fc2ブログ

ロシア海軍北方艦隊の原子力水中巡洋艦セヴェロドヴィンスクは基地に停泊したまま巡航ミサイル"カリブル"を発射した

『イズベスチヤ』より
2019年3月28日0時1分配信
【埠頭から出航せずに:係留されている潜水艦は「カリブル」発射を実施した】

原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」は海軍基地から有翼ミサイルで目標へ一撃を加えた。
19-0330c.jpg

北方艦隊の船員は、公海へ出航せずに係留岸壁から直接の有翼ミサイル「カリブル」発射を成功裏に実施した。
射撃は原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」により実施されたと海軍総司令部は『イズベスチヤ』へ話した。

演習では、不意の遭遇でも、潜水艦は、その前に置かれた戦闘任務を効率的に遂行できる事が示された。
更に、このような訓練は、艦内に有翼ミサイルを有する潜水艦の乗組員全ての義務的戦闘訓練プログラムへ組み入れられる。

以前には、埠頭へ係留されている潜水艦からの発射は不可能であり、このような規定では一連のユニットおよびシステムは動作しなかった。
しかし、射撃の完了が示された今、技術的問題は解決した。

2014年、海軍へ、プロジェクト885「ヤーセン」のトップ艦である多目的原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」が加入した。
今日において、それは、シリーズを唯一代表するものである。
しかし、今後2年で海軍には、更に6隻の多目的艦が増強されなければならない。
「ヤーセン」の構造の特色は、533mm魚雷発射管が中央区画へ配置されている事に有り、それは、広範囲の戦闘任務を果たす為の潜水艦ミサイル及び魚雷兵装の組み合わせの問題を無くすことを可能にする、
この潜水艦は、表面へ浮上せずに潜在敵の水上艦及び潜水艦へ打撃を与え、常設地上目標の撃破、隠密裏の機雷網の設置が可能である。

原子力ロケット艦の主な打撃力は、非常に効果的に地上目標を攻撃する有翼ミサイル「カリブル」、更には、敵の強力な砲火及び電波電子対抗策という条件下で水上海軍グループ及び単艦との戦闘の為に意図されている超音速対艦ミサイル「オーニクス」である。
将来的に潜水艦は、その速度のお陰により、現行のあらゆる対空防衛システムへ打撃を与える事が可能な極超音速ミサイル「ツィルコン」を受け取らなければならない。

このプロジェクトの潜水艦は現代的な戦術-技術的特性を有している。
「ヤーセン」の全長-120メートル、幅-13.5メートル、高さ-9.4メートル、水上速力-16ノット、水中速力-31ノット。
最大潜航深度-600メートル。
潜水艦の乗組員には、90名の水兵及び士官が含まれる。

ソヴィエト連邦は、1960~1970年代の境目に建造された第2世代原子力水中巡洋艦による埠頭からの大陸間弾道ミサイル射撃を「学んだ」
今、同様な状況において、今度は有翼ミサイルの使用がスタートしたと『サンクトペテルブルク潜水艦船員クラブ』指導者のイーゴリ・クルディン1等海佐は考える。
19-0330f.jpg
「埠頭から直接に有翼ミサイルを発射する能力は、潜水艦の戦闘効率を著しく向上させます」
イーゴリ・クルディン
『イズベスチヤ』へ話した。
「艦隊は何時も展開しているわけでは無く、その為、艦が埠頭から離れて進む際、前もって打撃を加えるエリアに照準を定めている必要があります。
潜水艦乗員は、埠頭から出航せずとも、その主要兵器を使用する必要性の為、その能力を持たなければなりません」


このような潜水艦の能力は、地球の熱帯地点では特別に必要となる。
特に、潜水艦シリアタルトゥース市物資-技術サービス基盤に居る場合、あらゆる時間帯に地上部隊への火力支援の可能性を有していなければならないと専門家は指摘した。
19-0330a.jpg

現在、国防省は、海軍潜水艦の構成に特別な注意を払っている。
2019年、北方艦隊には3隻の潜水艦が引き渡される予定である~「クニャージ・ウラジーミル」(プロジェクト955A「ボレイ」)、「カザン」(プロジェクト885「ヤーセン」)、更には1隻のディーゼルエレクトリック潜水艦
近代化されるプロジェクト「ヤーセン」及び「ボレイ」潜水艦は、近い将来の北方艦隊の基礎とならなければならない。




[新世代多用途原潜ヤーセン級(旧ブログ)]
[プロジェクト885ヤーセン原子力水中巡洋艦]

ソ連邦解体から2年後の1993年12月21日にセヴェロドヴィンスク造船所「セヴマシュ」で起工され、2010年6月15日に進水したプロジェクト885「ヤーセン」原子力水中巡洋艦の1番艦K-560「セヴェロドヴィンスク」は、2013年12月30日、受領-引渡証書への署名(ロシア連邦海軍への納入)が行なわれました。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクはロシア海軍へ納入された]

2014年6月17日、ロシア海軍旗初掲揚式典が開催され、北方艦隊潜水艦部隊・第11対空母原潜師団へ編入され、正式にロシア海軍へ就役しました。
[ロシア海軍最新鋭多用途原潜セヴェロドヴィンスクに聖アンドレイ旗は揚がった]
[ロシア海軍最新鋭多用途原潜セヴェロドヴィンスクは最新の原子炉セキュリティシステムを有する]

その後も白海で各種試験が実施され、2014年9月、常駐基地となるザオゼルスク(ザーパドナヤ・リツァ)へ向かいました。
16-0430c.jpg
[ロシア海軍最新鋭原潜セヴェロドヴィンスクは駐留基地ザオゼルスク(ザーパドナヤ・リツァ)へ向かった]

