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ロシア海軍黒海艦隊の為の小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークはセヴァストーポリへ到着した


『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2018年5月25日14時59分配信
【「カリブル」を有する「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は黒海艦隊への引き渡しを準備する】

『ゼレノドリスク造船工場』で建造されたプロジェクト21631小型ロケット艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は、海軍への引き渡しの為にセヴァストーポリへ到着した。
『Mil.Press FlotProm』が黒海艦隊の情報提供者より伝えられたように、艦の受領証書は既に署名されており、聖アンドレイ旗掲揚式典は6月1日或いは2日に計画されている。


「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は、汎用ミサイル複合体「カリブル-NK」を有する近代化されたプロジェクト21631「ブヤン-M」シリーズの6番艦である。
それは『ゴーリキー記念ゼレノドリスク造船工場』で2013年8月29日に起工され、2016年8月22日に進水した。

2017年8月に艦は内部水路経由でノヴォロシースクへ移動し、9月5日には工場航行試験が始まり、10月末に完了した。
11月には国家試験が始まったが、年末までに終わらせる事は出来なかった。

2018年2月、防衛産業企業体の情報提供者は、小型ロケット艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」海軍への引き渡しは、中国製エンジンの問題が故に遅延したと『Mil.Press FlotProm』特派員へ語った。

プロジェクト21631小型ロケット艦『ゼレノドリスク計画設計局』により開発された。
これは「河川-海」クラスの多目的艦であり、8基のミサイル「カリブル」を含む現代的な風貌の砲、ミサイル、対水中工作、高射及び電波工学兵装を装備する。
排水量は949トン、全長75メートル、幅11メートル。
最大速力25ノット。
航続距離2500海里、自立航行期間10日、乗組員52名。



[プロジェクト21631ブヤン-M小型ロケット艦]

プロジェクト21631「ブヤン-M」小型ロケット艦の6番艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は2013年8月29日に起工され、2016年8月22日に進水しました。

「ブヤン-M」の1~5番艦はドイツMTU社製ディーゼルエンジンを装備していましたが、ヨーロッパ連合対ロシア制裁により以後の供給が停止した為、6番艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」以降は、最も手っ取り早い代替案として、ドイツ製ディーゼルをライセンス生産した中国製ディーゼルエンジンを装備する事になりました。
[ロシア海軍の為の最新鋭小型ロケット艦ブヤン-Mの6番艦以降は中国製ディーゼルエンジンを装備する]

艤装を完了した「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は、7月下旬から8月初頭に掛けて内陸水路経由でゼレノドリスクからノヴォロシースクへ回航されました。
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[ロシア海軍黒海艦隊の為の第6のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークはノヴォロシースクへ回航された]
[ロシア海軍黒海艦隊の為の第6のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは黒海での航行試験の準備を行なっている]
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9月5日、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は洋上試験の為に初めて出航しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは黒海で洋上試験を開始した]

9月19日からは、黒海艦隊フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」(2016年3月11日就役)と洋上での合同訓練を開始しました。

[ロシア海軍黒海艦隊の為のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークはフリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"との合同訓練を行なう]

工場航行試験は2017年10月末に完了し、11月10日から国家受領試験が始まりました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2017年11月10日17時2分配信
【小型ロケット艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」の国家試験が始まった】

「ヴイシニー・ヴォロチョーク」黒海東部(ノヴォロシースク近辺)で洋上試験を行なっていますが、12月中旬頃から同海域の天候が悪化し、洋上試験は何度も中断を余儀なくされました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2017年12月13日11時59分配信
【小型ロケット艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」の試験は天候に妨げられている】

「ヴイシニー・ヴォロチョーク」ロシア海軍への引き渡しは2017年末に予定されていましたが、12月末になっても試験が完了しなかった為、2018年に延期されることになりました。
[第6のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークのロシア海軍への引き渡しは2018年に延期される]

2018年4月初頭、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」の国家受領試験は再開されました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは洋上試験を再開した]

