ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)の排水量は約30000トンになる

『タス通信』より
2018年8月6日9時15分配信
【『ネヴァ川計画設計局』は海軍へ排水量約30000トンのヘリコプター母艦プロジェクトを提示する】
モスクワ、8月6日/タス通信
『ネヴァ川計画設計局』は、海軍へ排水量約30000トンの汎用揚陸艦(UDK、ヘリコプター母艦)プロジェクトを提示する。
同局のトップ、セルゲイ・オルロフは『タス通信』のインタビューで話した。
「提示しているヴァージョンは、汎用揚陸艦が排水量約30000トン、大型揚陸艦は6000~7000トンです」
彼は話した。
オルロフによると、ロシア連邦国防省は『ネヴァ川計画設計局』に対し、この作業と設計作業の主導を未だ委託していない。
彼は、新たな汎用揚陸艦がエアクッション艦を搭載できると付け加えた。
「この範囲で、更なる科学研究作業レベルの洗練が進められています。
今、揚陸部隊の使用概念自体が変化しており、どのような艦が必要なのか、ヘリコプター、揚陸隊員、兵器の量はどの程度か、民間分野で必要な場合に使用できるのかを再定義しなければなりません」
対談者は指摘した。
[新たな「イワン・グレン」]
この他に設計局は、「イワン・グレン」型大型揚陸艦の近代化ヴァージョンを国家発注主へ提示する。
「長さと幅は少し増え、排水量は大きくなり、全ての問題点は考慮されます」
「2隻の艦が作成され、海軍は新たな揚陸概念を見ています。
とは言え我々は、今、イワン・グレンの次を提示しなければなりません」
オルロフは強調した。
「イワン・グレン」は、ロシア現代史上で初めて設計、建造された最初の揚陸艦であり、プロジェクト11711のトップ艦であり、『ネヴァ川計画設計局』により開発された。
海軍の要望による数多くの作り替えが故に、工事は20年以上に渡って行なわれた。
以前、ロシア海軍副総司令官(軍備担当)ヴィクトール・ブルスク中将が述べたように、ロシアは2020年以降に汎用揚陸艦の設計及び建造を開始し、この時までに新たな大型揚陸艦の設計は完了する。
『タス通信』より
2018年8月6日9時0分配信
【『ネヴァ川計画設計局』:「アドミラル・クズネツォフ」は修理後に新たな「知能」を得る】
『ネヴァ川計画設計局』総取締役セルゲイ・オルロフ氏へのインタビュー。
2011年6月にロシアはフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスはウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。
2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンとフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]
フランスはロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]
その後、2隻の「ミストラル」級はエジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)
「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。

「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。

一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]
[ロシア海軍の為の将来大型揚陸艦は複数のヴァージョンが設計されている]
[ロシア海軍の為の新たなヘリコプター揚陸艦の設計は進められている]
[汎用揚陸ヘリコプター母艦「ラヴィーナ」]
満載排水量:24000トン
全長:200メートル
幅:33メートル
吃水:5メートル
速力:22ノット
航続距離:5000海里
自立行動期間:60日
乗員:320名
積載能力:海軍歩兵隊員500名、各種戦闘車両50両
搭載機:ヘリコプター×16機(Ka-29、Ka-52K、Ka-27)
搭載艇:揚陸艇×6隻
兵装:AK-176MA 76mm単装砲×1基
高射ミサイル砲複合体「パーンツィリ-M」×2基
高射砲複合体「パラシ」×3基
AK-630M2「ドゥエト」30mm機関砲×2基
この概念設計案「ラヴィーナ」をベースにして、ロシア海軍向けとなる汎用ヘリコプター揚陸艦が設計され、実際に建造されることになります。
[ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の設計作業は進められている]
汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]

搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。
[ロシア海軍向けの艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランの供給契約は2019年に締結される]
Ka-52K「カトラン」の量産は2020年から開始される予定です。
[ロシア海軍向けの艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランの量産は2020年に始まる]
この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、最近、修復が始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊は修復された戦闘輸送ヘリコプターKa-29を受領する]
「ミストラル」級が配備される予定だったウラジオストク南部ウリス湾では、埠頭の建設が続けられています。
[ウラジオストクのウリス湾ではロシア海軍の大型水上艦(ヘリコプター空母)の為の埠頭の建設が続けられる]

「ロシア版ミストラル」の建造は『2018-2027年の国家軍備プログラム』の枠組みで開始される予定です。
[ロシア造船業界はロシア海軍の為の汎用ヘリコプター揚陸艦の建造を開始する準備を整えている]
汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)となります。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]
汎用ヘリコプター揚陸艦の1番艦の建造費は約400億ルーブルになると見積もられています。
[ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の1番艦の建造費は約400億ルーブルになる]
ロシア国防省(ロシア海軍)は、セヴァストーポリ市の要望に応え、汎用ヘリコプター揚陸艦の1番艦に「セヴァストーポリ」の名前を付ける事を決定しました。
[ウラジオストクとセヴァストーポリの名はロシア海軍の将来ヘリコプター揚陸艦へ与えられる]
[ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の1番艦はセヴァストーポリと命名される]
汎用ヘリコプター揚陸艦の建造を担当する造船所は、これまでに複数の候補が挙げられていましたが、サンクトペテルブルクの『北方造船所』に決まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用ヘリコプター母艦プリボイ級1番艦セヴァストーポリはサンクトペテルブルクの『北方造船所』で2020年に起工される]

汎用ヘリコプター揚陸艦は2020年以降に起工されます。
[ロシア海軍の新世代汎用ヘリコプター母艦プリボイ級1番艦セヴァストーポリは2020年以降に起工される]
そして今回、『ネヴァ川計画設計局』総取締役セルゲイ・オルロフ氏は、ロシア海軍に設計している汎用ヘリコプター揚陸艦の排水量は約30000トンになる事を明らかにしました。
「約30000トン」ですから、おそらくは、少なくとも26000トン以上となり、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」(24000トン)よりも大きな艦になるようです。
26000トンと言えば、日本海上自衛隊のヘリコプター護衛艦「いずも」型と大体同じです。

この他、『ネヴァ川計画設計局』は、「イワン・グレン」型の拡大発展型となる新たな大型揚陸艦(排水量6000~7000トン)も設計しています。
[ネヴァ川計画設計局はプロジェクト11711大型揚陸艦(イワン・グレン型)の拡大発展型の2つのヴァージョンを設計している]
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