ロシア海軍の最新鋭大型揚陸艦イワン・グレンの洋上試験は完了した

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2018年5月4日15時6分配信
【カリーニングラードで建造されている軍艦「イワン・グレン」は海上試験を完了した】
カリーニングラード、5月4日-ロシア通信社ノーボスチ
カリーニングラードの沿バルト造船工場『ヤンターリ』で建造されている大型揚陸艦「イワン・グレン」は、海上国家試験プログラムを成功裏に実行し、工場へ戻ってきた。
同社の代理人セルゲイ・ミハイロフは報道陣へ伝えた。
「大型揚陸艦イワン・グレンの国家受領試験の海上部門は完了しました。
海上試験時に、艦のシステム及び複合体の動作がロシア連邦国防省の国家受領委員会へ提示されました。
試験はバルト海で実施され、工場の試験実施チームと艦の乗組員が参加しました」
ミハイロフは話した。
大型揚陸艦「イワン・グレン」の国家受領試験は2017年11月に始まったが、12月末には、明らかになった技術的問題の解決の為、発注主により中止された。
(2018年)3月、専門家により作られたロシア海軍鑑定委員会は、発注品の全ての問題点は正式に解決されたと結論付け、4月3日の国家試験再開が可能になった。
ミハイロフは、現在、大型揚陸艦「イワン・グレン」は工場水域に在り、その艦上では、機器装置の検査と最終仕上げが始まっている事を指摘した。
艦の発注主への引き渡しは、5月末までの実行が計画されている。
大型揚陸艦「イワン・グレン」はプロジェクト11711のトップ艦であり、公開株式会社『ネフスキー計画設計局』により開発された。
それはロシア連邦国防省の発注により2004年12月に起工され、2012年5月に進水した。
[プロジェクト11711大型揚陸艦(イワン・グレン型)]

プロジェクト11771大型揚陸艦の1番艦「イワン・グレン」は、カリーニングラードの沿バルト造船工場『ヤンターリ』で2004年12月24日に起工され、それから約8年後の2012年5月18日に進水しました。
[新型揚陸艦イワン・グレンは進水する]
進水から3年以上経った2015年10月9日、ようやく係留試験が始まりました。
[ロシア海軍の新型揚陸艦イワン・グレンは係留試験を開始した]
ロシア海軍への引き渡しは2015年末に予定されていたのですが、2016年に延期されました。
[大型揚陸艦イワン・グレンは2016年にロシア海軍へ引き渡される]
[ロシア海軍の新世代水上艦の就役は2016年に延期された]
「イワン・グレン」は、2016年1月下旬から航行試験開始前の消磁作業を行ないました。
[ロシア海軍の最新鋭大型揚陸艦イワン・グレン近影(2016年1月下旬-2月中旬)]
「イワン・グレン」の航行試験(工場航行試験)開始時期は何度も延期されており、最近では5月末開始予定だったのですが、これも延期されました。
[ロシア海軍最新大型揚陸艦イワン・グレンは2016年5月末に航海試験を開始する]
6月17日、「イワン・グレン」は、ようやくカリーニングラードの『ヤンターリ』造船所から「試験実施基地」即ちバルチースクへ移動しました。
[ロシア海軍最新鋭大型揚陸艦イワン・グレンはカリーニングラード造船所からバルチースク基地へ移動した]
6月21日、航行試験の為の本格的な出航準備が始まりました。
[ロシア海軍最新鋭大型揚陸艦イワン・グレンの航行試験が始まる]
6月25日、「イワン・グレン」は、初めての航行試験へ出発しました。
[ロシア海軍の最新鋭揚陸艦イワン・グレンは航海試験の為に出航した]
8月15日にはクロンシュタットへ入港し、8月23日~24日には輸送戦闘ヘリコプターKa-29の発着試験が行なわれました。



その後もフィンランド湾で試験を行なっていた「イワン・グレン」は、8月28日に暴風海域で民間の小型ボートを保護しました。
[フィンランド湾で洋上試験中のロシア海軍最新大型揚陸艦イワン・グレンは暴風海域で民間艇を保護した]
フィンランド湾での航行試験は2016年8月31日に完了し、「イワン・グレン」はバルチースクへ戻りました。
[ロシア海軍最新大型揚陸艦イワン・グレンはフィンランド湾での洋上試験を終えた]
しかし、その後に艦の消磁システムの不具合が発覚し、航行試験は中断されました。
「イワン・グレン」は2016年末までにロシア海軍へ引き渡される筈でしたが、またも翌年(2017年)に延期される事になりました。
「イワン・グレン」は、カリーニングラードの『ヤンターリ』造船所で不具合の改修が進められていました。

2017年6月3日にカリーニングラードからバルチースクへ移動し、6月上旬に洋上試験を再開しました。
[ロシア海軍の最新大型揚陸艦イワン・グレンはバルト海での洋上試験を再開する]
その後、7月30日の「ロシア海軍の日」観艦式へ参加するため、クロンシュタットへ移動しました。
7月30日、クロンシュタットで行なわれた観艦式(主要海軍パレード)へ参加しました。
[2017年7月30日にクロンシュタットとサンクトペテルブルクで挙行される『ロシア海軍の日』観艦式には約40隻の艦船が参加する]
その後、洋上試験を再開し、10月21日にはバルト海でAK-630M 30mmガトリング砲の射撃試験を実施しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2017年10月21日11時14分配信
【大型揚陸艦「イワン・グレン」は海上で砲複合体の試験を行なった】
10月27日にも30mmガトリング砲の射撃試験を実施しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2017年10月27日14時29分配信
【大型揚陸艦「イワン・グレン」乗組員は海上で砲射撃を実施した】
11月14日までに工場航行試験は終わりました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2017年11月14日20時53分配信
【大型揚陸艦「イワン・グレン」は工場航行試験を完了した】
その後、国家受領試験が始まり、12月9日までに軍用車両の積載及び下船試験が行われました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2017年12月9日11時6分配信
【大型揚陸艦「イワン・グレン」の国家試験の枠組みで車両積載試験が実施された】
12月22日までにバルト海で30mm機関砲(AK-630M 30mmガトリング砲と30mm2連ガトリング砲「ドゥエト」)の射撃試験が行われました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2017年12月22日14時0分配信
【試験中の大型揚陸艦「イワン・グレン」はバルト海で砲射撃を実施した】
「イワン・グレン」は2017年12月末にロシア海軍へ引き渡される筈だったのですが、艦の後進の制御に問題が有る事が判明した為、またもや引き渡しが延期されました。
[最新大型揚陸艦イワン・グレンのロシア海軍への引き渡しは2018年春以降になる]
2018年4月3日、「イワン・グレン」は国家受領試験を再開する為に出航しました。
[ロシア海軍の最新鋭大型揚陸艦イワン・グレンは洋上試験再開の為にバルト海へ出航した]
5月4日までに試験は完了し、カリーニングラード造船所へ戻ってきました。
「イワン・グレン」のロシア海軍への納入と聖アンドレイ旗(ロシア海軍旗)初掲揚式典(正式な就役式典)の開催は、2018年5月末になるようです。

2015年6月に起工されたプロジェクト11711大型揚陸艦2番艦「ピョートル・モルグノフ」の建造工事も進められていますが、同型の建造は2隻で終了します。
[ロシア海軍の為のイワン・グレン型揚陸艦2番艦ピョートル・モルグノフは2018年5月下旬に進水する]
その後は、より大型の汎用ヘリコプター揚陸艦の建造へ移行します。
[新世代汎用揚陸艦セヴァストーポリ型]
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