ヤーセン級原子力水中巡洋艦2番艦カザンのロシア海軍への引き渡しは延期されるかもしれない

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2019年5月16日16時24分配信
【プロジェクト「ヤーセン-M」潜水艦の一連の構造上の不具合が明らかになった】
モスクワ、5月16日-ロシア通信社ノーボスチ
多目的原子力潜水艦「カザン」の試験において、改善プロジェクト885M(ヤーセン-M)の一連の構造上の不具合が明らかにされた。
『ロシア通信社ノーボスチ』のインタビューに対し、『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフは述べた。
「潜水艦の試験の進行は芳しいものでは有りません。
まず初めに、この潜水艦で初めて使用される制御システムの完成度についての話ですが、一連の構造上の不具合が明らかになった事は秘密でも何でもありません」
ラフマノフは話した。
彼によると、『統合造船業営団』は「今年末までの試験完了及び戦闘準備モデルの受け入れの為に全力を尽くしております」
「ですが、残りの時間でカザンの仕上げの完了に成功するかどうかの問題は残されたままです」
『統合造船業営団』のトップは確認した。
多目的原子力潜水艦「カザン」、「ノヴォシビルスク」、「クラスノヤルスク」、「アルハンゲリスク」は、改善プロジェクト「ヤーセン-M」(885M)の下で建造されている。
これらは13800トンの排水量を有し、潜航深度は520メートル、乗組員64名、自立航行期間100日、水中速力31ノット。
兵装として、機雷、533mm魚雷、有翼ミサイル「カリブル」及び「オーニクス」が在る。
『タス通信』より
2019年5月17日17時47分配信
【情報筋:原子力潜水艦「カザン」の海軍への引き渡しは2019年にはならない】
モスクワ、5月17日/タス通信
プロジェクト885M(コード名「ヤーセン-M)多目的原子力潜水艦「カザン」のロシア海軍への引き渡しは、補助システムの仕上げが不充分であり国防省の要望を満たしていないが故、2019年にはならない。
金曜日、『タス通信』はロシア連邦防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。
「規定の係留試験、更には工場航行試験の冬季段階(今年1月に完了)の結果、艦の一連の補助ユニット及び設備は、その信頼性を含め、国防省の戦術-技術的課題の要求を満たしておらず、『セヴマシュ』のドックでの仕上げが必要です」
対談者は話した。
情報提供者は、システムの仕上げには少なくとも数ヶ月掛かり、その後「カザン」は、もう一度工場航行試験の枠組みで更に数回出航しなければならず、その後に国家受領試験がある事を指摘した。
「今年末までに全てを実行する事は絶対に不可能です。
『セヴマシュ』を去るのは2020年春になり、カザンの海軍への引き渡しは2021年にずれ込む可能性は否定できないでしょう」
彼は述べた。
対談者は、今年初めに潜水艦は、機器の整備及び問題点の除去の為、『セヴマシュ』に居た事を付け加えた。
『統合造船業営団』は、潜水艦「カザン」の引き渡し時期に関する『タス通信』の情報提供者からの情報にコメントしなかった。
[「カザン」について]
「カザン」は、改善プロジェクト885M(ヤーセン-M)の最初の多目的原子力潜水艦である。
それは『セヴマシュ』で2009年に起工され、2017年5月31日に進水した。
潜水艦は北方艦隊への加入が計画されており、既に「ヤーセン」シリーズのトップ潜水艦「セヴェロドヴィンスク」は就役している。
3月末、『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフは、潜水艦の2018年の試験プログラムは挫折したが、「それ(カザン)を今年に御引き渡しするだけです」と報道陣へ伝えた。
プロジェクト885「ヤーセン」原子力水中巡洋艦の2番艦(改型のプロジェクト885M「ヤーセン-M」としては1番艦)「カザン」は、2009年7月24日にセヴェロドヴィンスク造船所「セヴマシュ」で起工されました。

[改セヴェロドヴィンスク型原潜「カザン」起工]
[改セヴェロドヴィンスク型原潜カザンは新型機器のみを装備した初の第4世代原潜となる]
[改ヤーセン級多用途原潜カザンの操舵装置の製造が始まった]
「カザン」は北方艦隊への配備が予定されており、既に乗組員も編成されています。
[ロシア海軍北方艦隊潜水部隊は新世代戦略原潜クニャージ・ウラジーミルと多用途原潜カザンの乗組員を編成した]
「カザン」は2017年3月31日に進水しました。
[ロシア海軍の第4世代原子力水中巡洋艦ヤーセン級2番艦カザンはセヴェロドヴィンスク造船所で進水した]
2017年7月末からは、造船所の岸壁で係留試験が始まりました。
[ロシア海軍の第4世代原子力水中巡洋艦ヤーセン級2番艦カザンの係留試験が始まった]
2018年9月24日、「カザン」は最初の航行試験(工場航行試験)へ出発しました。
[ロシア海軍の為のヤーセン級原子力水中巡洋艦2番艦カザンの航行試験が始まった]
試験は2019年1月初頭頃まで続きました。
「カザン」のロシア海軍への引き渡しは2019年12月末に予定されていました。
[第4世代原子力水中巡洋艦ヤーセン級2番艦カザンは2019年にロシア海軍へ引き渡される]
しかし、航行試験の結果、幾つかの不具合が発覚した為、2019年中の引き渡しは実現できない可能性が出てきました。
「ヤーセン」級シリーズ(原型1隻、改型6隻)は、2023年~2024年までに7隻がロシア海軍へ引き渡される予定です。
[ロシア海軍第4世代多用途原潜ヤーセン級は2023年までに計7隻が就役する]
[ロシア海軍の最新鋭多用途原潜ヤーセン級は北方艦隊と太平洋艦隊へ配備される]
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