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ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワの今後に関する最終決定は下されていない

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『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2018年11月29日11時52分配信
【巡洋艦「モスクワ」の運命に関する決定は、これまでに採択されていない-情報筋】
モスクワ、11月29日、インタファクス-AVN

黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」の運命は、これまでに未だ定まっていない。
木曜日に『インタファクス』は消息筋より伝えられた。

「既に巡洋艦は長期に渡り黒海艦隊第13艦船修理工場に滞在しています。
そのシステム及び機構に関する作業は、削減された乗組員により維持されています」

彼は明らかにした。

対談者によると、海軍総司令部には、巡洋艦に関する2つの「極めて複雑な選択」がある。
「1つ目は、モスクワの高度な近代化に関連します。
ですが、それには400~500億ルーブルが必要になります。
その近代化は、同型のマルシャル・ウスチーノフよりも、より高度なヴァージョンが提示されています。
具体的には、有翼ミサイル"カリブル-NK"の艦上発射装置の『収納』の為の上部構造物の重要部分の変化です」

彼は話した。
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「モスクワの船体に関しては問題があります。何故ならば、巡洋艦は既に35年経っており、プロジェクト1164アトラント艦の中で最も古いのです」
情報提供者は指摘した。

第2の選択は、艦の廃棄であるが「その唯一の名前のステイタスを考慮すれば、父称を失う事に繋がるので、それは非常に難しいでしょう」
「ですが、先に示した資金は、2隻のアドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ型フリゲートを建造できます」

対談者は話した。

1990年代、巡洋艦「モスクワ」(当初は「スラヴァ」という名前だった)の廃棄に関する問題が持ち上がった。
これを避ける為、黒海艦隊司令官モスクワ市庁へ援助を求めた。
その援助が示され、巡洋艦は1996年にロシア首都に因んた名を持つようになった。
1999年、同艦は黒海艦隊の戦闘編制へ復帰した。

2015年後半、巡洋艦地中海ロシア海軍常設作戦連合部隊を率いていた。
この時、自身の対空防衛手段により、シリアロシア航空基地「フマイミーン」をカバーした。
2016年7月22日、巡洋艦「モスクワ」ナヒーモフ勲章を授与された。

以前、巡洋艦「モスクワ」は、『セヴァストーポリ海洋工場』(『統合造船業営団』へ加入する艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』の支所)で2018年から3年間の修理を開始すると報じられた。
この選択肢は、特に、前黒海艦隊司令官アレクサンドル・ヴィトコ大将、更には艦の退役将兵が猛反対していた。

以前、『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフ『インタファクス-AVN』へ、営団は巡洋艦の修理を行なう用意が有ると発言した。
「私共は、この為に全てを行ない、我々は巡洋艦の修理を実行できます」
彼は強調した。
伝えられているように、北方艦隊巡洋艦「マルシャル・ウスチーノフ」は、2016年12月に艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』での5年間の修理から出てきた。



黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」(1983年1月30日就役)は、2015年には何度も長期航海を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊の艦船は2015年に総計50万海里以上を航行した]

2015年1月1日の時点では、太平洋遠征(ニューギニア沖まで進出)から戻る途中であり、オマーンで新年を迎えました。
[ロケット巡洋艦モスクワ遠距離航海(2014年9月-2015年1月)]

2015年5月には中国海軍との合同演習『海洋協同-2015』へ参加しています。
[ロシア-中国海軍合同演習「海洋協同-2015」(2015年5月)]

2015年6月には、エジプト海軍との合同演習『友情の橋-2015』へ参加しました。
[合同演習『友情の橋-2015』を終えたロシア海軍とエジプト海軍の艦船はアレクサンドリアへ戻った]

2015年6月下旬から8月初頭まで大西洋へ進出し、アンゴラ赤道ギニアを訪問しています。
[ロシア黒海艦隊大西洋遠征(2015年6月-)]

2015年9月24日にセヴァストーポリを出航して地中海東部(シリア沖)へ向かい、2016年1月9日に帰港しました。

[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはシリアからセヴァストーポリへ帰港した]

2016年5月21日から7月16日までセヴァストーポリ第13艦船修理工場浮きドックへ入渠しました。
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2016年7月22日、視察のためにセヴァストーポリを訪れたロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将によりナヒーモフ勲章が授与されました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはナヒーモフ勲章を授与された]


2016年7月31日、2017年7月30日、2018年7月29日の「ロシア海軍の日」には、セヴァストーポリの観艦式へ参加しました。


以前、「モスクワ」は、2018年から近代化改装の開始が予定されていましたが、実行には移されませんでした。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワは2018年からセヴァストーポリで近代化改装を行なう]

ただし、「モスクワ」の近代化改装自体は断念されていません。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワの近代化改装は断念される?]
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワの近代化改装は断念されていない]

結局、まずセヴァストーポリ第13艦船修理工場「モスクワ」の修理を行なう事になりました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはセヴァストーポリで修理を行なう]

その後、セヴェロドヴィンスクへ移動して近代化改装を行なう事も考慮されているようですが、現時点では、未だ最終決定は下されていません。

近代化改装を実行する場合、有翼ミサイル「カリブル」の発射機(おそらくはオーニクス/カリブル両用の汎用垂直発射機3S-14)の設置など、兵装の交換が考慮されているようですが、その費用は400~500億ルーブルに達するとの事です。

因みに、500億ルーブルは重原子力ロケット巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」の近代化改装の費用と同額になります。
おそらくは、「カリブル」の設置以外に、艦対空ミサイルも現用のS-300F「ポリメント-リドゥート」へ換装するつもりなのでしょう。

既に就役から35年経っている「モスクワ」に、そこまで金を掛ける価値が有るのかどうかは疑問ですが、そのネームバリュー(ロシア連邦の首都名)を考えれば、そうそう簡単に除籍するわけにも行かないようです。


ロシア海軍は、新たな巡洋艦の建造は計画していませんが、現用の巡洋艦クラスの水上戦闘艦に関しては近代化改装を行ない、今後も維持していく方針です。
[ロシア海軍の現用ロケット巡洋艦(プロジェクト1164及びプロジェクト1144)は近代化される]
[ロシア海軍は今後も巡洋艦を維持する]
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