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潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)ブラヴァーはロシア海軍へ制式採用された

『タス通信』より
2018年6月29日3時2分配信
【情報筋:ミサイル「ブラヴァー」は軍備採用された】
モスクワ、6月29日/タス通信

大陸間弾道ミサイルR-30「ブラヴァー」ミサイル複合体D-30は、試験成功の結果、2018年にロシア海軍へ軍備採用された。
『タス通信』ロシア防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。

「軍当局から課せられたテスト射撃プログラムは、完全かつ成功裏に実行され、ブラヴァーの信頼性が確認され、ミサイルの軍備採用の為の全ての障壁は除去されました。
決定に沿って、必要な文書へ署名されました」
対談者は話した。

『タス通信』は、この情報を公式に確認していない。

大陸間弾道ミサイルR-30「ブラヴァー」は、1990年代半ばに『モスクワ熱科学研究所』により開発された。
設計主任はユーリー・ソロモノフアレクサンドル・スホドリスキーである。
メディアによると、これは3段固定燃料ロケットであり、6個までの個別誘導戦闘ブロック(弾頭)を搭載できる。
プロジェクト955「ボレイ」原子力潜水艦の為の兵装として意図されており、各潜水艦は16基の発射装置を有する。

合計で2005年から約30回のミサイルR-30の発射試験が行なわれ、この内のおよそ3回は、様々な技術的問題が伴った。
最後の試験は2018年5月22日に原子力潜水艦K-535「ユーリー・ドルゴルーキー」により実施され、4基の「ブラヴァー」が一斉に発射された。
ミサイルの試験運用は、ロシア海軍プロジェクト955ロケット艦のトップが採用された2013年に始まった。



R-30「ブラヴァー」は、陸上用大陸間弾道ミサイルRT-2PM2「トーポリ-M」をベースにして『モスクワ熱技術研究所』が開発した潜水艦発射弾道ミサイルです。

プロジェクト955「ボレイ」戦略用途原子力ロケット水中巡洋艦は、元々は『マケーエフ記念国立ロケットセンター』が設計した弾道ミサイルR-39UTTkh「バルク」を搭載する予定でしたが、その「バルク」の発射試験が一度も成功しなかった為、「バルク」の開発は中止されました。
[幻と消えたSLBM「バルク」]

そして1998年、「バルク」に代わる新たな弾道ミサイルとしてR-30「ブラヴァー」の開発がスタートしました。

しかし、『モスクワ熱技術研究所』潜水艦発射弾道ミサイルの開発経験が無く、開発予算も十分ではなかった為に陸上からのミサイル発射試験は一度も行なわれず(エンジンの試験のみ)、いきなり原子力潜水艦からの発射試験を行なうという強引な手法を取った為、初期には失敗を重ねました。

2010年以降には問題点は改正されたらしく、完全に試射が失敗したのは一度だけになりました。

R-30「ブラヴァー」は、現在までに26回の試射が実施され、この内の7回が完全な失敗に終わっています。

1回目:2004年9月23日-成功
2回目:2005年9月27日-成功
3回目:2005年12月21日-成功
4回目:2006年9月7日-失敗
5回目:2006年10月25日-失敗
6回目:2006年12月24日-失敗
7回目:2007年6月28日-成功
8回目:2008年9月18日-成功
9回目:2008年11月28日-成功
10回目:2008年12月23日-失敗
11回目:2009年7月15日-失敗
12回目:2009年12月9日-失敗
13回目:2010年10月7日-成功
14回目:2010年10月29日-成功
15回目:2011年6月28日-成功
16回目:2011年8月27日-成功
17回目:2011年10月28日-成功

18回目:2011年12月23日-成功
19回目:2013年9月6日-失敗
20回目:2014年9月10日-成功
21回目:2014年10月29日-成功
22回目:2014年11月28日-成功
23回目:2015年11月14日-成功
24回目:2016年9月27日-部分的に成功
25回目:2017年6月26日-成功
26回目:2018年5月22日-成功


14回目(2010年10月29日)までの発射試験はプロジェクト941UM重原子力戦略用途ロケット水中巡洋艦「ドミトリー・ドンスコイ」から実施されましたが、15回目以降は「ボレイ」級戦略原潜3隻(ユーリー・ドルゴルーキー、アレクサンドル・ネフスキー、ウラジーミル・モノマーフ)から実施されています。

今回の記事に登場する「ロシア防衛産業企業体の情報提供者」によると、R-30「ブラヴァー」は、最近(2018年)にロシア海軍へ軍備採用(制式採用)されたとの事です。

2018年5月22日には4基の「ブラヴァー」の一斉発射が行なわれ、成功しましたが、この後に軍備採用されたようです。


これに対し、ロシアの著名な軍事評論家で『地政学問題高等学院』校長のコンスタンチン・シフコフ氏(元ロシア海軍1等海佐)は、「ブラヴァー」は2011年に軍備採用されていると反論しています。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2018年6月28日10時47分配信
【ミサイル「ブラヴァー」は7年前に軍備採用されていると専門家は言った】


これまでのソ連/ロシア潜水艦用弾道ミサイルが改良を繰り返して来たのと同様に、当然ながら「ブラヴァー」も、今後改良型が作られる事になります。
[ロシア海軍の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)ブラヴァーは改良される]

「ブラヴァー」の改良については、コストダウンや効率性のアップ(おそらくは命中精度の向上)の他に、最大射程距離が12000kmに伸び、弾頭重量も1.5倍以上(約1800kg)に増大します。
[ロシア海軍の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)ブラヴァーは改良され、射程距離と弾道重量が増加する]
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