ロシア海軍の新世代汎用ヘリコプター母艦プリボイ級1番艦セヴァストーポリは2020年以降に起工される

『タス通信』より
2018年6月20日15時27分配信
【ロシアはヘリコプター母艦の建造を2020年以降に開始する】
カリーニングラード、6月20日/タス通信
ロシアの汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)の設計及び建造は2020年以降に開始され、この時、新たな大型揚陸艦の設計が完了する。
水曜日、ロシア海軍副総司令官(軍備担当)ヴィクトール・ブルスク中将は報道陣へ伝えた。
「この艦は、造船プログラムに含まれており、その建造は、このプログラムの第2段階において実現し、それは2020年以降です。
汎用揚陸艦の設計後、我々は大型揚陸艦の設計を開始します」
彼は話したが、汎用揚陸艦の作業がどの計画設計局へ委託されたのかについては明らかにしなかった。
次に、『統合造船業営団』総裁アレクセイ・ラフマノフは、営団の枠組みで設計局間の「無条件の競争となる」事を指摘した。
「全く同じように、我々は艦の建造で他の北西の造船所と協業し、設計への従事に関しても、全く同様に設計局が参加しており、今日において、リソースに束縛されなければ、あらゆる技術、あらゆる設計文書の作業が完了します。
我々は海軍へ提案し、それに同意する事を望んでおります」
彼は話した。
以前、ロシア防衛産業企業体の情報提供者は、ロシア国防省と『統合造船業営団』が国産のヘリコプター母艦の建造を造船工場『北方造船所』において2020年に開始する事で合意したと『タス通信』へ伝えた。
彼によると、このような艦は、合計2隻の作成が計画されている:1番艦は2024年に海軍へ引き渡されなければならず、2番艦は2022年の起工と2026年の海軍への引き渡しが予定されている。
以前に他の情報提供者が『タス通信』へ伝えた所によると、ヘリコプター母艦はディーゼル-ガスタービン装置を有する。
ディーゼルはメインエンジン、ガスタービンは出力を高める為に必要である。
彼によると、艦の航空群の基礎はヘリコプターKa-52Kで構成され、その引き渡しは、ヘリコプター母艦の引き渡しと同時期となる。
更に、艦にはヘリコプターKa-27、Ka-29、Ka-31が駐留する。
以前、ロシア連邦国防次官ユーリー・ボリソフは、最初のロシア製ヘリコプター母艦は2022年に姿を現すと報道陣へ伝えた。
[新たな揚陸艦]
ブルスクは更に、海軍は揚陸艦の新たな設計案を2020年に受け取り、2021年に工場『ヤンターリ』で建造を開始する予定であると述べた。
「今年に設計局は、この艦の設計作業へ着手します。
その後、設計の完了は、ちょうど2年後になると私共は見込んでおります。
この艦は『ヤンターリ』で起工される事になるでしょう。
建造開始は2021年になります」
彼は話した。
ブルスクは、この艦は大型揚陸艦「イワン・グレン」と同様の寸法になるが、新たな風貌の兵器及び機器を装備すると説明した。
航海性能は向上する。
ブルスクは、新プロジェクト大型揚陸艦を海軍はどれだけ発注するのかについては明らかにしなかった。
「我々は、まずトップ艦を作成しなければならず、その後、生産数が決められます」
彼は話した。
以前に報じられたように、コルベット、フリゲート、駆逐艦を専門にしている『北方計画設計局』は、排水量約8000トンの根本的に新しい大型揚陸艦のプロジェクト作成を委託された。
2011年6月にロシアはフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスはウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。
2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンとフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]
フランスはロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]
その後、2隻の「ミストラル」級はエジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)
「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。

「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。

一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]
[ロシア海軍の為の将来大型揚陸艦は複数のヴァージョンが設計されている]
[ロシア海軍の為の新たなヘリコプター揚陸艦の設計は進められている]
[汎用揚陸ヘリコプター母艦「ラヴィーナ」]
満載排水量:24000トン
全長:200メートル
幅:33メートル
吃水:5メートル
速力:22ノット
航続距離:5000海里
自立行動期間:60日
乗員:320名
積載能力:海軍歩兵隊員500名、各種戦闘車両50両
搭載機:ヘリコプター×16機(Ka-29、Ka-52K、Ka-27)
搭載艇:揚陸艇×6隻
兵装:AK-176MA 76mm単装砲×1基
高射ミサイル砲複合体「パーンツィリ-M」×2基
高射砲複合体「パラシ」×3基
AK-630M2「ドゥエト」30mm機関砲×2基
この概念設計案「ラヴィーナ」をベースにして、ロシア海軍向けとなる汎用ヘリコプター揚陸艦が設計され、実際に建造されることになります。
[ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の設計作業は進められている]
汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]

搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。
[ロシア海軍向けの艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランの供給契約は2019年に締結される]
Ka-52K「カトラン」の量産は2020年から開始される予定です。
[ロシア海軍向けの艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランの量産は2020年に始まる]
この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、最近、修復が始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊は修復された戦闘輸送ヘリコプターKa-29を受領する]
「ミストラル」級が配備される予定だったウラジオストク南部ウリス湾では、埠頭の建設が続けられています。
[ウラジオストクのウリス湾ではロシア海軍の大型水上艦(ヘリコプター空母)の為の埠頭の建設が続けられる]

「ロシア版ミストラル」の建造は『2018-2027年の国家軍備プログラム』の枠組みで開始される予定です。
[ロシア造船業界はロシア海軍の為の汎用ヘリコプター揚陸艦の建造を開始する準備を整えている]
2017年5月、「ロシア防衛産業の匿名希望の情報提供者」は、2隻の調達が計画されている揚陸ヘリコプター揚陸艦の建造スケジュールの詳細を明らかにしました。
[ミストラル級の代わりとなる新たな揚陸ヘリコプター母艦2隻は2024年と2026年にロシア海軍へ引き渡される]
[汎用ヘリコプター揚陸艦]
・1番艦「セヴァストーポリ」:2020年起工/2024年就役予定
・2番艦:2022年起工/2026年就役予定
汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)となるとの事です。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]
汎用ヘリコプター揚陸艦の1番艦の建造費は約400億ルーブルになると見積もられています。
[ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の1番艦の建造費は約400億ルーブルになる]
ロシア国防省(ロシア海軍)は、セヴァストーポリ市の要望に応え、汎用ヘリコプター揚陸艦の1番艦に「セヴァストーポリ」の名前を付ける事を決定しました。
[ウラジオストクとセヴァストーポリの名はロシア海軍の将来ヘリコプター揚陸艦へ与えられる]
[ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の1番艦はセヴァストーポリと命名される]
汎用ヘリコプター揚陸艦の建造を担当する造船所は、これまでに複数の候補が挙げられていましたが、サンクトペテルブルクの『北方造船所』に決まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用ヘリコプター母艦プリボイ級1番艦セヴァストーポリはサンクトペテルブルクの『北方造船所』で2020年に起工される]

更に今回、汎用ヘリコプター揚陸艦の他に、新設計の大型揚陸艦の建造が2021年に開始される事がロシア海軍当局より明らかにされました。
この艦は、おそらくは以前に報じられた8000トン級揚陸艦の事でしょう。
[ロシア海軍の為に新たな8000トン級大型揚陸艦が開発される]
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