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新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクの最終試験が始まった

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『イズべスチヤ』より
2012年11月2日12時52分配信
【700億ルーブルの潜水艦は試験に合格する】

潜水艦「セヴェロドヴィンスク」の最終試験が開始された。

(ロシア)海軍は、今年末までに最新原子力潜水艦プロジェクト855「ヤーセン」K-329「セヴェロドヴィンスク」を戦闘編制に含める兆候を見せている。
海軍将兵は、1993年に起工され、1998年、2000年、2005年に(ロシア)海軍の編制への加入が試みられた同艦を、高価な未完成艦と称している。
潜水艦には、既に国庫から約700億ルーブルの費用が費やされている。

(ロシア)海軍総司令部は『イズべスチヤ』に対し、10月30日に潜水艦はセヴェロドヴィンスク造船工場「セヴマシュ」を去り、国家受領試験の為にバレンツ海へ行ったと伝えた。
これは、潜水艦の全てのコンポーネントと機器を点検し、更に、有翼ミサイル「カリブル」が発射される。
全てに障害が無い場合、試験は11月25日に完了する。

「我々は、全てのコンポーネントと機器を工場の岸壁で点検しました。
海洋において、それはメインバラストタンク(潜航時には水をポンプで送る)と排水システム(浮上時に水を注ぎ出す)の動作状態を評価しなければなりません。
全てのモードにおける原子炉の動作と推進軸のスムーズな動作を点検し、ミサイル及び魚雷発射を行ないます。
ミサイルは3回発射されます-この内の2回は水中から、1回は水上から」

(ロシア)海軍総司令部の代理人は話した。

彼によると、発射後、工場周辺での潜航深度の制限は撤廃される。
これは何れの潜水艦においても主要な試験であり、最も深い深度における全ての艦内システムの動作、船体と原子炉の状態が示される。

「セヴェロドヴィンスクは、このようなテストを既に2年経ています。
この1年間で、約120日間が海洋での航海に費やされました。
そして、約2000箇所の問題点が明らかになりました。
加えて、エカテリンブルクの設計局ノワトールにより開発された複合体カリブルも。
ミサイルは、全ての時において評判を落としました」

海軍士官は続けて述べた。

今年、システム及び機器の問題点は排除される。
海軍将兵によると、それは水中艦にとって少し難事である。

「2~3週間に渡る試験の終了後、潜水艦はセヴェロドヴィンスクの工場で修理されます。
その後、原子力潜水艦の海軍の戦闘編制への加入式典が開催されます。
司令部の計画では、乗組員は2013年から戦闘訓練を開始します」

ロシア海軍総司令部の情報提供者は『イズベスチヤ』に伝えた。

更に彼は、戦闘編制への加入後、乗組員は、敵の回避、水中航行、緊急浮上及び潜航、更にはミサイル及び魚雷の発射を含む3つの特別な複合操作(試験任務と呼ばれる)を実行しなければならないと説明した。

「乗組員は、おそらくは2~3ヶ月で対処できるようになるでしょう。
例えば、ヴィリュチュンスク(原子力潜水艦プロジェクト949A「アンテイ」)は、8ヶ月で対応しました。
全ての試験任務が終わった後、潜水艦は戦列へ加わり、戦闘勤務の準備が完全に整います」

(ロシア)海軍総司令部の代理人は続けて述べた。

ウラジーミル・ザハロフ予備役少将によれば、「セヴェロドヴィンスク」ロシア海軍の戦闘編制への加入により、西側諸国との潜水艦建造の技術的格差は減少するだろう。

「アメリカにはシーウルフ級及びバージニア級原子力潜水艦、ブリテンにはアスチュートが有ります。
これらは第4世代潜水艦であり、我々よりも遥かに静粛です。
これらは、数千キロの距離で水上及び陸上の目標を破壊できる長距離有翼ミサイル "トマホーク"を有しています。
セヴェロドヴィンスクは、最初の第4世代国産潜水艦であり、西側の類似する潜水艦に劣っていません。
それは他のプロジェクトよりも静粛であり、長距離有翼ミサイルを装備しています」

ザハロフ氏は『イズベスチヤ』に対し、こう指摘した。

彼によると、「ヤーセン」の有翼ミサイルは、大規模な戦争及び地域紛争に有用である。
アメリカ及びブリテンが大いに注目している「トマホーク」は、水中から正確に打撃を与えることが出来る。

