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ロシア海軍向けミストラルの揚陸艇は検討されている

9月初頭、ロシア海軍向けのヘリコプター空母「ミストラル」型に搭載する揚陸艇は未だに決まっておらず、宙に浮いたままであると報じられました。
[ロシア海軍向けミストラルの搭載艇は決まっていない]

しかし、ロシア防衛産業企業体の関係者は、この報道を否定しました。


『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【防衛産業企業体はミストラルの為の揚陸艇を見出している】
2012年9月6日

ロシア海軍の為にフランスで建造されるヘリコプター揚陸ドック艦「ミストラル」には、戦車揚陸艇プロジェクト11770「セルナ」及びプロジェクト21820「ジュゴン」を搭載できる。
ロシア防衛産業企業体の情報提供者は『インタファクス』に伝えた。
「(揚陸)艇に関する問題は、絶対にこじつけです」
以前のメディア報道によると、国防省「ミストラル」に適合した揚陸艇を見出していない。

代理人によると、揚陸艇「セルナ」及び「ジュゴン」の重量と寸法は、完全に「ミストラル」に適合している。

更に、防衛産業企業体の代理人は、何らかの原因により「ミストラル」の建造は遅延するかもしれないが、それは揚陸艇に関する問題によるものではないと説明した。

「ヘリコプター揚陸ドック艦の為の揚陸艇の種類の選択問題に関し、急ぐ必要はありません。
我々には、良い選択をする為の充分な時間が有ります」

彼は述べた。

彼によると、加えて、フランス製揚陸艇に関する提案が検討されている。
特に、ロシア兵器輸出公社及び国防省は、フランス造船会社DCNSと交渉を行なっている。

以前、『イズベスチヤ』紙は、防衛産業企業体の情報提供者の談話を引用し、ロシア軍当局は、ロシアヘリコプター空母へのフランス製三胴揚陸艇プロジェクト「L-CAT」の搭載を、理由を説明せずに拒否したと報じた。
しかし、当初「ミストラル」への搭載を予定していたロシアエアクッション揚陸艇プロジェクト12061「ムレナ」は、ヘリコプター空母のドックに収まらない事が判明した。

揚陸艇プロジェクト11770「セルナ」の全長は25.8メートルに達し、排水量は61トンである。
艇は、1両の戦車或いは2両の装甲歩兵戦闘車(もしくは装甲車両)、または最大で92名の海軍歩兵を沿岸まで輸送できる。

「ミストラル」での揚陸艇「セルナ」使用については、以前に海軍軍備の専門家ウラジーミル・シチェルバコフ氏が『イズべスチア』紙で述べている。

戦車揚陸艇プロジェクト21820「ジュゴン」の全長は45メートルに達し、排水量は280トンである。
これは、3両の戦車もしくは5両の歩兵戦闘車/装甲車、或いは最大で140トンの貨物を輸送できる。

ロシア海軍の為の2隻のヘリコプター空母「ミストラル」は、2011年6月のロシア-フランス間の12億ユーロの契約の枠組で建造される。
最初の艦は2014年に完成し、2隻目は2015年である。
オプション契約により、他に2隻の艦がロシアの造船所で建造される。

各々の「ミストラル」の航空グループは、8機の襲撃ヘリコプターKa-52Kと8機の戦闘輸送ヘリコプターKa-29で構成される。


[ヘリ空母ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
[ロシア海軍向けミストラル型の詳細が公表された]

というわけで、今回の記事によると、ロシア海軍向けのヘリコプター空母「ミストラル」型には、プロジェクト11770「セルナ」及びプロジェクト21820「ジュゴン」の2種類のロシア製揚陸艇の搭載が考慮されているとの事です。

揚陸艇プロジェクト11770「セルナ」は、1994~2010年までに、ニジニ・ノヴゴロド市「ヴォルガ造船工場」で7隻、ウラジオストク市「東方造船所」で1隻が建造され、カスピ小艦隊に4隻、黒海艦隊に1隻、バルト艦隊に1隻、太平洋艦隊に1隻が配備されています。
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今回の記事で新たに名前が出てきた揚陸艇プロジェクト21820「ジュゴン」は、2006~2012年に、ニジニ・ノヴゴロド市「ヴォルガ造船工場」で1隻、ヤロスラヴリ市「ヤロスラヴリ造船工場」で2隻、ウラジオストク市「東方造船所」で1隻が起工されており、この内「ヴォルガ造船工場」で建造されたD-105「アタマン・プラトフ」が2010年に就役し、カスピ小艦隊へ配備されています。

今年(2012年)には、「東方造船所」で建造中の「イワン・カルツォフ」(2010年起工)が就役する予定です。
更に、「ヤロスラヴリ造船工場」でも今年中にもう1隻が起工される予定です。
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[ロシア海軍は2012年に約10隻の水上艦艇を受け取る]


加えて今回の記事では、フランス海軍「ミストラル」型に搭載されているカタマラン(双胴型)揚陸艇L-CATの導入も検討され、ロシア-フランス間で交渉が進められている事が明らかにされました。
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ただ、今回の記事に登場する「防衛産業企業体の情報提供者」は、ロシア海軍向け「ミストラル」の搭載揚陸艇の選定について急ぐ必要は無いとも発言しています。


これまでの報道を読む限り、ロシア海軍「ミストラル」型ヘリコプター空母としての運用がメインになるようなので、揚陸艇ヘリコプターよりも優先順位が低いのでしょう。
[艦載ヘリコプターKa-52K試作機の製造が開始された]
[ロシア海軍は艦載ヘリコプターKa-27Mを発注する]
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