ブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは2018年6月1日にロシア海軍へ就役する

『タス通信』より
2018年5月28日12時21分配信
【「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は6月1日に黒海艦隊へ引き渡される】
モスクワ、5月28日/タス通信
プロジェクト21631シリーズの6番艦・小型ロケット艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は、6月1日に黒海艦隊への引き渡しが計画されている。
『タス通信』は、同艦隊の公式代理人ヴャチェスラフ・トルハチョフ1等海佐より伝えられた。

「6月1日に艦への聖アンドレイ旗掲揚が計画されており、それは、この日に黒海艦隊の戦闘編制へ加わる事を意味します。
ヴイシニー・ヴォロチョーク及びこのクラスの他の艦は、ミサイル複合体カリブルで武装しています」
彼は話した。
トルハチョフは、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は、未だ黒海艦隊で唯一のプロジェクト「ブヤン-M」艦であるが、初めてのものでは無いと説明した。
以前、黒海艦隊では、2隻の同プロジェクトの小型ロケット艦~「ゼリョヌイ・ドル」と「セルプホフ」が勤務に就いていたが、これらはバルチースクへの移動を行ない、バルト艦隊へ加わった。
「セルプホフ」と「ゼリョヌイ・ドル」は、地中海のロシア海軍常設連合部隊の一員としてシリアのテロリストの目標へミサイル「カリブル」による打撃を与えた。
当初、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は5月末までに黒海艦隊への引き渡しが計画されていた。
艦は、同艦隊の主要基地セヴァストーポリ市へ5月25日に到着した。
現在、ロシア海軍では、同プロジェクトの5隻の艦が勤務に就いている~トップの「グラード・スヴィヤージスク」、生産艦「ウグリーチ」、「ヴェリキー・ウスチュグ」(以上カスピ小艦隊)、「ゼリョヌイ・ドル」と「セルプホフ」(双方ともバルト艦隊)。
ゼレノドリスク造船工場の造船台では、「オレホヴォ・ズエヴォ」、「イングシェチア」、「グライヴォロン」、「グラード」、「ナロ・フォミンスク」と命名された更なる5隻の同プロジェクト艦の建造が進められている。
プロジェクト21631はミサイル複合体「カリブル」で武装しており、ミサイルは、8つの格子の垂直発射装置3S14に配置されている。
複合体「カリブル」は、海上および地上目標へ打撃を与える事が可能な有翼ミサイルである。
小型ロケット艦は更に、口径100mmのA-190砲、小口径高射砲複合体AK-630-2「ドゥエト」で武装している。
[プロジェクト21631ブヤン-M小型ロケット艦]
プロジェクト21631「ブヤン-M」小型ロケット艦の6番艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は2013年8月29日に起工され、2016年8月22日に進水しました。
「ブヤン-M」の1~5番艦はドイツのMTU社製ディーゼルエンジンを装備していましたが、ヨーロッパ連合の対ロシア制裁により以後の供給が停止した為、6番艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」以降は、最も手っ取り早い代替案として、ドイツ製ディーゼルをライセンス生産した中国製ディーゼルエンジンを装備する事になりました。
[ロシア海軍の為の最新鋭小型ロケット艦ブヤン-Mの6番艦以降は中国製ディーゼルエンジンを装備する]
艤装を完了した「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は、7月下旬から8月初頭に掛けて内陸水路経由でゼレノドリスクからノヴォロシースクへ回航されました。

[ロシア海軍黒海艦隊の為の第6のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークはノヴォロシースクへ回航された]
[ロシア海軍黒海艦隊の為の第6のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは黒海での航行試験の準備を行なっている]

