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空母ヴィクラマーディティヤ、引渡し延期?

現在、試験中のインド空母「ヴィクラマーディティヤ」(旧ロシア海軍重航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」)ですが、引き渡し時期が延期されるかもしれません。

9月14日の空母「ヴィクラマーディティヤ」(バレンツ海)
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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年9月17日04時55分配信
【航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」の試験中に問題が生じた】

『コメルサント』紙の報道を紹介しています。

同紙が「ロシア兵器輸出公社」の情報提供者の談話を引用して報じた所によると、「ヴィクラマーディティヤ」が航海試験中に30ノットまで速力を上げた時、ボイラー周辺の耐火レンガが温度に耐えられず、崩れてしまったとの事です。
この為、同艦の引き渡しは、2013年10月以降になるとの事です。

「ヴィクラマーディティヤ」は、サンクトペテルブルク市「バルト工場」が製造したボイラーKVG-3Dを8基搭載しています。

このボイラーは、耐火材として、以前のアスベストに代わり、耐火レンガを使用していますが、この耐火レンガがボイラーの最大出力発揮時の温度に耐えられなかったという事です。
同紙によると、8基のボイラーの内、7基で問題が発生した(つまり、耐火レンガが崩れた)との事です。


同日、ロシア造船業の総元締めである「統合造船業営団」の情報提供者は、この『コメルサント』紙の報道を否定しました。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年9月17日11時16分配信
【航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」のボイラーで問題が有るのは7基ではなく3基である】

「統合造船業営団」の情報提供者は、ロシア通信社ノーボスチに対し、こう述べました。

「ボイラーの問題点は、最大出力に達することが出来ない事に在ります。
私共は、8基のボイラーの内、3基について申し上げております」

そして、試験中に発覚した問題点に対処する為、同艦は来週に「セヴマシュ」へ行くとの事です。

「問題点を洗い出すために試験を実施し、それら(問題点)は、出来る限り速やかに解決いたします。
ただ、私は、艦の納入の明確な時期について、今、貴方達に申し上げる事は出来ません」


「艦が独力でセヴマシュまで航行できないという一部のメディアの報道は事実に即しておりません。
艦は(セヴマシュへ)進路を取っております」


そして、同艦の引き渡し時期については、6ヵ月間は延期されるだろうと指摘しました。

更に、同艦の修理費用が1億ルーブル掛かるとの一部メディア報道については「全くの誇張」と述べました。


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『コメルサント』紙の報道が誇張だとしても(まあ同紙のいつものパターンですが)、「ヴィクラマーディティヤ」ボイラーKVG-3Dに問題が在る事は確かなようです。

「統合造船業営団」関係者によると、それ(ボイラーの問題点)は最大出力を発揮できない事に在るようです。
ただし、ボイラー8基全てでは無く、この内の3基に関して、ですが。

『バルト工場』公式サイトより
2005年5月31日
【バルト工場は、「アドミラル・ゴルシコフ」の為の最初のボイラーを製造した】

「バルト工場」「アドミラル・ゴルシコフ」改め「ヴィクラマーディティヤ」の為に製造したボイラーKVG-3Dでは、伝統的なボイラーの耐火材であったアスベストは、乗員の健康の為、より安全で環境に配慮した新たな材料で代替されるとの事です。
更に、燃料として、これまでの重油ではなく、軽油が使用されます。

「アドミラル・ゴルシコフ」(就役時は「バクー」)時代には、重油専焼ボイラーKVN-95/64が搭載されていました。
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