戦略研究所の所長アレクサンドル・コノワーロフは、「ヤーセン」は戦略水中ロケット艦との相互連携の為に必要であると見ている。
それら(戦略水中ロケット艦)は、敵の原子力潜水艦に対し、基地の外では脆弱であり、アメリカとブリテンの潜水艦の艦尾に座るようなものである。
従って、「戦略家」プロジェクト955を保護する為に、多用途潜水艦は絶対に必要であるとコノワーロフは語った。


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[新世代多用途原潜ヤーセン級(旧ブログ)]
[新世代多用途原潜ヤーセン級]

ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より。
【プロジェクト885「ヤーセン」】

最初に第4世代原子力潜水艦の構想が出たのは1977年の事でした。

当初は、「マラヒート」、「ルビーン」、「ラズリート」の各潜水艦設計局が別個に第4世代原潜を設計していました。

魚雷ロケット原潜プロジェクト958「アファリナ」
(サンクトペテルブルク海洋工学設計局「マラヒート」が設計)

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有翼ミサイル原潜プロジェクト881「メルクーリイ」
(海洋工学中央設計局「ルビーンが設計)

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魚雷ロケット原潜プロジェクト957「ケドル」(モックアップ)
(海洋工学設計局「ラズリート」が設計)

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しかし結局これらのプロジェクトは中止され、「マラヒート」が設計したプロジェクト885「ヤーセン」に統合されました。

プロジェクト885「ヤーセン」の正式な設計開始は、東西冷戦の最中だった1985年でした。
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「ヤーセン」の1番艦である原子力水中ロケット巡洋艦K-329「セヴェロドヴィンスク」は、最初に構想が出てから16年後、設計開始から8年後の1993年12月21日、艦名と同じセヴェロドヴィンスク市造船所「セヴマシュ」で起工されました。

進水に漕ぎ着けたのは、起工から17年後の2010年6月15日でした。
構想が出てから33年、設計開始から26年の歳月が流れていました。
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「セヴェロドヴィンスク」は、2011年9月12日から海洋試験(工場航海試験)を開始しました。
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2012年10月19日、多用途原潜「セヴェロドヴィンスク」は、4回目にして最後の工場航海試験を終了しました。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは工場航海試験を完了した]

今回の記事によると、これに続き、最終試験である国家受領試験が開始されたとの事です。

以前、「セヴェロドヴィンスク」の国家受領試験は11月に実施されると報じられました。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは11月に国家受領試験を行なう]

「国家受領試験」というのは、国防省海軍の関係者から成る国家委員会の立会いの下で行なわれる航海試験です。

試験の結果、国家委員会が合格と認めれば、艦は海軍への引き渡しが可能となります。

今回の記事を読む限り、ロシア海軍は、原潜「セヴェロドヴィンスク」の国家受領試験を11月末に完了させ、12月中に就役させたい意向のようです。

10月22日、ロシア連邦国防長官アナトーリー・セルジュコフは、同じ第4世代に属するプロジェクト955「ボレイ」原子力水中ロケット巡洋艦の1番艦であるK-535「ユーリー・ドルゴルーキー」ロシア海軍への引き渡しは2013年になると発言しました。
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは2013年に就役する]
この時、セルジュコフ氏は「セヴェロドヴィンスク」の就役時期については明言を避けました。

ロシア連邦国防省ロシア連邦海軍としては、せめて「セヴェロドヴィンスク」だけでも今年(2012年)中に就役させたいのでしょう。


記事中に登場する有翼ミサイル「カリブル」は、対地攻撃型、対艦攻撃型、対潜攻撃型の3タイプが在ります。
対地攻撃型は亜音速で射程距離2500km。
対艦攻撃型は射程距離375km、飛翔週末段階で弾頭が分離、超音速で目標へ突進します。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]


更に、ロシアでは第5世代原子力潜水艦の構想も有ります。
最初に構想が出たのは1980年代末~1990年代初頭、まだソヴィエト連邦が存在していた時期の事でした。

第5世代原子力潜水艦の構想は、2004年からサンクトペテルブルク海洋工学設計局「マラヒート」で練られています。

原潜はモジュール構造となっており、基本形は攻撃原潜ですが、艦中央部にミサイル区画を挿入する事により、弾道ミサイル原潜に変身できます。
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