スーパーキャビテーション原子力水中無人機システム"ポセイドン"は2021年にロシア海軍へ制式採用される
- カテゴリ:大洋多目的システム「ポセイドン」
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2019年4月23日15時21分配信
【「ポセイドン」システムは2021年に(ロシア)海軍へ軍備採用されると情報筋は伝えた】
モスクワ、4月23日-ロシア通信社ノーボスチ
無人機搭載潜水艦「ベルゴロド」(プロジェクト09852)と、その装置から成る「ポセイドン」システムは、2年を経てロシア連邦海軍へ軍備採用される。
『ロシア通信社ノーボスチ』は火曜日に情報筋より伝えられた。
水中無人機「ポセイドン」搭載潜水艦「ベルゴロド」の公式進水式典は、火曜日に工場『セヴマシュ』(セヴェロドヴィンスク)で行なわれた。
「今後2年で、潜水艦及び無人機ポセイドン自体は合同試験を実施します。
2020年~2021年の境目には、システム全体のロシア海軍への軍備採用が計画されています」
対談者は話した。
多目的原子力潜水艦「ベルゴロド」は、無人機「ポセイドン」の為の運用潜水艦である。
潜水艦はプロジェクト949A「アンテイ」(「クルスク」の同類)に属しており、「ポセイドン」システムの為に特別に改造されている。
[大洋多目的システム「ポセイドン」]
2018年3月1日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチン氏は教書演説を行ない、この中で、ロシアが開発中の各種新兵器に言及しました。
『タス通信』より
2018年3月1日18時25分配信
【プーチンが話したロシアの超兵器はどのようなものか】
この演説の中でプーチン大統領は、ロシア海軍の「無人水中装置」について話しました。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2018年3月1日13時36分配信
【プーチンは水中システムの為の新たな原子力推進について話した】
プーチン大統領の教書演説の後、ロシア海軍総司令官ウラジーミル・コロリョーフ大将が「無人水中装置」について記者団へ説明しました。
[ロシア海軍の為の大洋多目的システム(原子力推進水中無人機)の開発は進められている]
コロリョーフ提督は、この原子力推進の「無人水中装置」を「大洋多目的システム」と呼んでおり、原子力潜水艦に搭載され、敵の領域付近で使用されると述べています。
この「大洋多目的システム」は、以前から開発が噂されている大洋多目的システム「スタトゥース6」の事でしょう。
これは、2015年11月10日のプーチン大統領とロシア連邦軍首脳の会議について報じたニュース映像の中で「偶然」映った図面に描かれていたのが発端でした。
(動画の1:45から大洋多目的システム「スタトゥース6」の説明図が映っています)

『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2015年11月12日20時17分配信
【知られざるプロジェクト「スタトゥース6」】
大洋多目的システムは、敵の海軍基地や、航空母艦グループなどを撃破する為の兵器です。

その後、ロシア国防省は、この「原子力無人水中装置」などの公式に名前が付いていない新兵器の愛称を公募しました。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2018年3月23日4時27分配信
【ロシアは新たな国産兵器の為の名前を公表した】
その結果、原子力無人水中装置は「ポセイドン」と命名されました。
その他の候補には「アヴローラ」、「プリボイ」などが有りました。
大洋多目的システム(原子力無人水中装置)「ポセイドン」は『2018-2027年の国家軍備プログラム』において開発され、同プログラムの末までにロシア海軍へ制式採用されます。
「ポセイドン」の搭載艦は、セヴェロドヴィンスク造船所『セヴマシュ』で建造される原子力潜水艦になります。
[大洋多目的システム(原子力推進水中無人機)ポセイドンは『2018-2027年の国家軍備プログラム』において開発され、ロシア海軍へ採用される]
「ポセイドン」は2メガトンの核弾頭を搭載できるようです。
[ロシア海軍の大洋多目的システム(原子力推進水中無人機)ポセイドンは2メガトンの核弾頭を搭載する]
大洋多目的システム「ポセイドン」の動力には、液体金属(鉛ビスマス合金)冷却原子炉が使用される可能性も有ります。
[ロスアトムはロシア軍(海軍)の為の新たな液体金属冷却原子炉を開発する]
「ポセイドン」の動力となる原子力機関の海上での試験は2018年後半に始まりました。
[ロシア海軍の大洋多目的システム(原子力推進水中無人機)ポセイドンの試験は進められている]
[ロシア海軍の大洋多目的システム(原子力推進水中無人機)ポセイドンの水中試験は始まっている]
具体的な試験実施場所は明らかにされていませんが、おそらくは白海沿岸のネノクサ村に在るロシア海軍のミサイル発射試験場でしょう。



この他、試験潜水艦「サロフ」(2008年8月7日就役)も試験に従事しているようです。

[ロシア海軍の試験潜水艦サロフは水中ロボットの試験に従事する]
「ポセイドン」の水中速力は時速200キロメートル(約110ノット)以上になり、ソヴィエト連邦時代に開発された超高速ロケット魚雷「シクヴァル」と同様のスーパーキャビテーション技術が使われるようです。
[ロシア海軍のスーパーキャビテーション原子力水中無人機ポセイドンの水中速力は110ノット以上となる]
ロシア海軍は、「ポセイドン」を北方艦隊と太平洋艦隊へ配備します。
[ロシア海軍は合計32基のスーパーキャビテーション原子力水中無人機ポセイドンを太平洋艦隊と北方艦隊へ配備する]
2019年2月2日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチン氏は、「ポセイドン」の試験の最も重要な段階が完了したと述べました。
それ以上具体的な事には言及していませんが、おそらくは、動力となる原子力推進装置に関する試験でしょう。
[ロシア海軍の為のスーパーキャビテーション原子力水中無人機ポセイドンの試験の重要な段階が完了した]
「ポセイドン」は完全自立制御システムを有する一種の水中ロボットであり、敵の対潜防御線や機雷源なども回避できるとの事です。
[ロシア海軍の為のスーパーキャビテーション原子力水中無人機ポセイドンは自立して敵の防護システムを回避できる]
「ポセイドン」の動力となる原子力推進装置の水中試験において、その所定性能~事実上無制限の航続距離と時速200キロメートル(110ノット)以上の最大速力は確認されました。
[ロシア海軍の為のスーパーキャビテーション原子力水中無人機ポセイドンの原子力推進装置の所定性能が確認された]
2019年夏から「ポセイドン」の工場航行試験~本格的な洋上試験が始まります。
[ロシア海軍の為のスーパーキャビテーション原子力水中無人機ポセイドンの航行試験は2019年夏に始まる]
2019年4月23日、「ポセイドン」システムを搭載可能なプロジェクト09852特殊用途原子力潜水艦「ベルゴロド」(2012年12月20日再起工)が進水しました。
[ロシア海軍の為の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドはスーパーキャビテーション原子力水中無人機ポセイドンを搭載する]
[ロシア海軍の為の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは進水した]
「ベルゴロド」が洋上試験を実施できるようになれば、同艦自体の航行試験と共に、「ポセイドン」の運用試験も行われます。
[ロシア海軍のスーパーキャビテーション原子力水中無人機ポセイドン及び搭載潜水艦の洋上試験は2020年末頃までに完了する]
試験は2020年末には完了する見込みであり、2021年には「ポセイドン」システムはロシア海軍へ軍備採用(制式採用)されるようです。
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