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ロシア海軍の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはヘリコプターによる物資補給試験を完了した

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『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
【給油船「アカデミック・パシン」は国家試験の次の段階を完了した】

プロジェクト23130給油船「アカデミック・パシン」の国家試験の次の段階は成功裏に完了した。
『ネヴァ川造船・修理工場』広報サービスが伝えたように、これは、ヘリコプター~甲板上で空中停止する回転翼機との連携及び貨物の降下の作業の仕上げである。


飛行試験は、ロシア連邦海軍及びロシア総飛行試験センターの専門家と共に国家試験の枠組みで実施した事を『ネヴァ川造船・修理工場』広報サービスは強調した。

今後、給油船「アカデミック・パシン」は、定係港ムルマンスクへ向かうだろう。
これは、ロシア海軍の日に敬意を表した主要海軍パレードへの同船の参加の後の実行が予定されている。

「アカデミック・パシン」『ネヴァ川造船・修理工場』で2014年4月に起工され、2016年5月に進水した。
当初、船の海軍への引き渡しは、2016年末~2017年初頭に予定されていたが、船の航行試験が始まったのは、2018年5月になってからであった。
秋に船は試験を継続する為、バルト艦隊へ向かった。
海軍への引き渡しは今年末までに計画されている。
2019年2月、この分野の情報提供者は、給油船が今年の第2四半期或いは第3四半期に就航すると『Mil.Press FlotProm』へ話した。

給油船は貨物タンク区画の二重船体を持つ単一甲板船であり、北方緯度での航行が可能である。
船は、戦闘艦の為の燃料、航空燃料、食料品の移送の為に意図されている。
航続距離は9000海里であり、主な任務の1つは、航空艦への随伴であると言われている。

「アカデミック・パシン」は、係留される事無く、海上で並行貨物移送システムにより他の船或いは艦へ数種類の液体貨物:ディーゼル燃料(軽油)、重油、ケロシン(航空燃料)、潤滑油、水の移送あるいは受け入れ、更には乾燥貨物(食料、用具、技術資産)の受入、保管、輸送及び移送の為に意図されている。

プロジェクト23130給油船の全長は130メートル、幅約21メートル、最大速力16ノット、自立航行期間60日、乗組員24名。



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『ネヴァ川造船・修理工場』公式サイトより
【中型給油船プロジェクト23130】

ロシア海軍の為の新たな中型海洋給油船・プロジェクト23130は、2013年5月に建造所を決める為の入札の公募が発表されました。
[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)が建造される]

その結果、サンクトペテルブルク近郊のシュリッセリブルク市に在る『ネヴァ川造船・修理工場』で建造される事になり、2013年11月に建造契約が締結され、2014年2月末にはプレートカットが始まりました。
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[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)プロジェクト23130のプレートカットが始まる]

プロジェクト23130中型給油船の1番船「アカデミック・パシン」は、2014年4月26日に『ネヴァ川造船・修理工場』で起工されました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンは起工された]

2年後の2016年5月26日に進水しました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンは進水した]

進水後は、造船所の岸壁で艤装工事が進められていました。

2018年3月初頭の「アカデミック・パシン」
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そして2018年5月18日、シュリッセリブルク市のすぐ近くのラドガ湖で航行試験を開始しました。
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[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンの航行試験が始まった]

2018年8月には洋上補給システムの試験が行なわれました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンは洋上補給システムの試験を続けている]

「アカデミック・パシン」ラドガ湖での試験は完了し、2018年9月11日にクロンシュタットへ到着しました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはクロンシュタットへ行く]

2018年9月29日にクロンシュタットを出航し、フィンランド湾での試験を開始しました。



当局からの発表は有りませんが、2018年6月20日に就役し、10月22日に北方艦隊基地セヴェロモルスクへ到着した最新の大型揚陸艦「イワン・グレン」(135)がバルト海に居た頃、「アカデミック・パシン」から洋上補給を受けた事も有りました。
双方の行動履歴から見て、おそらくは2018年10月初頭あたりでしょう。
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[ロシア海軍の最新鋭大型揚陸艦イワン・グレンは北方艦隊基地セヴェロモルスクへ到着した]

フィンランド湾での試験を終えた「アカデミック・パシン」は、2018年11月初頭にバルチースクへ移動しました。
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その後、バルチースクをベースにバルト海で洋上試験を行なっていました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンの洋上試験は最終段階へ入る]

2019年1月中旬には、バルト海に居た北方艦隊偵察艦「ユーリー・イワノフ」への洋上給油を行なったようです。
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[ロシア海軍北方艦隊の最新偵察艦ユーリー・イワノフは長期任務を終えてセヴェロモルスクへ帰投した]

2019年1月下旬、バルト艦隊航空隊艦載ヘリコプターKa-27PSが協力し、ヘリコプターによる船上への貨物移送試験が実施されました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはヘリコプターによる船上への貨物移送試験を行なった]

その後もバルト海で洋上試験は続けられ、6月4日には、同じくバルト海で洋上試験中のプロジェクト22350フリゲート「アドミラル・カサトノフ」への洋上給油を行ないました。
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[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはバルト海で最新鋭フリゲート"アドミラル・カサトノフ"への洋上給油を行なった]

今後、「アカデミック・パシン」は、7月28日のロシア海軍の日観艦式へ参加した後、ムルマンスクへ向かいます。

「アカデミック・パシン」ロシア海軍への引き渡しは、2019年秋に予定されています。


現在、ロシア海軍給油船(補給艦)で最も新しい船は、1982年9月末に2隻揃って就役したプロジェクトREF-675中型海洋給油船「ヴャージマ」「カーマ」(2隻とも北方艦隊所属)ですから、実に37年ぶりの新造船となります。

プロジェクトREF-675中型海洋給油船「ヴャージマ」
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プロジェクトREF-675中型海洋給油船「カーマ」
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準同型船のプロジェクト23131汎用海洋給油船は、クリミア半島ケルチ市ザリフ造船所で2014年12月26日に2隻が同時起工され、建造中です。
[クリミア半島のケルチ造船所でロシア海軍の為の新たな給油船2隻が起工された]
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