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ロシア海軍のヘリ空母ミストラル航空隊はソマリア海賊と戦う

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『イズベスチヤ』より
2012年11月12日0時03分配信
【ロシアの「ミストラル」航空グループは海賊に対する訓練を行なう】

国防省は、ジブチへの「アリガートル」派遣を準備する。

国防省中央機関及び軍事産業委員会は、ソマリア海賊に対する戦闘において、艦載ヘリコプターKa-27及びKa-29、そして更には最新攻撃機Ka-52「アリガートル」を使用する計画を検討している。
国防省の情報提供者が『イズベスチヤ』へ伝えた所によると、近い内に、このテーマに関する提案が、新たな国防相セルゲイ・ショイグのデスク上に乗せられる。

以前、彼の前任者アナトーリー・セルジュコフは、フランスの航空基地ジブチへの2機の偵察航空機Il-38の配備を依頼した。
それは、3機のフランス空軍航空機と共に合同海賊対処作戦に参加する為である。
フランス国防相ジャン・イヴ・ル・ドリアンは、直ちに、この提案への支持を表明し、ロシア軍当局は、同エリアにおける航空機の存在の拡大計画を開始する。

「特に興味深いのは、南緯度におけるKa-52の活動です」
情報提供者は『イズベスチヤ』に対し、力説した。

艦上ヘリコプターは、輸送機An-124「ルスラン」ジブチへ運ぶ事が出来る。
飛行場の滑走路の長さは、それを可能にする。
更には、分解すれば、従来の民間輸送機で運ぶ事もできると情報提供者は語った。
極端なケースとして、ヘリコプターは、軽量ヴァージョン及び燃料搭載量を増加し、空中給油を行なえば、自力で同地まで飛行できる。

ロシア空軍は、東アフリカ中東を良く知っている。
空軍総司令部の士官の一人は、『イズベスチヤ』に、北方艦隊の航空基地キぺロヴォに配置されている遠距離大洋偵察航空機Tu-142は、定期的に同エリアの水域をパトロールしていると伝えた。
Il-38の乗員は、フランスの航空基地ジブチを今年に訪れ、そこに馴染むだろう。

『イズベスチヤ』の対談者によると、海軍は、同エリアの広範囲の水上スペースという戦闘条件を、最新のKa-52で「打ち破る」必要性について関心を持っている。
将来的に「アリガートル」は、フランスから購入されるヘリコプター空母「ミストラル」航空グループの基礎となるべきである。

「バルト海と黒海は、最新のヘリコプター空母にとっては狭すぎるし、北海は、非常に不利な天候条件を有しております。
熱帯の海は、海洋配置ヘリコプター部隊の戦術を開発するのに、遥かに適しております」

士官は説明した。

しかし、他の海軍航空隊の高位の士官は、Ka-52の艦上ヴァージョンは、まだ軍備採用されておらず、現実に存在するのは地上型のみであり、しかも、その数は限られていると『イズベスチヤ』に説明した。

地政学的問題高等学院副校長コンスタンチン・シフコフは、国防相の計画は、東アフリカロシアの旗を示したいという願望によるものであると『イズベスチヤ』へ説明した。

「このエリアに居れば、より長期に渡り滞在する事が可能となり、私共としては非常に有利であります。
まず第一に、この重要なエリアにおける作戦行動の発展。
第二に、我々のパイロットは、戦闘、或いは戦闘に近い条件での常時活動を必要とします。
第三に、我々のフランスのパートナーとの直接の接触は非常に重要です。
彼らの海外拠点におけるインフラストラクチュア、技術、物資及び機器の保障を発展させるという点において。
航空隊は、艦隊よりも、水上において、より多くのコントロール機能を有しております」

シフコフは説明した。

『新ロシア軍』の著者の一人であるアントン・ラヴロフは、ロシア空軍の為の別のプラス面について語った。

「艦上ヘリコプターは、発進数が限られており、地上の飛行場へ配置した方が、より積極的に飛行し、より多くの訓練が行なえます。
演習と訓練だけでは、本物の敵に対する戦闘活動の経験を積めません。
特に興味深いのは、アリガートルの戦闘行動です」

彼は『イズベスチヤ』に話した。


[ヘリ空母ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
[ロシア海軍向けミストラル型の詳細が公表された]

ロシア海軍ヘリ空母「ミストラル」航空隊は、予備機を含め30機のヘリコプターで構成されます。
[ロシア海軍のミストラルの航空群は30機のヘリコプターで構成される]

ロシア海軍「ミストラル」に搭載される艦載ヘリコプターKa-52Kの試作機の製造は、今年8月初頭から開始されています。
[艦載ヘリコプターKa-52K試作機の製造が開始された]

記事中でも触れられていますが、前ロシア連邦国防相アナトーリー・セルジュコフは、10月末にフランスを訪問し、ジブチへの対潜哨戒機Il-38配置を提案しています。
[ロシアはIl-38のジブチ配備をフランスに求めた]
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今回の記事は、これに加え、ロシア海軍ヘリ空母「ウラジオストク」型(「ミストラル」型)の航空隊のヘリコプタージブチに進出させ、ソマリア海賊対処任務に当たらせるというものです。

むろん、ヘリコプターの航続距離は短いので(Ka-52の場合520km)、ジブチからの飛行だけでは行動範囲も限られます。
当然、ヘリ空母自身もアデン湾へ進出し、対海賊パトロールを実施する事になるでしょう。
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いずれにせよ、ロシア海軍がフランスから導入し、2014年と2015年に就役するヘリ空母「ミストラル」(「ウラジオストク」型)の主な任務は、アデン湾でのソマリア海賊対処になります。

以前、ロシア海軍広報官は、こう述べています。
「アデン湾における海軍力使用の実務経験は、海賊対処任務を解決する為には、遠方及び大洋ゾーンでの行動を意図し、ヘリコプター複合体を装備する艦が最も適している事が示されました」
[ロシア海軍は2013年にアデン湾海賊対処任務を再開する]

16機のヘリコプターを搭載する「ミストラル」は、この条件に最も適していると言えます。


記事中に登場するキペロヴォ航空基地(ヴォログダ-18)は、公式サイトも有ります。
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【キペロヴォ航空基地公式サイト】

【キペロヴォ航空基地のTu-142】
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