9月5日、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は洋上試験の為に初めて出航しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは黒海で洋上試験を開始した]
9月19日からは、黒海艦隊のフリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」(2016年3月11日就役)と洋上での合同訓練を開始しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークはフリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"との合同訓練を行なう]
工場航行試験は2017年10月末に完了し、11月10日から国家受領試験が始まりました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2017年11月10日17時2分配信
【小型ロケット艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」の国家試験が始まった】
「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は黒海東部(ノヴォロシースク近辺)で洋上試験を行なっていますが、12月中旬頃から同海域の天候が悪化し、洋上試験は何度も中断を余儀なくされました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2017年12月13日11時59分配信
【小型ロケット艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」の試験は天候に妨げられている】
「ヴイシニー・ヴォロチョーク」のロシア海軍への引き渡しは2017年末に予定されていましたが、12月末になっても試験が完了しなかった為、2018年に延期されることになりました。
[第6のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークのロシア海軍への引き渡しは2018年に延期される]
2018年4月初頭、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」の国家受領試験は再開されました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは洋上試験を再開した]
建造元の『A.M.ゴーリキー記念ゼレノドリスク造船工場』は、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」を2018年4月30日にロシア海軍へ引き渡すつもりでしたが、4月末になっても国家受領試験は終わらず、またも2018年5月末に延期されました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為のブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは2018年4月30日に就役する]
[ブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークのロシア海軍への引き渡しは2018年5月末に延期された]
2018年5月25日、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」は黒海艦隊基地セヴァストーポリへ到着しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為の小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークはセヴァストーポリへ到着した]
正式な就役式典である聖アンドレイ旗初掲揚式典の開催は2018年6月1日に予定されていますが、既に受領証書への署名は行われ、ロシア海軍への納入は済ませているようです。
ロシア海軍の艦の就役は
1:受領-引渡証書への署名(造船所から海軍への艦の納入)
2:海軍旗の初掲揚式典・各艦隊部隊への編入(艦の正式な海軍への就役)
の2段階で行なわれますが、「ヴイシニー・ヴォロチョーク」の場合、1は2018年5月25日に実施され、2は6月1日に実施されるようです。
プロジェクト21631「ブヤン-M」小型ロケット艦は、既に11隻が起工され、この内の5隻がロシア海軍へ引き渡されています。
全てロシア内陸部ゼレノドリスクの『A.M.ゴーリキー記念ゼレノドリスク造船工場』で建造されています。

[小型ロケット艦プロジェクト21631「ブヤン-M」]
建造番号631「グラード・スヴィヤージスク」Град Свияжск
2010年8月27日起工/2013年3月9日進水/2014年7月27日就役
カスピ小艦隊へ配備
建造番号632「ウグリーチ」Углич
2011年7月22日起工/2013年4月10日進水/2014年7月27日就役
カスピ小艦隊へ配備
建造番号633「ヴェリキー・ウスチュグ」Великий Устюг
2011年8月27日起工/2014年5月21日進水/2014年11月19日就役
カスピ小艦隊へ配備
建造番号634「ゼリョヌイ・ドル」Зелёный Дол
2012年8月29日起工/2015年4月2日進水/2015年12月12日就役
黒海艦隊へ配備/2016年10月にバルト艦隊へ転属
建造番号635「セルプホフ」Серпухов
2013年1月25日起工/2015年4月3日進水/2015年12月12日就役
黒海艦隊へ配備/2016年10月にバルト艦隊へ転属
建造番号636「ヴイシニー・ヴォロチョーク」Вышний Волочек
2013年8月29日起工/2016年8月22日進水/2018年5月25日納入/2018年6月初頭就役予定
黒海艦隊へ配備予定
建造番号637「オレホヴォ・ズエヴォ」Орехово-Зуево
2014年5月29日起工/2019年就役予定
黒海艦隊へ配備予定
建造番号638「イングシェチア」Ингушетия
2014年8月29日起工/2019年就役予定
建造番号639「グライヴォロン」Грайворон
2015年4月10日起工/2020年就役予定
黒海艦隊へ配備予定
建造番号640「グラード」Град
2017年4月24日起工/2020年就役予定
建造番号641「ナロ・フォミンスク」Наро-Фоминск
2018年2月23日起工/2021年就役予定
プロジェクト21631の主要兵装は、有翼ミサイル複合体「カリブル」です。
「カリブル」には、対艦攻撃型(最大射程375km)と対地攻撃型(最大射程2500km)が有ります。

[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]
[ロシア海軍はシリアのテロ組織へ100発の巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
従来の小型ロケット艦は対艦攻撃のみに特化していましたが、「ブヤン-M」は対地攻撃用の有翼ミサイルを搭載する事により、地上への戦力投射にも使用できるようになりました。
プロジェクト21631は12番艦までの建造が計画されています。
[ロシア海軍の為のブヤン-M小型ロケット艦3隻(10-12番艦)の建造契約が締結された]
既に、新たな小型ロケット艦・プロジェクト22800「カラクルト」の建造も始まっており、こちらは18隻の建造が計画されています。
[プロジェクト22800カラクルト小型ロケット艦]
- 関連記事
-
- ロシア海軍黒海艦隊の最新小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは地中海東部へ行く
- プロジェクト21631小型ロケット艦の6番艦ヴイシニー・ヴォロチョークはロシア海軍へ就役し、黒海艦隊へ編入された
- ブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークは2018年6月1日にロシア海軍へ就役する
- ロシア海軍黒海艦隊の為の小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークはセヴァストーポリへ到着した
- ブヤン-M小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークのロシア海軍への引き渡しは2018年5月末に延期された
スポンサーサイト