ロシア海軍のプロジェクト22350フリゲート3番艦と4番艦のガスタービンエンジンはロシア国内で製造されている
- カテゴリ:ガスタービンエンジン代替問題

『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2018年8月10日8時0分配信
【情報筋:「アドミラル・ゴルシコフ」型フリゲートの為のタービンエンジンは全て用意される】
プロジェクト22350フリゲートの最後の2隻、「アドミラル・ゴロフコ」と「アドミラル・イサコフ」の為のガスタービンエンジンは用意される。
『Mil.Press FlotProm』は、業界の高位の情報提供者より伝えられた。
彼によると、これらのガスタービンエンジンは完全に国内製であり、ルイビンスクの『サトゥルン』で製造されている。
艦の動力装置の減速装置一式は、サンクトペテルブルクの『ズヴェズダー』で製造される。
同社の情報提供者は、集合体の更なる用意は無いが、現在の『ズヴェズダー』幹部はルイビンスクの『サトゥルン』との製造交渉を行なっていると記者へ通知した。
7月28日のプロジェクト22350フリゲートのトップ「アドミラル・ゴルシコフ」の海軍への引き渡し式典の際、『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフは、最後の2隻のフリゲートの為のガスタービンエンジンは国内で生産されると『Mil.Press FlotProm』記者へ語った。
彼は更に、これらの艦は期限内に建造される事を確信していると表明した。
[『Mil.Press FlotProm』参考資料]
ウクライナとの軍事技術協力が中断されるまでに、『北方造船所』は、プロジェクト22350のトップ艦と最初の生産艦の為の動力装置一式を完全に受け取る事ができた。
次のフリゲートシリーズ~「アドミラル・ゴロフコ」(工場番号923)の為の設備は、完全には受け取れなかった。
『統合エンジン製造営団サトゥルン』は、2014年から国産の艦載ガスタービンエンジンを開発している。
2017年4月、同社は出力20.2メガワットのM90FR装置のモデルを提示した。
タービンのエネルギー効率は、ウクライナで製造された同類の32パーセントに対し、36パーセントになると表明された。
最初の2組の集合体の受領を『北方造船所』は2018年末までに計画している。
ソ連/ロシアの艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシアの「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、ウクライナの「ゾーリャ機械設計」が関わっており、エンジンの最終組立は「ゾーリャ機械設計」で行なわれていました。
(主要部品はロシアの企業で製造し、それをウクライナへ送って最終組み立て)
【科学生産合同「サトゥルン」公式サイト】

【『科学製造合同アヴローラ』公式サイト】

【国営企業ガスタービン製造科学工業複合体「ゾーリャ機械設計」公式サイト】

なお、ロシアのカルーガ市に在る非公開株式会社「科学製造国内企業トゥルボコン」は、公式サイトを持っていません。

ソヴィエト連邦時代、ガスタービン搭載艦は、ニコラーエフ市の61コムーナ造船所、カリーニングラード州のヤンターリ造船所、ゼレノドリスクのゴーリキー造船所などで建造されていました。

しかし、1991年末のソ連邦解体後、ガスタービン機関の部品を製造する会社と最終組立を行なう会社が別々の国に分かれてしまう事になり、何かと不都合が生じました。
そこで1993年、旧ソ連のガスタービン製造に関わっていた「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、「ゾーリャ機械設計」が集まり、合同企業「トゥルボルス」が設立されました。
【非公開株式会社『トゥルボルス』公式サイト】
ロシア海軍の新世代水上艦の為のガスタービン(M90FR)も、ロシアとウクライナの企業の共同開発でした。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]
しかし、2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナとロシアの関係も悪化しました。
2014年3月末まで「ゾーリャ機械設計」社はロシアへのガスタービン機関供給を継続していましたが、その後、供給は途絶えました。
[ウクライナ防衛産業は依然としてロシアとの契約を忠実に履行している]
ウクライナとロシアのガスタービンエンジン生産に関する「分業体制」が瓦解した為、ロシア海軍のガスタービン装備艦の建造は停滞しました。
[ロシア海軍の新型フリゲートの建造は停滞する]
プロジェクト22350フリゲートは1番艦と2番艦、プロジェクト11356Rフリゲートは1番艦~3番艦のガスタービンは供給されましたが、ウクライナは、それ以降のエンジンの引き渡しを拒否しました。
(代金はウクライナへ支払っていた)
[ロシアはガスタービンエンジン供給中止に関してウクライナを訴える]
この為、ガスタービンの生産を全面的にロシア国内へと切り替える事になり、ルイビンスクの『サトゥルン』社にガスタービンエンジンの最終組立施設を作る事になりました。
[ロシア海軍の艦艇には完全国産のガスタービンエンジンが提供される]
[ロシアは艦艇用ガスタービンの製造を全面的に国内へと切り替える]
2018年1月初頭、『サトゥルン』社でガスタービンエンジンの生産が始まりました。
[ルイビンスクのサトゥルン社はロシア海軍の為のガスタービンエンジンの生産を開始する]
これにより、プロジェクト22350フリゲートの3番艦以降のガスタービンエンジンも、ようやく供給の目途が立つ事になり、2018年末までにエンジンが引き渡される予定です。
[ロシア海軍のプロジェクト22350フリゲートの為のロシア製ガスタービンエンジンは2018年末までに納入される]
プロジェクト22350フリゲートの場合、巡航時はディーゼルエンジンのみを動かし、高速航行時にガスタービンエンジンも動かすCODAG(コンバインド・ディーゼル・アンド・ガスタービン)方式であり、ディーゼルとガスタービンの回転を調整する減速装置(ギアボックス)が必要ですが、この減速装置もウクライナで製造されていたので、これもロシア国内での製造へ切り替える必要が生じ、サンクトペテルブルクの『ズヴェズダー』工場が製造する事になりました。
【公開株式会社『ズヴェズダー』公式サイト】

ロシア海軍の為の新世代フリゲート、プロジェクト22350は、現在までにサンクトペテルブルクの『北方造船所』で4隻が起工され、1番艦は2018年7月28日に就役しました。
1番艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ」(417)は2006年2月1日に起工、2010年10月28日に進水し、2018年7月28日にロシア海軍へ引き渡されました。
[プロジェクト22350フリゲート1番艦アドミラル・ゴルシコフはロシア海軍へ就役し、北方艦隊へ編入された]
2番艦「アドミラル・フロータ・カサトノフ」(431)は2009年11月26日に起工、2014年12月12日に進水しました。
2018年末に航行試験が始まります。
[プロジェクト22350フリゲート2番艦アドミラル・カサトノフは2018年末に航行試験を開始する]
ロシア海軍への引き渡しは2019年に予定されています。
3番艦「アドミラル・ゴロフコ」は2012年2月1日に起工されました。
ロシア海軍への引き渡しは2020年に予定されています。
4番艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・イサコフ」は2013年11月14日に起工されました。
[サンクトペテルブルク北方造船所はプロジェクト22350フリゲート「アドミラル・イサコフ」(と偵察艦「イワン・フルス」)を起工した]
ロシア海軍への引き渡しは2020年以降になります。
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