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ロシア海軍の小型艦の為に極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"軽量化型が開発される

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『イズベスチヤ』より
2019年1月22日0時1分配信
【コンパクトな極超音速:(ロシア)海軍は軽量化されたミサイル「ツィルコン」を受け取る】

「小さなロケット兵」は新たな兵器を装備する。
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国防省は、極超音速ミサイル「ツィルコン」の小型化ヴァージョンを受け取る。
まず初めに、これは、プロジェクト「カラクルト」及び「ブヤン-M」小型ロケット艦の兵装とならなければならない。
更にミサイルは、特殊コンテナからの発射の為に適応する。
以前には、「ツィルコン」は、原子力巡洋艦及び潜水艦、更にはフリゲートへ設置される事になっていた。
「軽量な」極超音速ミサイルの登場は、海軍の戦術活動についての話である。
小型ロケット艦及び潜水艦による待ち伏せ行動は、敵の打撃グループがロシア沿岸へ接近する事を許さない。

海軍総司令部『イズベスチヤ』へ、「ツィルコン」の新たなヴァージョンの為の戦術-技術的要求は既に形成されていると話した。
「ミニチュア」ミサイルの基礎特性についての話は無かった。
その殺傷力は、事実上、「古い姉妹」に劣るものでは無い。
まず初めに、「ツィルコン」は、プロジェクト22800「カラクルト」小型ロケット艦及びプロジェクト21631「ブヤン-M」小型ロケット艦の兵装とならなければならない。
両タイプの小型ロケット艦は、有翼ミサイル「カリブル」及び超音速対艦ミサイル「オーニクス」を装備する。
小型ロケット艦への「ツィルコン」の登場は、あらゆる敵との戦闘を可能にする。

極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」~これは、根本的に新たな兵器であり、非核兵器システムに属するが、その威力は(核に)近い。
新たなミサイルは、前世代の対艦ミサイルと比べ、航空母艦タイプの目標~これは、難攻不落と言える所まで到達する~の撃破の確実さが増加し、更に弾頭は強力であり、高速で飛翔する。
爆発エネルギーは、大型戦闘艦でさえ海底へ送る事を可能にする。

現在、「ツィルコン」を堅牢にしているのは、その極超音速である。
「ツィルコン」プロジェクトの全ての作業は、非公開の性質を帯びているが、公開情報源によれば、ミサイルはマッハ5-10までの速度を発揮し、距離300-500kmの目標を撃破できる。
マッハ2.5の速度は、現代の対空防衛手段~対ミサイルにとっての極限であり、極超音速の「ツィルコン」に追いつくことはできない。
対空防衛の最短行動半径など、効果は無い:対艦ミサイル高射機関砲での照準は不可能であると言える。

対艦ミサイルは、もう1つの切り札を持っている。
「賢く」順応するお陰で、ミサイルグループの攻撃活動の際、共同で群れに自己同調し、「ツィルコン」による攻撃への反撃の難しさを保証する。

その上、対艦ミサイルは、予め座標が知られている地上目標の撃破が可能である。
この能力は、沿岸地域で小型ロケット艦及び潜水艦が、敵の艦のみならず、それを援助する陸上部隊といった敵に対抗しなければならない時、特に要求される。

「ツィルコン」は、現用の発射装置からの射撃の為に適合しているが、小型ロケット艦及び潜水艦は、より小型のミサイルに適応している。
軍事専門家でサイト『ミリタリーロシア』編集長のドミトリー・コルネフ『イズベスチヤ』へ話した。

「軽量化されたミサイルは、おそらくは、同じエンジンを有するでしょうが、より少ない戦闘態勢、燃料の在庫及び一連の構造要素を得るでしょう」
彼は、こう考えている。
「発射ブースターは、製品『ツィルコン』から大きく変化する可能性が高いでしょう。それは非常に強力です。
新たなブースターは、小型ロケット艦のような艦のミサイルの威力にとっては大きくない程度に発射時積載量を減らさなければならないでしょう」


小型ロケット艦及び潜水艦における極超音速ミサイルの存在は、海軍の力を高めると軍事専門家ドミトリー・ボルテンコフは考えている。

「軽量なツィルコンは、海軍へ新たなミサイルを迅速に満たす為に必要です」
彼は『イズベスチヤ』へ話した。
「大型艦の建造プログラムは空回りしており、小型ロケット艦~これは、ツィルコンの為の安価な搭載艦であり、2~3年で建造されます」

新たな極超音速対艦ミサイルの登場は、海軍の戦術活動の話である。
小型ロケット艦及び潜水艦は、非常に探知が難しい。
これをロシア沿岸周辺で行なうのは、彼らが対空防衛のカバーの下に居るので、特に困難である。
小型ロケット艦及び潜水艦の待ち伏せ行動は、ロシア沿岸へ接近してくるあらゆる敵へ致命的に大規模な打撃を与える事ができると専門家は指摘した。