11月10日、ザーパドナヤ・リツァ浮上救助室の動作試験が行なわれました。
[ロシア海軍最新鋭原潜セヴェロドヴィンスクは救助カプセルの動作試験を行なった]

2015年5月9日の大祖国戦争勝利70周年記念日には、北方艦隊主要基地セヴェロモルスク沖の観艦式へ参加しました。


2015年6月6日、新型機器を搭載する「技術的作業」の為にセヴェロドヴィンスク造船所「セヴマシュ」へ回航されました。
[ロシア海軍最新鋭多用途原潜セヴェロドヴィンスクはセヴェロドヴィンスク市へ到着した]

その後の動向は明らかにされていませんでしたが、「技術的作業」を終えてザオゼルスクへ戻り、慣熟訓練を続けていたようです。
16-0319i.jpg
[ロシア海軍最新鋭多用途原潜セヴェロドヴィンスクは戦闘演習の為に出航する]

慣熟訓練を終えた「セヴェロドヴィンスク」は、2016年4月初頭に北方艦隊の演習へ参加し、最新鋭魚雷「フィジーク」を発射しました。
[ロシア海軍北方艦隊はバレンツ海で対潜戦闘訓練を行なった]
[新型誘導魚雷フィジークはロシア海軍へ制式採用された]

2016年4月下旬、バレンツ海から有翼ミサイル「カリブル」(対地攻撃型)ロシア北西部チジャ射爆場へ発射しました。
[ロシア海軍最新鋭原子力水中巡洋艦セヴェロドヴィンスクはバレンツ海から巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

2017年3月にはムルマンスク近郊のロスリャコヴォ村第82艦船修理工場大型浮きドックPD-50へ入渠しました。
19-0330e.jpg
19-0330d.jpg

2017年8月18日、再びバレンツ海から有翼ミサイル「カリブル」(対地攻撃型)ロシア北西部チジャ射爆場へ発射しました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新原子力水中巡洋艦セヴェロドヴィンスクはバレンツ海から巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

2018年12月4日、バレンツ海から有翼ミサイル「カリブル」(対地攻撃型)ロシア北西部チジャ射爆場へ発射しました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新原子力水中巡洋艦セヴェロドヴィンスクはバレンツ海から巡航ミサイル"カリブル"を地上目標へ発射した]


そして2019年3月、「セヴェロドヴィンスク」は、初めて基地の埠頭に停泊したまま有翼ミサイル「カリブル」(対地攻撃型)を発射しました。
(ただし、ロシア海軍当局からの公式発表は有りませんが)

何処の基地から発射したのかは明らかにされていませんが、おそらくは常駐基地ザオゼルスク(ザーパドナヤ・リツァ)でしょう。
19-0330b.jpg

記事中でも触れられていますが、基地内からのミサイル発射は、ソヴィエト連邦時代には弾道ミサイル搭載原子力潜水艦で試験が行なわれた事は有ります。
この時には、旧式化した戦略原潜(例えばヤンキー級デルタ級の初期型)の活用法の1つとして考えられました。
(旧式の戦略原潜は外洋に出れば敵潜水艦の餌食になりやすいので)


原子力水中巡洋艦「セヴェロドヴィンスク」は、汎用有翼ミサイル「カリブル」超音速対艦ミサイル「オーニクス」を搭載しています。
12-1104h.jpg
艦中央部のミサイル発射機(4連装8基)に最大で32基の「カリブル」「オーニクス」を搭載出来ます。
(この他、「カリブル」魚雷発射管からも発射できるので、更に搭載数を増やす事も可能)


「セヴェロドヴィンスク」は、現在までに有翼ミサイルを少なくとも計11回発射しています。

2012年11月7日:潜航状態で「カリブル」対艦攻撃型を発射。
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクはカリブル対艦ミサイルの発射試験に成功した]

2012年11月26日:浮上状態で「カリブル」地上攻撃型を発射。
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクはカリブル対地ミサイルの発射試験に成功した]

2012年11月28日:潜航状態で「カリブル」対地攻撃型を発射。
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクは3回連続でカリブル有翼ミサイルの発射試験に成功した]

2013年6月:浮上状態で「カリブル」対地攻撃型を発射。
16-0430m.jpg

2013年6月:潜航状態で「カリブル」対地攻撃型を発射。
16-0430e.jpg
16-0430f.jpg

2013年11月6日:潜航状態で超音速対艦ミサイル「オーニクス」を発射。
[原子力潜水艦セヴェロドヴィンスクは超音速対艦ミサイル「オーニクス」を発射した]

2014年9月初頭:潜航状態で有翼ミサイル(オーニクス?)を発射。
[ロシア海軍最新鋭原潜セヴェロドヴィンスクはミサイルを発射した]

2016年4月末:潜航状態で「カリブル」対地攻撃型を発射。


2017年8月18日:潜航状態で「カリブル」対地攻撃型を発射。
[ロシア海軍北方艦隊の最新原子力水中巡洋艦セヴェロドヴィンスクはバレンツ海から巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

2018年12月4日:浮上状態で「カリブル」対地攻撃型を発射。
[ロシア海軍北方艦隊の最新原子力水中巡洋艦セヴェロドヴィンスクはバレンツ海から巡航ミサイル"カリブル"を地上目標へ発射した]

2019年3月頃(?):基地に停泊した状態で「カリブル」対地攻撃型を発射。
関連記事
スポンサーサイト