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ロシアはIl-38のジブチ配備をフランスに求めた

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
【ロシア連邦は2機の航空機Il-38のジブチ基地への配置をフランスに依頼した】
パリ(フランス)、10月31日-ロシア通信社ノーボスチ

ロシア連邦は、同地域の海賊に対処する為、2機のロシアの偵察航空機Il-38ジブチ基地への配置をフランスに依頼した。
ロシア連邦国防長官アナトーリー・セルジュコフは記者団に伝えた。

「私共は、海賊に対処する為、3機のフランス航空機に加えて、2機の偵察航空機のジブチ航空基地への配置をフランス側に依頼しました」
彼は話した。

このように、ロシアは、同地域における偵察航空機の配備数を5機に増やす事を望んでいる。
ロシア国防長官は説明した。

セルジュコフは、ロシアが海賊対処での協力を重要な側面と考えている事を強調した。
「私共の艦は、アデン湾における航行の安全を確保する為、緊密に協力しております」
セルジュコフは話した。

彼は強調した。
ロシア連邦国防省は、次の分野におけるパートナーシップの発展に関心を持っている事を。
それは、海賊活動ゾーンにおける水上環境の情報、アフリカの角エリアにおける合同海軍演習、艦における組織的な相互医療支援、民間船の共同護衛である。

アデン湾及びアフリカの角エリアは、ソマリア海賊の活発な行動により危険である。
彼らは定期的に船舶を乗っ取り、身代金を要求している。

ロシア海軍の艦船は、海賊攻撃の回数が多い特徴を有するエリアへ定期的に滞在し、海軍力を使用する計画を提供する。

2008年10月以降、ロシア連邦海軍アデン湾ソマリア沖においてロシアの海洋船舶航行を保護する為の任務を実施している。
1年間に、4~5回の航海が行なわれた。
海賊との戦いの全期間に渡り、ロシア戦闘艦は、民間船への損失を全く被らずに約700の船団を先導した。

2010年5月、大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」乗組員は、海賊に乗っ取られたロシアタンカー「モスクワ大学」を解放するという前例の無い作戦を実施した。
この複雑な作戦は、イリダル・アフメロフ1等海佐の指揮下で行なわれた。

同船上には、23名のロシア人船員が乗っていた。
86000トンの石油を積んだタンカーは、紅海から中国へ向かっていた。
襲撃を受けた船及びロシア海軍将兵に負傷者は居なかった。10名の海賊が拘束され、あとの1名は死亡した。
(2012年10月31日18時20分配信)


[ロシア海軍のアデン湾(ソマリア沖)海賊対処活動]
[ロシア海軍のソマリア海賊対策(旧ブログ)]

ロシア海軍航空隊アデン湾への進出に関しては、2009年12月、当時のロシア連邦NATO駐在代表(現在はロシア連邦副首相)ドミトリー・ロゴージンが述べています。
[ロシア海軍航空隊、ソマリア沖に進出?]

それから3年後、パリを訪問したロシア連邦国防長官アナトーリー・セルジュコフは、フランス側との会談でロシア海軍航空隊アデン湾進出の件を持ち出してきました。

対潜哨戒機Il-38は、太平洋艦隊及び北方艦隊に合計15機程が配備されています。
[ロシア北方艦隊は近代化された対潜哨戒機Il-38Nを受領した]

太平洋艦隊所属のIl-38
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北方艦隊所属のIl-38
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近代化型Il-38N
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これらのIl-38が、2機ずつ交代でアデン湾(ジブチ基地)へ派遣され、ジブチに駐留するフランス海軍の哨戒機と合同でアデン湾のパトロールを実施するという事でしょう。


ロシア海軍は、2008年10月の警備艦「ネウストラシムイ」以降、今年5月の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」まで13回に渡りアデン湾へ海賊対処部隊を派遣しています。

1:警備艦「ネウストラシムイ」
2:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
3:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
4:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
5:大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」
6:警備艦「ネウストラシムイ」
7:大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」
8:大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」
9:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
10:大型対潜艦「セヴェロモルスク」
11:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
12:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
13:大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」


記事中でも触れられていますが、太平洋艦隊の大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」は、2010年5月、アデン湾においてソマリア海賊に乗っ取られたロシアのタンカー「モスクワ大学」の解放作戦を実施しました。
【ソマリア海賊:露タンカー乗っ取り 翌日に解放】

『ロシア通信社ノーボスチ』情報グラフィックより。
2012年5月7日配信
【乗っ取られたタンカー「モスクワ大学」の突入解放作戦】

タンカー「モスクワ大学」を乗っ取ろうとしたソマリア海賊は1名が射殺され、10名が拘束されました。
しかし、拘束された10名も、ゴムボートに乗せられて海上へ放逐され、その後、死亡しました。
結果的に、「モスクワ大学」を襲撃したソマリア海賊は、11名全てが死亡しました。

この作戦の指揮官は、当時、太平洋艦隊第44対潜艦旅団司令だったイリダル・アフメロフです。
[ソマリア海賊対処部隊指揮官イリダル・アフメロフの華麗な戦歴]
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