15時29分配信
【砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」は北方艦隊の原子力潜水艦の氷原の通過を保障した】
砕氷試験の任務を遂行している北方艦隊の最新砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」は、初めて原子力潜水艦の先導を行なった。
カルスキエボロタ海域での作業を成功裏に終えた砕氷船は、戦略水中巡洋艦「ユーリー・ドルゴルーキー」へ同行して白海の湾口を通過した。
白海の船舶航行水路の氷の厚さは、約40センチメートルになる。
このような条件では、非砕氷クラスの船の独力での航行は不可能である。
巡洋艦の移動は、更に、白海海軍基地の砕氷船「ルスラン」及び海洋曳船により保障された。
砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」は、結氷下での航路敷設を初めて行なった。
本日、艦船支隊はセヴェロドヴィンスクへ到着した。
[参照]
プロジェクト21180ディーゼルエレクトリック砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」~これは新世代の多機能船であり、厚さ0.9メートルまでの氷原における艦船の先導の為に意図されている。
砕氷船は船倉及び甲板上のコンテナで貨物を輸送し、水路調査を行ない、救助活動へ参加できる。
船は事故施設の火災の消火、流出した油の処理、更には乗客或いは揚陸部隊の移送の為に使用できる。
砕氷船の船体は、2015年4月23日に『アドミラルティ造船所』で起工され、2016年6月に進水した。
全長85メートル、幅約20メートルの船の排水量は約6000トンである。
それは、高い耐航性及び自立航行能力を有しており、艦上飛行装置の着艦の為のヘリコプター発着場を装備する。
貨物積載作業を行なう為、砕氷船には26トンの吊り上げ能力を有するクレーンが装備されている。
砕氷船は、2018年1月2日に北方艦隊へ到着した。
船への補助艦隊旗の掲揚式典は、2017年11月30日に開催された。

現在のロシアは、原子力砕氷船「アルクチカ」型を筆頭に各種砕氷船を保有していますが、これらの砕氷船はロシア海軍の所属ではありません。
ソ連邦海軍時代には、プロジェクト97砕氷船が8隻建造され、1960年から1970年に掛けて就役しました。
プロジェクト97も『アドミラルティ造船所』で建造されました。
先代の砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」(プロジェクト97K)は1965年12月にソ連海軍へ納入され、太平洋艦隊へ配備されました。


ソ連邦解体後の1993年6月にロシア海軍から除籍されました。
初代「イリヤー・ムーロメツ」が姿を消してから20年以上経った2015年4月23日、プロジェクト21180砕氷船の1番船として新たな「イリヤー・ムーロメツ」が起工されました。
[ロシア海軍の為の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツは2015年4月23日に起工される]
[ロシア海軍の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツは起工された]
2代目「イリヤー・ムーロメツ」は2016年6月10日に進水しました。
[ロシア海軍の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツは進水した]
進水後、『アドミラルティ造船所』の岸壁で艤装工事が進められ、係留試験が行なわれました。

「イリヤー・ムーロメツ」は、2017年7月22日から洋上試験~工場航行試験の第1段階を開始しました。

第1段階試験は8月29日に終了しました。
[ロシア海軍の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツは洋上試験の第1段階を終えた]
続いて9月上旬まで工場航行試験の第2段階が実施されました。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2017年9月14日1時7分配信
【最新砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」は工場試験弾2段階を実行した】
これで工場航行試験は完了し、10月4日から最終洋上試験である国家受領試験が始まる予定でしたが、1日遅れて10月5日にサンクトペテルブルクを出航しました。
[ロシア海軍の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツは2017年10月4日に最終洋上試験を開始する]
[ロシア海軍の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツの最終洋上試験はバルト海で始まった]
「イリヤー・ムーロメツ」の国家受領試験は11月下旬に完了し、2017年11月30日にサンクトペテルブルクの『アドミラルティ造船所』でロシア海軍旗の初掲揚式典、即ちロシア海軍への就役式典が開催されました。
同時に造船所からロシア海軍への納入証書への署名も行われたようです。
[新型砕氷船イリヤー・ムーロメツ、ロシア海軍へ就役(2017年11月30日)]
「イリヤー・ムーロメツ」は2017年12月26日にバルチースク基地を出港し、2018年1月2日に北方艦隊基地セヴェロモルスクへ到着しました。
[ロシア海軍の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツは北方艦隊基地へ到着した]

4月12日には砕氷試験の為にセヴェロモルスク基地から出航し、4月24日にはカルスキエボロタ海峡へ入りました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2018年4月24日14時26分配信
【北方艦隊の最新砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」はカルスキエボロタへ入った】
その後、未だ氷が張っている白海へ向かい、北方艦隊の戦略用途原子力水中巡洋艦「ユーリー・ドルゴルーキー」を先導してセヴェロドヴィンスクへ入港しました。
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