ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2019年から北方艦隊で発射試験を開始する
- カテゴリ:極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」

『タス通信』より
2018年11月29日9時31分配信
【情報筋:極超音速ミサイル「ツィルコン」は2019年に(水上)艦及び潜水艦で試験を行なう】
モスクワ、11月29日/タス通信
ロシアの極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」の国家受領試験は、2019年に(水上)艦及び潜水艦で開始される。
『タス通信』はロシア連邦の防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。
「2019年には、海上搭載艦~水上艦及び潜水艦でツィルコンの国家試験の開始が計画されております」
対談者は話した。
彼は「射撃が北方艦隊の海上射爆場で実施される」事を明らかにした。
ミサイルの開発会社~科学生産合同『機械製造』は、情報筋から提示された情報について『タス通信』へコメントしなかった。
「ツィルコン」の射程距離は、公開情報によると、約400kmに達し、飛翔速度はマッハ4~6の領域を指している。
以前に伝えられたように、ミサイル「ツィルコン」は、ミサイル「カリブル」及び「オーニクス」の為に使用される汎用艦載射撃装置(UKSK)から発射される。
このUKSKは、特に、プロジェクト20385コルベット、プロジェクト22350フリゲート、プロジェクト885「ヤーセン」型潜水艦に設置されている。
更に、『タス通信』の情報提供者によると、「ツィルコン」はロシアの原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」と「アドミラル・ナヒーモフ」の兵装とならなければならない。
極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」(ジルコン、風信子石)は、以前に長距離超音速有翼ミサイル「バザーリト」/「ヴルカーン」や「グラニート」、そして超音速ミサイル「オーニクス」を開発した科学生産合同『機械製造』が新たに開発しているミサイルです。
[長距離打撃ミサイル複合体バザーリト/ヴルカーン]
[有翼ミサイル複合体グラニートは軍備採用30周年を迎えた]
[ロシア海軍の超音速対艦ミサイル"オーニクス"は近代化される]
科学生産合同『機械製造』は、長距離超音速有翼ミサイル「グラニート」の直接の後継となる筈だった「ボリード」(最大射程800km、飛翔速度マッハ4)の開発を1980年代末から開始し、1991年にはエンジンの最初の試験が行われたのですが、1990年代末には開発は中止されました。
「ツィルコン」の開発には、「ボリード」の開発作業の経験もフィードバックされているようです。
「ツィルコン」に関しては、ミサイルの名前以外の確たる情報は出ていませんが、射程距離は400~500km程度、飛翔速度はマッハ5~マッハ6になるようです。
一説によると、ロシア・インド共同開発の極超音速ミサイル「ブラーモス-II」のロシア向けヴァージョンとの事です。


「ツィルコン」の発射試験は既に開始されています。
[ロシア海軍の為の極超音速巡航ミサイル"ツィルコン"の試験が始まった]
「ツィルコン」の試験は2015年秋から始まっており、アルハンゲリスク州のネノクサ村に在るロシア海軍のミサイル発射試験場で発射試験が行なわれているようです。
[ロシア海軍の為の巡航ミサイルは試射中にアルハンゲリスク州ネノクサ村の住宅へ落下した]


「ツィルコン」の発射試験は秘密裡に行なわれていますが、2016年4月に行なわれた試験では最大速度マッハ8を記録しました。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は発射試験で最大速度マッハ8に達した]
「ツィルコン」の試験完了と生産開始は、2018年からスタートする新たな国家軍備プログラム(2018-2027年の国家軍備プログラム)において実現する事になります。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は新たな2018-2027年の国家軍備プログラムにおいて開発を完了し、生産を開始する]
今回の記事によると、2019年には海上での「ツィルコン」の発射試験が始まります。
発射試験は北方艦隊で実施されるとの事ですから、おそらくはプロジェクト22350フリゲートの1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」(2018年7月28日就役)と、プロジェクト885原子力水中巡洋艦の1番艦「セヴェロドヴィンスク」(2014年6月17日就役)から「ツィルコン」を発射する事になるでしょう。
「ツィルコン」は、超音速対艦ミサイル「オーニクス」と対地/対艦巡航ミサイル「カリブル」の両方を発射できる汎用垂直発射機3S-14UKSKから発射できます。
(つまり、「カリブル」や「オーニクス」と発射機を共有できる)
「ツィルコン」は、今後に大規模な近代化改装が行なわれる重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」に装備されます。
[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは近代化改装により極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"を装備するかもしれない]
[ロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーの近代化改装は2020年に始まる]
現在、大規模な近代化改装が行なわれている重原子力ロケット巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」も装備する事になります。
[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ナヒーモフの近代化改装は2022年に完了する]
大規模な近代化改装が行なわれる4隻のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級巡航ミサイル原潜)にも装備されます。
[ロシア海軍のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級)は近代化改装により極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"を装備する]
「ツィルコン」は、実質的には「グラニート」の後継という位置付けになるようです。
この他、現在、設計作業が進められており、2020年代から建造が始まるロシア海軍第5世代原子力潜水艦「ハスキー」級にも装備されます。
[ロシア第5世代多目的原子力潜水艦プロジェクト「ハスキー」]
更には、航空機発射型や地上発射型も構想されているようです。
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