建造元の『A.M.ゴーリキー記念ゼレノドリスク造船工場』は、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」を2018年4月30日にロシア海軍へ引き渡すつもりでしたが、4月末になっても国家受領試験は終わらず、またも2018年5月末に延期されました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは2018年4月30日に就役する]
[ブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークのロシア海軍への引き渡しは2018年5月末に延期された]

2018年5月25日、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」黒海艦隊基地セヴァストーポリへ到着しました。

正式な就役式典である聖アンドレイ旗初掲揚式典の開催は2018年6月1日か6月2日に予定されていますが、既に受領証書への署名は行われ、ロシア海軍への納入は済ませているようです。

ロシア海軍の艦の就役は
1:受領-引渡証書への署名(造船所から海軍への艦の納入)
2:海軍旗の初掲揚式典・各艦隊部隊への編入(艦の正式な海軍への就役)
の2段階で行なわれますが、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」の場合、1は2018年5月25日に実施され、2は6月1日か2日に実施されるようです。


プロジェクト21631「ブヤン-M」小型ロケット艦は、既に11隻が起工され、この内の5隻がロシア海軍へ引き渡されています。
全てロシア内陸部ゼレノドリスク『A.M.ゴーリキー記念ゼレノドリスク造船工場』で建造されています。
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[小型ロケット艦プロジェクト21631「ブヤン-M」]

建造番号631「グラード・スヴィヤージスク」Град Свияжск
2010年8月27日起工/2013年3月9日進水/2014年7月27日就役
カスピ小艦隊へ配備

建造番号632「ウグリーチ」Углич
2011年7月22日起工/2013年4月10日進水/2014年7月27日就役
カスピ小艦隊へ配備

建造番号633「ヴェリキー・ウスチュグ」Великий Устюг
2011年8月27日起工/2014年5月21日進水/2014年11月19日就役
カスピ小艦隊へ配備

建造番号634「ゼリョヌイ・ドル」Зелёный Дол
2012年8月29日起工/2015年4月2日進水/2015年12月12日就役
黒海艦隊へ配備/2016年10月にバルト艦隊へ転属

建造番号635「セルプホフ」Серпухов
2013年1月25日起工/2015年4月3日進水/2015年12月12日就役
黒海艦隊へ配備/2016年10月にバルト艦隊へ転属

建造番号636「ヴイシニー・ヴォロチョーク」Вышний Волочек
2013年8月29日起工/2016年8月22日進水/2018年5月25日納入/2018年6月初頭就役予定
黒海艦隊へ配備予定

建造番号637「オレホヴォ・ズエヴォ」Орехово-Зуево
2014年5月29日起工/2019年就役予定
黒海艦隊へ配備予定

建造番号638「イングシェチア」Ингушетия
2014年8月29日起工/2019年就役予定

建造番号639「グライヴォロン」Грайворон
2015年4月10日起工/2020年就役予定
黒海艦隊へ配備予定

建造番号640「グラード」Град
2017年4月24日起工/2020年就役予定

建造番号641「ナロ・フォミンスク」Наро-Фоминск
2018年2月23日起工/2021年就役予定


プロジェクト21631の主要兵装は、有翼ミサイル複合体「カリブル」です。
「カリブル」には、対艦攻撃型(最大射程375km)と対地攻撃型(最大射程2500km)が有ります。
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[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]
[ロシア海軍はシリアのテロ組織へ100発の巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

従来の小型ロケット艦は対艦攻撃のみに特化していましたが、「ブヤン-M」は対地攻撃用の有翼ミサイルを搭載する事により、地上への戦力投射にも使用できるようになりました。

プロジェクト21631は12番艦までの建造が計画されています。
[ロシア海軍の為のブヤン-M小型ロケット艦3隻(10-12番艦)の建造契約が締結された]

既に、新たな小型ロケット艦・プロジェクト22800「カラクルト」の建造も始まっており、こちらは18隻の建造が計画されています。
[プロジェクト22800カラクルト小型ロケット艦]
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