タタールスタンのゼレノドリスク造船所は2021年までに5隻のカラクルト級小型ロケット艦をロシア海軍へ引き渡す

『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2019年5月21日18時37分配信
【ゼレノドリスク工場は「カラクルト」の納入時期を改めた】
『ゴーリキー記念ゼレノドリスク工場』は、5隻のプロジェクト22800(コード名「カラクルト」)小型ロケット艦の海軍への引き渡しを2021年に計画している。
同社の2018年度の年次会計報告書には、こう記されている。
「プロジェクト22800小型ロケット艦の建造を行なう2016年8月5日からの契約1620187304231412209015638号。
工場番号801-ツィクロン
工場番号802-アスコルド(註:ムッソンとして起工)
工場番号803-アムール(註:パッサートとして起工)
工場番号804-トゥーチャ
工場番号805-メルクーリイ(註:スメルチとして起工され、メルクーリイへ改名されたが、伝説のブリッグの名はプロジェクト20386コルベットに付けられた事に留意すべきである)」
報告書には、こう記されている。
文書によると、受注品801は今年(2019年)に、受注品802及び803は2020年、受注品804及び805は2021年に発注者へ引き渡される。
2018年のゼレノドリスク造船所の年次融資業務は完全な量で遂行された。
最初の3隻の「ゼレノドリスク」シリーズ艦の為の更新される兵装の供給に関する合意は締結されて前払いされており、更なる2隻の為のものは2019年4月に締結され、その過程にある。
「ツィクロン」及び「アスコルド」の船体は形成され、「アムール」の船体は造船台で作成され、同時に水上構造物の作業が行なわれている。
『Mil.Press FlotProm』の2名の業界の情報提供者によると、契約上の受注品802及び803の納入時期は2019年だったが、M507エンジンの製造ペースが緩慢であるが故に、艦の海軍への引き渡し時期は延期された。
造船所の消息筋は、この情報を認めた。
『Mil.Press FlotProm』の記者は、然るべき問題に関する同社への問い合わせについてゼレノドリスク工場から公式なコメントを得られなかった。
高回転ディーゼルの海軍への供給スケジュールは、2021年~2022年には安定するものと見られる。
2018年10月、海軍造船管理副部長ミハイル・クラスノぺーエフ1等海佐は語った。
[『Mil.Press FlotProm』参照]
プロジェクト22800小型ロケット艦は、ミサイル複合体「カリブル」を搭載する。
小型ロケット艦は2500海里までの距離を航行し、15日間の海上への滞在が可能である。
ロシア海軍の為の建造の必要性は、ウクライナとの軍事技術協力の中断により引き起こされたプロジェクト11356フリゲートの建造停滞によって理由付けられる。
プロジェクト22800「カラクルト」小型ロケット艦は、ロシア海軍の現用のプロジェクト12341「オヴォード」小型ロケット艦(ナヌチュカ級)及びプロジェクト12411「モルニヤ」ロケット艇(タランタル級)の後継となる新世代の小型ロケット艦です。
今回の記事では、建造が停滞したプロジェクト11356フリゲートに代わるものと書かれてますが、それは、あくまでも黒海艦隊向けのみの話です。
[ロシア海軍黒海艦隊向けのプロジェクト11356Rフリゲートは3隻で終了する]
プロジェクト12341小型ロケット艦(「ミラーシュ」)

プロジェクト12411ロケット艇(R-239)

元々は「オヴォード」や「モルニヤ」の後継としてプロジェクト12300「スコルピオン」ロケット艇(満載排水量465トン)が建造される筈だったのですが、2001年6月5日に起工された1番艇は工事中止となりました。
[ロシア新型ミサイル艇プロジェクト12300「スコルピオン」]
その後、『アルマーズ』設計局は「スコルピオン」の拡大発展型(満載排水量800トン)を設計し、それに小改正を加えたのがプロジェクト22800「カラクルト」小型ロケット艦として建造される事になりました。
プロジェクト12300「スコルピオン」ロケット艇(拡大発展型)


