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ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は10回以上の発射試験を行なった

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『タス通信』より
2018年12月21日23時58分配信
【情報筋:「ツィルコン」は試験開始以来、海上目標への10回以上の発射を実施した】
モスクワ、12月21日/タス通信

ロシア極超音速ミサイル「ツィルコン」は、その試験開始以来、距離数百メートルの海上標的へ10回以上の発射を実施した。
『タス通信』<は防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。

彼によると
「ミサイルの試験は、約4年前に始まり、現在も沿岸試験台で続いております」
「総計で10回以上の射撃を距離数百メートルの海上標的へ実施しました」

対談者は話した。
彼は付け加えた。
「ミサイルは、何度も極超音速での海上目標の撃破を示しました」

情報提供者は、次の試験の情報について話すことは断った。

『タス通信』は、対談者から提示された情報を公式に確認していない。

以前に「防衛筋」の情報提供者が『タス通信』へ伝えたように、2019年には海上搭載艦~水上艦及び潜水艦「ツィルコン」の国家試験の開始が計画されている。

金曜日、テレビ局『CNBC』は、ロシアが12月に極超音速ミサイル「ツィルコン」の次なる試験を成功裏に実施したと報じた。
同局によると、2015年以来、このミサイルのテスト射撃は計5回実施されている。

[ミサイル「ツィルコン」]
極超音速ミサイル「ツィルコン」
の開発者は、科学生産合同『機械製造』である。
「ツィルコン」の射程距離は、公開情報によると約400kmに達し、ミサイルの飛翔速度は、様々なデータによるとマッハ4~6からマッハ8である。

以前に伝えられたように、ミサイル「ツィルコン」は、現在はミサイル「カリブル」及び「オーニクス」の為に使用される垂直発射装置・汎用艦載射撃装置(UKSK)から発射される。

このUKSKは、特に、プロジェクト20385コルベットプロジェクト22350フリゲートプロジェクト885「ヤーセン」型潜水艦に設置されている。

更に、『タス通信』の情報提供者によると、「ツィルコン」ロシア原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」「アドミラル・ナヒーモフ」の兵装とならなければならない。



極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」(ジルコン、風信子石)は、以前に長距離超音速有翼ミサイル「バザーリト」/「ヴルカーン」「グラニート」、そして超音速ミサイル「オーニクス」を開発した科学生産合同『機械製造』が新たに開発しているミサイルです。
[長距離打撃ミサイル複合体バザーリト/ヴルカーン]
[有翼ミサイル複合体グラニートは軍備採用30周年を迎えた]
[ロシア海軍の超音速対艦ミサイル"オーニクス"は近代化される]

科学生産合同『機械製造』は、長距離超音速有翼ミサイル「グラニート」の直接の後継となる筈だった「ボリード」(最大射程800km、飛翔速度マッハ4)の開発を1980年代末から開始し、1991年にはエンジンの最初の試験が行われたのですが、1990年代末には開発は中止されました。

「ツィルコン」の開発には、「ボリード」の開発作業の経験もフィードバックされているようです。


「ツィルコン」に関しては、ミサイルの名前以外の確たる情報は出ていませんが、射程距離は400~500km程度、飛翔速度はマッハ5~マッハ6以上になるようです。

一説によると、ロシア・インド共同開発極超音速ミサイル「ブラーモス-II」ロシア向けヴァージョンとの事です。
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「ツィルコン」の発射試験は2015年秋頃から始まっています。
[ロシア海軍の為の極超音速巡航ミサイル"ツィルコン"の試験が始まった]

「ツィルコン」の試験は、アルハンゲリスク州ネノクサ村に在るロシア海軍ミサイル発射試験場で行なわれているようです。
[ロシア海軍の為の巡航ミサイルは試射中にアルハンゲリスク州ネノクサ村の住宅へ落下した]
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「ツィルコン」の発射試験は秘密裡に行なわれていますが、2016年4月に行なわれた試験では最大速度マッハ8を記録しました。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は発射試験で最大速度マッハ8に達した]

「ツィルコン」の試験完了と生産開始は、2018年からスタートする新たな国家軍備プログラム(2018-2027年の国家軍備プログラム)において実現する事になります。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は新たな2018-2027年の国家軍備プログラムにおいて開発を完了し、生産を開始する]

2019年には海上(水上艦及び潜水艦)での「ツィルコン」の発射試験が始まります。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2019年から北方艦隊で発射試験を開始する]

これまでに「ツィルコン」は、ネノクサ村ミサイル発射試験場から10回以上の発射試験が行なわれているとの事です。

今回の記事で触れられているように、最近、アメリカテレビ局「ツィルコン」の試験について報じましたが(12月10日に「ツィルコン」の発射試験が実施された)、開発元の科学生産合同『機械製造』は、この件に関して「ノーコメント」でした。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2018年12月21日16時43分配信
【ミサイル「ツィルコン」の開発者は、情報筋からの情報にコメントしなかった】


「ツィルコン」は、超音速対艦ミサイル「オーニクス」対地/対艦巡航ミサイル「カリブル」の両方を発射できる汎用垂直発射機3S-14UKSKから発射できます。
(つまり、「カリブル」「オーニクス」と発射機を共有できる)

「ツィルコン」は、今後に大規模な近代化改装が行なわれる重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」に装備されます。
[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは近代化改装により極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"を装備するかもしれない]
[ロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーの近代化改装は2020年に始まる]

現在、大規模な近代化改装が行なわれている重原子力ロケット巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」も装備する事になります。
[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ナヒーモフの近代化改装は2022年に完了する]

大規模な近代化改装が行なわれる4隻のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級巡航ミサイル原潜)にも装備されます。
[ロシア海軍のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級)は近代化改装により極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"を装備する]

「ツィルコン」は、実質的には「グラニート」の後継という位置付けになるようです。

この他、現在、設計作業が進められており、2020年代から建造が始まるロシア海軍第5世代原子力潜水艦「ハスキー」級にも装備されます。
[ロシア第5世代多目的原子力潜水艦プロジェクト「ハスキー」]

更には、航空機発射型地上発射型も構想されているようです。
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