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ロシア海軍の為の新型対地巡航ミサイル"カリブル-M"の開発は始まっている

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『タス通信』より
2019年1月8日16時2分配信
【情報筋:ロシアは新たな有翼ミサイル「カリブル-M」を開発する】
モスクワ、1月8日/タス通信

海軍の為の飛翔距離4500km以上の最新有翼ミサイル「カリブル-M」の作成作業はロシアで進められている。
『タス通信』防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。

「海軍の為に、最大射撃距離4500km以上の最新の高精度艦上配置有翼ミサイル"カリブル-M"が開発されています。
ミサイルの作成は、科学研究作業及び国防省の資金拠出の段階に在ります」

対談者は話した。
彼は、「カリブル-M」の作成は、2027年までの国家軍備プログラムに含まれている事を明らかにした。
「ミサイルは、同プログラムの有効期間の末までに海軍へ引き渡されなければなりません」

情報提供者は、新たなミサイルが現用の「カリブル」と異なるのは、射撃距離の長さと、最大寸法であると付け加えた。
「ミサイルは、より大きくなり、弾頭は、およそ1トンになります」
彼は指摘した。
対談者によると、新たなミサイルは、フリゲートを始めとする大型水上艦、更には原子力潜水艦に装備される。
「カリブル-Mは陸上施設の破壊の為に意図されており、通常弾頭及び核弾頭の搭載が可能です」
彼は説明した。

『タス通信』は、この情報を公式に確認していない。

現在、ミサイル複合体「カリブル」は、ロシア海軍の軍備として在る。
公開情報によると、この複合体の一員である有翼ミサイル3M-14の最大射撃距離は、亜音速飛翔で約2000kmに達する。
水上艦の為には複合体のヴァージョン「カリブル-NK」が、潜水艦の為には「カリブル-PL」が開発されている。
「カリブル」は特に、ロシアプロジェクト22350フリゲート、プロジェクト21631「ブヤン-M」コルベット、多目的原子力潜水艦プロジェクト885「ヤーセン」型、通常動力潜水艦プロジェクト877及び636、その他の艦の兵装となっている。

あるデータによると、「カリブル」が装備する弾頭の最大重量は500kgに達する。
このミサイルは、シリアテロリストの施設への攻撃の為、ロシア戦闘艦及び潜水艦により使用されている。



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エカテリンブルク市『L.V.リュリエフ記念試験設計局ノヴァトール』により設計された有翼ミサイル「カリブル」(対地/対艦/対潜用)は、輸出用有翼ミサイル「クラブ」シリーズのロシア海軍向けヴァージョンです。
[対艦(対地)巡航ミサイル「クラブ」]
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

最大射程距離は、対地攻撃型3M-14で2500km、対艦攻撃型3M-54で375km、対潜型(水上艦発射用)91RTE2で40km、対潜型(潜水艦発射用)91RE1で50kmになります。
飛翔速度は亜音速ですが、対艦攻撃型3M-54のみは目標の手前20km位で弾頭が分離して超音速に加速します。

元々は、ソ連海軍時代に配備された原子力潜水艦搭載用対地有翼ミサイル「グラナート」(SS-N-21)(1984年軍備採用、1990年代前半に退役)をベースに開発されました。
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現在、ロシア海軍では、以下の艦に装備されています。

プロジェクト22350フリゲート
プロジェクト11356フリゲート
プロジェクト11661Kロケット艦「ダゲスタン」
プロジェクト22800「カラクルト」小型ロケット艦
プロジェクト21631「ブヤン-M」小型ロケット艦
プロジェクト885「ヤーセン」原子力水中巡洋艦
プロジェクト671RTMK原子力大型潜水艦「オブニンスク」
プロジェクト677「ラーダ」潜水艦
プロジェクト06363潜水艦


今後も「カリブル」搭載艦は増加します。
[2020年末にはロシア海軍の約半数近くの軍艦が巡航ミサイル"カリブル"を装備しているだろう]


「カリブル」は、2015年10月初頭以降、シリア領内テロ組織ISIL(イラク・レバントのイスラム国)『アル=ヌスラ戦線』に対し、何度か実戦で使用されています。
[ロシア海軍はシリアのテロ組織へ100発の巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

・2015年10月7日カスピ小艦隊警備艦「ダゲスタン」、小型ロケット艦「グラード・スヴィヤージスク」、「ウグリーチ」、「ヴェリキー・ウスチュグ」カスピ海南方からシリアへ発射(計26基)。
[ロシア海軍カスピ小艦隊の4隻の艦はシリアへ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
[ロシア海軍は巡航ミサイルでシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点を攻撃した]
[ロシア連邦軍参謀本部作戦管理総局長はロシア海軍によるシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点攻撃について語った]

・2015年11月20日カスピ小艦隊警備艦「ダゲスタン」、小型ロケット艦「グラード・スヴィヤージスク」、「ウグリーチ」、「ヴェリキー・ウスチュグ」カスピ海南方からシリアへ発射(計18基)。
[ロシア海軍カスピ小艦隊は再びシリアのISIL(シリアとレバントのイスラム国)拠点へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

・2015年12月8日黒海艦隊潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」地中海東部からシリアへ発射(計4基)。
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは地中海東部からシリアのISIL(イラク・レバントのイスラム国)拠点へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