海軍の戦術動作及び兵器は、常に向上している、
昨年には、最初のプロジェクト「カラクルト」小型ロケット艦と、2機の無人機「オルラン-10」が軍備採用された。
ロケット艦ドローンは、まず初めに、目標の隠密偵察の為に必要である。



極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」(ジルコン、風信子石)は、以前に長距離超音速有翼ミサイル「バザーリト」/「ヴルカーン」「グラニート」、そして超音速ミサイル「オーニクス」を開発した科学生産合同『機械製造』が新たに開発しているミサイルです。
[長距離打撃ミサイル複合体バザーリト/ヴルカーン]
[有翼ミサイル複合体グラニートは軍備採用30周年を迎えた]
[ロシア海軍の超音速対艦ミサイル"オーニクス"は近代化される]

科学生産合同『機械製造』は、長距離超音速有翼ミサイル「グラニート」の直接の後継となる筈だった「ボリード」(最大射程800km、飛翔速度マッハ4)の開発を1980年代末から開始し、1991年にはエンジンの最初の試験が行われたのですが、1990年代末には開発は中止されました。

「ツィルコン」の開発には、「ボリード」の開発作業の経験もフィードバックされているようです。


「ツィルコン」に関しては、ミサイルの名前以外の確たる情報は出ていませんが、射程距離は400~500km程度、飛翔速度はマッハ5~マッハ6以上になるようです。

「ツィルコン」の発射試験は2015年秋頃から始まっています。
[ロシア海軍の為の極超音速巡航ミサイル"ツィルコン"の試験が始まった]

「ツィルコン」の試験は、アルハンゲリスク州ネノクサ村に在るロシア海軍ミサイル発射試験場で行なわれているようです。
[ロシア海軍の為の巡航ミサイルは試射中にアルハンゲリスク州ネノクサ村の住宅へ落下した]
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「ツィルコン」の発射試験は秘密裡に行なわれていますが、2016年4月に行なわれた試験では最大速度マッハ8を記録しました。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は発射試験で最大速度マッハ8に達した]

「ツィルコン」の試験完了と生産開始は、2018年からスタートする新たな国家軍備プログラム(2018-2027年の国家軍備プログラム)において実現する事になります。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は新たな2018-2027年の国家軍備プログラムにおいて開発を完了し、生産を開始する]

2019年には海上(水上艦及び潜水艦)での「ツィルコン」の発射試験が始まります。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2019年から北方艦隊で発射試験を開始する]

これまでに「ツィルコン」は、ネノクサ村ミサイル発射試験場から10回以上の発射試験が行なわれています。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は10回以上の発射試験を行なった]


「ツィルコン」は、超音速対艦ミサイル「オーニクス」対地/対艦巡航ミサイル「カリブル」の両方を発射できる汎用垂直発射機3S-14UKSKから発射できます。
(つまり、「カリブル」「オーニクス」と発射機を共有できる)

「ツィルコン」は、今後に大規模な近代化改装が行なわれる重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」に装備されます。
[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは近代化改装により極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"を装備するかもしれない]
[ロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーの近代化改装は2020年に始まる]

現在、大規模な近代化改装が行なわれている重原子力ロケット巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」も装備する事になります。
[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ナヒーモフの近代化改装は2022年に完了する]

大規模な近代化改装が行なわれる4隻のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級巡航ミサイル原潜)にも装備されます。
[ロシア海軍のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級)は近代化改装により極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"を装備する]

「ツィルコン」は、実質的には「グラニート」の後継という位置付けになるようです。

この他、現在、設計作業が進められており、2020年代から建造が始まるロシア海軍第5世代原子力潜水艦「ハスキー」級にも装備されます。
[ロシア第5世代多目的原子力潜水艦プロジェクト「ハスキー」]


基本的には大型水上艦及び原子力潜水艦に搭載される「ツィルコン」ですが、より小型の艦へ搭載する為の小型ヴァージョンも開発される事になりました。

小型化された「ツィルコン」は、ロシア海軍の新世代小型ロケット艦プロジェクト22800「カラクルト」及びプロジェクト21631「ブヤン-M」へ搭載されます。
[プロジェクト22800カラクルト小型ロケット艦]
[プロジェクト21631ブヤン-M小型ロケット艦]

この他、記事中では「潜水艦」と書かれてますが、これはおそらく、プロジェクト06363プロジェクト677「ラーダ」といった通常動力潜水艦の事でしょう。
[プロジェクト06363潜水艦(黒海艦隊)]
[プロジェクト06363潜水艦(太平洋艦隊)]
[プロジェクト677ラーダ潜水艦]

従って、「ツィルコン」小型化ヴァージョンは、533mm魚雷発射管からも発射が可能となり、おそらくは現用の「カリブル」と同サイズになるでしょう。
[打撃巡航ミサイル「カリブル」]
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