プロジェクト22800「カラクルト」小型ロケット艦

プロジェクト22800「カラクルト」小型ロケット艦は、現在までに11隻が起工されています。
最初の2隻:「ウラガーン」と「タイフーン」は、2015年12月24日にサンクトペテルブルク近郊の『ペラ』造船所で起工されました。
[ロシア海軍の為のプロジェクト22800小型ロケット艦ウラガーンとタイフーンはサンクトペテルブルクで起工された]
「ウラガーン」は2017年7月29日、「タイフーン」は2017年11月24日に進水しました。
[ロシア海軍最新鋭小型ロケット艦カラクルト級2番艦タイフーン進水(2017年11月24日)]
「ウラガーン」改め「ムィティシ」は2018年12月17日に就役し、バルト艦隊へ編入されました。
[プロジェクト22800カラクルト小型ロケット艦1番艦ウラガーン改めムィティシはロシア海軍へ就役し、バルト艦隊へ編入された]
[ムィティシ市はロシア海軍最新鋭小型ロケット艦ムィティシを後援する]
「タイフーン」改め「ソヴィェツク」は、2019年5月20日に航行試験を開始しました。
[ロシア海軍の最新鋭小型ロケット艦ソヴィェツク(タイフーン)、航行試験開始(2019年5月20日)]
ロシア海軍への引き渡しは2019年12月に予定されています。
2016年5月10日、クリミア半島のフェオドシヤ造船工場『モーリェ』(海洋)で「シトルム」が起工されました。
[ロシア海軍の為のプロジェクト22800小型ロケット艦シトルムはクリミアで起工された]
2016年7月29日、『ペラ』造船所で「シクヴァル」が起工されました。
[ロシア海軍の為のプロジェクト22800小型ロケット艦シクヴァルは起工された]
「シクヴァル」は2018年5月5日に進水しました。
[ロシア海軍の為のプロジェクト22800カラクルト級小型ロケット艦の3番艦シクヴァルは進水した]
2016年12月24日、『ペラ』造船所で「ブーリャ」が起工されました。
[ロシア海軍の為のプロジェクト22800小型ロケット艦ブーリャはサンクトペテルブルクで起工された]
「ブーリャ」は2018年10月23日に進水しました。
[ロシア海軍の為のカラクルト級小型ロケット艦4番艦ブーリャは進水した]
2017年3月17日、フェオドシヤ造船工場で「オホーツク」が起工されました。
[クリミアのフェオドシヤ造船所でロシア海軍の新世代小型ロケット艦オホーツクが起工された]
2017年12月19日、フェオドシヤ造船工場で「ヴィフリ」が起工されました。
[クリミアのフェオドシヤ造船所でロシア海軍の新世代小型ロケット艦ヴィフリ(旋風)が起工された]
これで『ペラ』造船所及びフェオドシヤ造船工場契約分7隻は全て起工されました。

ロシア内陸部タタールスタン共和国の『ゴーリキー記念ゼレノドリスク造船工場』は、2016年8月に5隻の「カラクルト」を受注しました。
[タタールスタンのゼレノドリスク造船所はロシア海軍の為に小型ロケット艦カラクルト級を5隻建造する]
『ゴーリキー記念ゼレノドリスク造船工場』は、2016年~2017年に3隻の「カラクルト」を起工していますが、実際には、同社の下請けとして、クリミア半島のケルチ市に在る造船工場『ザリフ』で建造されています。
[クリミア共和国ケルチ市のザリフ造船所はロシア海軍将来空母の建造へ参加できる]

「ツィクロン」Циклон(工場番号801):2016年起工
「アスコルド」Аскольд(工場番号802):2016年起工
「アムール」Амур(工場番号803):2017年7月30日起工
2019年2月26日、今度は『ゴーリキー記念ゼレノドリスク造船工場』本社で、同社が受注した4隻目の「カラクルト」となる「トゥーチャ」Туча(工場番号804)が起工されました。
[ロシア海軍の為の最新鋭小型ロケット艦トゥーチャはタタールスタンのゼレノドリスク造船所で起工された]
今後、5隻目の「カラクルト」(工場番号805)も起工されます。
『ゴーリキー記念ゼレノドリスク造船工場』は、以前に同類のプロジェクト21631「ブヤン-M」小型ロケット艦12隻を起工しており、この内7隻が就役しています。
[プロジェクト21631ブヤン-M小型ロケット艦]
今後、6隻の「カラクルト」級小型ロケット艦が極東の造船所で建造されます。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為のカラクルト級小型ロケット艦6隻の建造契約は2019年に締結される]
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