・2016年8月19日黒海艦隊小型ロケット艦「ゼリョヌイ・ドル」、「セルプホフ」地中海東部からシリアへ発射(計3基)。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新鋭小型ロケット艦ゼリョヌイ・ドルとセルプホフはシリアのアル=ヌスラ戦線を巡航ミサイル"カリブル"で攻撃した]

・2016年11月15日黒海艦隊フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」地中海東部からシリアへ発射(計3基)。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア領内のテロ組織へ巡航ミサイルを発射した]

・2017年5月31日黒海艦隊フリゲート「アドミラル・エッセン」、潜水艦「クラスノダール」地中海東部からシリアパルミラへ発射(計4基)。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦(フリゲート)アドミラル・エッセンと潜水艦クラスノダールはパルミラのISIL(イラク・レバントのイスラム国)施設へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

・2017年6月23日黒海艦隊フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」、「アドミラル・エッセン」、潜水艦「クラスノダール」地中海東部からシリアハマーへ発射(計6基)。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート2隻と潜水艦1隻はシリアのハマー県のISIL(イラク・レバントのイスラム国)施設へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

・2017年9月5日黒海艦隊フリゲート「アドミラル・エッセン」地中海東部からシリアデリゾールへ発射(計6基)。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・エッセン"はシリアのデリゾールのISIL(イラク・レバントのイスラム国)へ巡航ミサイルを発射した]

・2017年9月14日黒海艦隊潜水艦「ヴェリキー・ノヴゴロド」「コルピノ」地中海東部からシリアへ発射(計7基)。
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦ヴェリキー・ノヴゴロドとコルピノはシリアのデリゾールのISIL(イラク・レバントのイスラム国)へ巡航ミサイルを発射した]

・2017年9月22日黒海艦隊潜水艦「ヴェリキー・ノヴゴロド」地中海東部からシリアイドリブへ発射(計3基)。
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦ヴェリキー・ノヴゴロドはシリアのイドリブの『アル=ヌスラ戦線』へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

・2017年10月5日黒海艦隊潜水艦「ヴェリキー・ノヴゴロド」、「コルピノ」地中海東部からシリアへ発射(計10基)。
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦ヴェリキー・ノヴゴロドとコルピノはシリア政府軍の攻勢を支援する為、デリゾールのISIL(イラク・レバントのイスラム国)へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

・2017年10月31日黒海艦隊潜水艦「ヴェリキー・ノヴゴロド」地中海東部からシリアデリゾールへ発射(計3基)。

『タス通信』より
2017年10月31日17時53分配信
【潜水艦「ヴェリキー・ノヴゴロド」はデリゾールの『イスラム国』戦闘員へ「カリブル」で打撃を与えた】

・2017年11月3日黒海艦隊潜水艦「コルピノ」地中海東部からシリアアブ・カマルへ発射(計6基)。
(同時にロシア航空宇宙軍爆撃機Tu-22M3が空爆)

『タス通信』より
2017年11月3日17時17分配信
【ロシア軍のTu-22M3と潜水艦「コルピノ」はシリアの『イスラム国』戦闘員へ打撃を与えた】


「カリブル」は、2016年前半(1月~6月)には計47基がロシア海軍へ納入されています。
[ロシア海軍は2016年前半に47基の巡航ミサイル"カリブル"を受領した]

2016年7月~9月の3ヶ月間には、「カリブル」超音速対艦ミサイル「オーニクス」を合わせて100基以上がロシア海軍へ納入されました。
[ロシア海軍は2016年7月-9月に100基以上の巡航ミサイル"カリブル"及び超音速対艦ミサイル"オーニクス"を受領した]

2017年4月~6月の3ヶ月間には計60基の「カリブル」が引き渡されました。
[ロシア海軍は2017年4月~6月に60基の巡航ミサイル"カリブル"を受領した]

2018年1月~3月の3ヶ月間には、計46基の「カリブル」ロシア海軍へ引き渡されました。
[ロシア海軍は2018年1月~3月に46基の巡航ミサイル"カリブル"を受領した]

2018年4月~6月の3ヶ月間には、計49基の「カリブル」が引き渡されました。
[ロシア海軍は2018年4月~6月に49基の巡航ミサイル"カリブル"を受領した]


そして今回、「ロシア防衛産業企業体の匿名の情報提供者」は、「カリブル」の更なる改良型である「カリブル-M」の開発が始まっている事を明らかにしました。

「カリブル-M」は、「カリブル」(対地攻撃型3M-14)よりも大きくなり、(地上攻撃の)最大射程距離は4500km以上、弾頭重量は約1トン(おそらく700kg程度)になるとの事です。

ただ、サイズが大きくなると言っても、おそらくは、現用の汎用ミサイル発射装置3S-14に収まるものになるでしょう。
[汎用ミサイル垂直発射機3S-14UKSK ]

更に「カリブル-M」は、通常弾頭の他に、核弾頭の装備も可能との事です。

新たな「カリブル-M」は、フリゲートを始めとする大型水上艦原子力潜水艦に搭載されるとの事ですから、小型ロケット艦(「ブヤン-M」及び「カラクルト」)や通常動力潜水艦(「ラーダ」及び06363)への搭載は考えられていないようです。
おそらくは、現用の「カリブル」のように533mm魚雷発射管から発射する事は出来ないでしょう。
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