ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦B-435(元ウクライナ潜水艦ザポリージャ)は解体される
- カテゴリ:クリミア(ウクライナ)情勢

『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2019年6月21日21時28分配信
【ロシア連邦国防省はウクライナ唯一の潜水艦「ザポリージャ」を解体する】
モスクワ、6月21日、インタファクス
6月19日、ロシア連邦国防省は数隻の艦の解体の為の入札を公開した。
その中には、以前にはウクライナが保有し、クリミアのロシアへの編入後にロシア連邦海軍へ引き渡された潜水艦「ザポリージャ」も有る。
然るべき情報は、国家発注ポータルサイトに記載されている。
入札への参加は2019年6月25日までとなっている。
契約価格は知られていない。
入札文書のリストには、プロジェクト641潜水艦が出ている。
文書では、具体的には名指しされていない。
ロシア連邦海軍において、このタイプの潜水艦は、この「ザポリージャ」1隻のみである。
それは、2014年のクリミア編入後、黒海艦隊へ加入した。
ウクライナの潜水艦は、「ザポリージャ」1隻のみであった。
それは1970年に建造され、2014年に聖アンドレイ旗を掲揚したが、既に動力は老朽化していると見なされ、その年には修理中だった。
以前、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、ロシアはウクライナへクリミアの艦と軍用車両を引き渡す用意が有ると発言した。
2014年4月、ウクライナへ中型揚陸艦「キロヴォフラート」、コルベット「ヴィーンヌィツャ」、海上基盤「ゾロトノシャ」を含む数隻の艦が戻された。
ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【B-435、U-01「ザポリージャ」(ウクライナ海軍)】
ウクライナ海軍唯一の潜水艦「ザポリージャ」は、元々はソ連海軍のプロジェクト641潜水艦(フォックストロット級)B-435として1970年3月24日にレニングラードのアドミラルティ造船所で起工され、同年5月29日に進水、同年11月6日にソ連海軍へ納入されました。
1970年11月24日、赤旗北方艦隊へ編入され、1971年1月、北方艦隊潜水艦基地ポリャールヌイに到着しました。
1970年代~1980年代には北東大西洋や地中海で戦闘勤務に就いていました。
この間、1972年にはムルマンスクで、1979年~1981年にはクロンシュタットでオーバーホールが行なわれました。
1990年夏には黒海へ回航され、同年8月27日、黒海艦隊へ転属しました。
翌1991年12月末のソヴィエト連邦解体後は海洋へ出る事も無くなり、セヴァストーポリに係留されたままになりました。
1997年7月11日、ウクライナ海軍へ譲渡され、同月21日にU-01「ザポリージャ」と改名されました。
1997年9月8日、ロシア連邦海軍から除籍されました。
しかしウクライナだけでは同艦を修復、復帰させる事は出来ず、ロシアの助力を得る事になりました。
ウクライナの造船所は、ソヴィエト連邦時代にはソ連海軍向けの大型水上艦を多数建造した経験は有りますが、潜水艦に関しては全く経験が無く、当然ながらノウハウも有りませんでした。
[ロシアは、ウクライナ潜水艦の修理に協力する]
「ザポリージャ」は、ロシア黒海艦隊の第13艦船修理工場の浮きドックで修復される事になりました。

2012年から航海試験が開始され、潜航試験も実施されました。
2013年1月、ウクライナ海軍の戦闘編制へ加入しました。
そして2013年6月末、修理を完全に終えてロシア黒海艦隊の浮きドックを出渠し、名実ともにウクライナ海軍へ再就役しました。
[ウクライナ潜水艦ザポリージャは完全に修復された]
2014年3月にクリミア半島がロシア連邦へ編入された際、同地に居たウクライナ海軍艦艇はロシアに接収されました。
しかし潜水艦「ザポリージャ」のみは、ロシア黒海艦隊潜水艦部隊の幹部(司令と参謀長)が出向き、自軍へ引き入れる為の説得工作が行なわれました。
ロシア側は、潜水艦そのものよりも、乗組員(サブマリナー)の方が欲しかったようです。
[ウクライナ潜水艦ザポリージャ、ロシア黒海艦隊へ編入?]
その結果、乗員の一部は潜水艦を去り、残りはロシア海軍へ加わる道を選び、潜水艦「ザポリージャ」は2019年3月22日にロシア海軍へ復帰し、元のB-435へ戻りました。
[旧ウクライナ潜水艦ザポリージャはロシア海軍旗を揚げた]
その後、「ザポリージャ」をウクライナへ返還する話も出てきましたが、結局、実現には至りませんでした。
[潜水艦B-435(旧ザポリージャ)はウクライナ海軍へ返還されるかもしれない]
[潜水艦ザポリージャはウクライナ側へ返還される]
[セヴァストーポリの企業は潜水艦ザポリージャ(現B-435)の差し押さえを求める]
「ザポリージャ」改めB-435は、書類上は黒海艦隊の第4独立潜水艦旅団に所属し、セヴァストーポリに停泊していましたが、一度も外海へ出る事は有りませんでした。

ロシア海軍へ復帰してから5年以上が経過した2019年6月下旬、遂にB-435は解体される事になり、業者の入札が始まりました。
なお、今回の入札においては、3隻のプロジェクト956駆逐艦、数隻のプロジェクト877潜水艦、そしてプロジェクト1134B大型対潜艦の解体も発表されています。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2019年6月20日9時52分配信
【プロジェクト956駆逐艦解体の入札が公表された】
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