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2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜の修理は9月に始まる

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『タス通信』より
2019年8月14日14時13分配信
【水中装置「ロシャリク」の修理は今秋に始まる】
モスクワ、8月14日/タス通信

7月1日のバレンツ海での火災の結果、損傷した水中装置AS-31(ロシャリク)の復旧は、艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』(アルハンゲリスク州、セヴェロドヴィンスク)で今秋に始まる。
『タス通信』は水曜日にロシア連邦防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。

「今秋にロシャリクは、修理を行なう為、ズヴェズドーチカへ曳航されます」
対談者は話した。
「最初の段階では、装置から水を排水し、チタン製船体と内部区画の不具合の検出を行ない、その後に修理及び復旧の為の作業の技術設計が組成されます」
彼は説明した。

修理には、海洋工学中央設計局『ルビーン』(一部の機器を開発)と『セヴマシュ』(装置の製造者)の専門家が参加する。

『タス通信』の対談者は、予備評価では、深海装置のシステムは損傷を受けていると述べた。
「御話し出来るのは、火災による重大な損傷の為、電波電子機器、自動化装置、音響及び航法機器、居住保障システムは交換されるという事です」
彼は話した。
ステーションのチタン製船体の被害が、どれほど激しいのかは未だ明らかではない。

『タス通信』が他の防衛産業企業体の情報提供者から伝えられたように、『セヴマシュ』は、火災による損傷で交換する為、新たなチタン製船体の一部を製造している。

『タス通信』は、情報提供者から提示された情報を公式に確認していない。



2019年7月1日、ロシア海軍「科学研究深海装置」は、ロシア領海内での海底調査中に火災が発生し、乗組員14名が死亡しました。

『タス通信』より
2019年7月2日22時29分配信
【7月1日のロシア連邦水域での深海装置の火災により14名の船員が死亡した】

事故を起こした「科学研究深海装置」は、北方艦隊基地セヴェロモルスクへ到着しました。
『タス通信』より
2019年7月2日22時4分配信
【火災が発生した深海装置はセヴェロモルスクに居る】

ロシア国防省は、事故を起こした「科学研究深海装置」の名前などは一切公表していませんが、プロジェクト10831「ロシャリク」原子力深海ステーションのようです。
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原子力深海ステーションAS-12は、1988年頃にセヴェロドヴィンスク造船所『セヴマシュ』で起工され、2003年8月頃に進水、2004年~2010年頃に就役しました。
船体はチタン製です。
同級に関しては詳細は未だ不明です。
艦名については「AS-31」という説も有り、今回の『タス通信』の記事では、AS-31と記されています。

明確な要目も不明ですが、水中排水量は2100トン、全長は60メートル、幅は7メートル、水中速力は30ノット、潜航深度は少なくとも1000m以上(未確認情報によれば最大6000m)、乗員は25名と推定されています。
ロシア海軍第4世代通常動力潜水艦プロジェクト677「ラーダ」とほぼ同サイズの小型原潜のようです。

「ロシャリク」級特務原潜AS-12(AS-31?)
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ロシャリク級は、以前には戦略原子力潜水艦プロジェクト667BDR(デルタIII級)K-129を改造した特殊用途原子力潜水艦プロジェクト09786(デルタ・ストレッチ)BS-136「オレンブルク」を母艦としており、同艦に搭載されて海洋で行動していました。
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2012年9月には北極圏へ行き、ロモノソフ海嶺メンデレーエフ海嶺の海底を調査しています。
『イズべスチヤ』より
2012年10月29日配信
【軍用原子力バチスカーフ「ロシャリク」は北極圏を探った】

北極圏で行動する母艦BS-136「オレンブルク」(2012年9月27日)
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ロシャリクは、2015年にも2回の遠距離航海を行なっています。
[ロシア海軍の特務原潜ロシャリクは2015年に2度の遠征を行なっていた]

2016年12月末にプロジェクト09787特殊用途原子力潜水艦「ポドモスコヴィエ」が再就役してからは、同艦を母艦としているようです。
[改造を終えた特務原潜ポドモスコヴィエ(モスクワ州)はロシア海軍へ引き渡された]


事故後、ロシャリク搭載母艦(プロジェクト09787特殊用途原子力潜水艦BS-64「ポドモスコヴィエ」)北方艦隊基地セヴェロモルスクへ入港しています。
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この事故の詳細や事故を起こした艦の名前は相変わらず公表されていませんが、ロシア国防省は、事故で死亡した乗員14名の名前は公表しています。
[2019年7月1日のロシア海軍の深海調査原潜の火災事故で死亡した乗組員14名の氏名が公表された]
死亡したのは艦長を始めとして佐官クラスの年長者が殆どですが、おそらくは、火災事故発生の際、若い乗組員(つまり、将来のロシャリク運用の中核となる人々)を助ける為、自分達が犠牲になったのでしょう。
(ロシャリクの標準乗員は25名なので、おそらく11名程度が生存している)

火災事故で損傷したロシャリクですが、2019年9月にはセヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』へ回航され、修理が開始されます。

機関部分以外の損傷は激しく、船体の一部を含め、殆どの機器は交換される事になるようです。
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