クルイロフ国立科学センターの半双胴(カタマラン)形式軽多目的空母は水中抵抗が大幅に低減する
- カテゴリ:ロシア新世代航空母艦


『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2019年2月15日18時55分配信
【科学者は新たな輪郭の将来航空母艦の長所について考察した】
ロシア海軍の為の半双胴形状の船体の将来軽多目的航空母艦は、艦の移動抵抗の根本的な低下を可能にする。
『Mil.Press FlotProm』のインタビューに対し、『クルイロフ国立科学センター』所長ワレーリー・ポロヴィンキンは語った。
軽多目的航空母艦の概念モデルは、フォーラム『アルミヤ-2018』において提示された。
「モデルの試験について御話ししますと、移動抵抗の低減は、計算誤差の限界内の1.5~2パーセントに留まらず、基本的には、20パーセントまでとなります」
ポロヴィンキンは指摘した。
「同時に、出力及び速力についても、我々は大いなる移動余裕を得ます」
この他、艦の船体の水中部分の非標準形状と流体動力学特性により、航空母艦は限られた排水量で、艦の主兵装であるバランスの取れた航空団の配置が可能となる。
科学者は、提示された軽多目的航空母艦の概念設計は、航空母艦の2つのヴァージョンの内の1つである事を強調した。
「新たな解決策の適用は、飛行甲板の面積の増加を可能にし、艦へ航空隊を配置する際の問題を解決します。
更には、幾つかの流体動力学上の問題も解決しました」
ポロヴィンキンは纏めた。
海軍の情報提供者によると、ロシア海軍の開発は、順を追って行われている:小型ロケット艦を開発し、その後にコルベットとフリゲート。
それに続いて駆逐艦、汎用揚陸艦、航空母艦の作成。
2018年12月末、『北方計画設計局』は、「アドミラル・ゴルシコフ」型プロジェクト22350艦の拡大ヴァージョンであるプロジェクト22350Mフリゲートの草案設計契約へ署名した。
艦は、将来駆逐艦への過渡段階となり得る。
[Mil.Press FlotProm参照]
2017年8月、『Mil.Press FlotProm』は、クルイロフセンターが軽多目的航空母艦の概念を開発しているという情報を得た。
この艦のおおよその排水量は35000~40000トン、飛行装置の数は40~50機。
作成者によると、軽多目的航空母艦は原子力航空母艦「シトルム」を補完し、このような軽航空母艦は、より早く、低い出費で建造できる。
軽多目的航空母艦の概念は、未だロシアから要求されていない。
2018年4月に海軍副総司令官(軍備担当)ヴィクトール・ブルスク中将が語ったように、海軍は排水量が約7万トンの航空母艦を必要としている:それは、より海軍の任務に沿っている。
同時に、将来原子力航空母艦「シトルム」の設計は2020年の開始が決まっているが、艦は2030年よりも前には建造されないだろう。
予備データによると、「シトルム」の全長は330メートル、幅40メートル、吃水11メートル。
艦上には90機までの様々な用途の飛行装置を配置できる。
有翼ミサイル及び航空爆弾の弾薬貯蔵量は3000個。
トランポリン或いはカタパルトを使用するのかといった詳細は、技術設計段階で明らかになるとヴィクトール・ブルスクは付け加えた。
[ロシア新世代航空母艦]
ロシア海軍の為の将来航空母艦Перспективный Авианосецの設計開発作業は2007年に始まりました。
将来航空母艦は、複数の設計草案が提示されており、この内の1つは排水量75000トンになるようです。
[ロシア海軍の将来航空母艦の設計草案は2018年末までにロシア国防省へ提出される]
将来航空母艦のアイランドは非金属複合材料製になります。
[ロシア海軍将来正規空母のアイランドは複合材料で造られる]
将来航空母艦の動力に関しては、通常動力(ガスタービンなど)と原子力推進の2つのヴァージョンが検討されていますが、ロシア海軍は原子力推進を望んでいます。
[ロシア海軍将来正規空母は原子力推進となる]
[ロシア海軍将来正規空母と将来駆逐艦リデル級は同型の原子力機関を搭載する]
将来航空母艦の建造は2023年~2028年の開始が計画されています。
[ロシア海軍の新世代空母の建造は2023年~2028年に開始される]
[ロシア海軍の為の新世代空母の建造は『2018-2027年の国家軍備プログラム』において開始される]
2018年8月下旬にモスクワ州クビンカで開催された国際軍事技術フォーラム『アルミヤ-2018』において、『クルイロフ国立科学センター』は、軽空母の概念設計案を初めて公表しました。
[クルイロフ国立科学センターは軽空母の概念設計案を作成する]
[クルイロフ国立科学センターは軽空母の概念設計案を公表した]
この軽空母は基本的には輸出用ですが、ロシア海軍向けとしても考慮されています。
[クルイロフ国立科学センターは半双胴形式の軽空母を提案する]
既に、ロシア海軍の将来航空母艦の為の艦載機として、新たにVSTOL艦上戦闘機の開発が始まっています。
[ヤコブレフ新世代VSTOL艦上戦闘機]
VSTOL艦上戦闘機を搭載するのなら、大型の航空母艦は必要なく、この軽空母のような44000トンの艦で充分でしょう。

[軽多目的航空母艦]
基準排水量:37000トン
満載排水量:44000トン
全長:304m
最大幅:78m
機関出力:110000馬力(ガスタービン)
速力:28ノット
航続距離:8000海里
自立航行期間:60日
兵装:高射ミサイル砲複合体「パーンツィリ-ME」×4基
対潜/対魚雷複合体「パケート」×4基
搭載機:46機
(重戦闘機×12~14機
軽戦闘機×12~14機、
遠距離電波位置特定巡視航空機×4機
ヘリコプター×12~14機)
一見すると、「アドミラル・クズネツォフ」をリファインしたような艦ですが、この艦は「半カタマラン(双胴形式)」と呼ばれ、船体の後部が双胴形状になっています。
「アドミラル・クズネツォフ」よりも15000トンほど軽い空母ですが、飛行甲板のサイズは「アドミラル・クズネツォフ」と殆ど同じであり、搭載機数も「アドミラル・クズネツォフ」より、やや少ない程度となっております。
機関はガスタービンですが、合計出力(11万馬力)から見て、おそらくは、フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」型と同じM90FR(27500馬力)を4基搭載するようです。

更に、「半カタマラン(双胴形式)」は、水中抵抗を20パーセント低減させるメリットがあるとの事です。
『クルイロフ国立科学センター』は、この軽空母をロシア海軍向けとしても提案するつもりのようですが、そのロシア海軍は、7万トン級の原子力空母を望んでいるようです。
[ロシア海軍の将来航空母艦は7万トン級になる]
[ロシア海軍の為の新世代原子力空母が建造される]
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