ロシア海軍の最新鋭非金属複合材料対機雷防衛艦ウラジーミル・イェメリヤノフは造船所の岸壁で係留試験を開始した

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア連邦国防省情報・マスコミュニケーション部発表
2019年8月31日11時45分配信
【サンクトペテルブルクで最新対機雷防衛艦「ウラジーミル・イェメリヤノフ」の係留試験が始まった】
最新のプロジェクト12700対機雷防衛艦「ウラジーミル・イェメリヤノフ」の乗組員と『中部ネヴァ川造船工場』(『統合造船業営団』へ加入)試験実施チームは、係留試験プログラムの遂行へ着手した。
ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将は、海軍副総司令官(軍備担当)イーゴリ・ムハメトシン中将から試験開始の報告を受けた。
報告を聞いたニコライ・エフメノフ大将は、艦の試験の全ての段階のクオリティの保障、更には工場及び『統合造船業営団』の代表との緊密な連携に注意を払った。
係留試験開始までに、艦への主要な機構の設置が実施され、居住保障システム及び制御システムの取り付け作業が行なわれた。
試験中に工場の専門家は、乗組員の協力下で基礎的な全艦内システムと主動力装置システムの動作の点検を行なう。
始動調整作業と並行して、艦の居住区の内装と職務部屋の整備が行なわれる。
係留試験プログラムが完了すれば、工場の試験実施チームと乗組員は、掃海艦の工場航行試験へ着手し、その後、国家試験を行なう。
対機雷防衛艦「ウラジーミル・イェメリヤノフ」の海軍への引き渡しは、2019年末に計画されている。
「ウラジーミル・イェメリヤノフ」は、ロシア海軍の発注の下、『中部ネヴァ川造船工場』で建造されたプロジェクト12700の3番艦である。
2016年、同社は、海軍へ同プロジェクトのトップ艦である掃海艦「アレクサンドル・オブホフ」を引き渡した。
2019年1月、プロジェクト12700の最初の生産艦である掃海艦「イワン・アントノフ」の艦上へ海軍旗が掲揚された。
これらの艦を建造している『中部ネヴァ川造船工場』は、世界の造船所に同じものが無い最新のロシア技術を用いている。
同プロジェクト艦は、世界最大級の真空注入方式による一体ガラス繊維強化プラスチック製船体というユニークさを持つ。
船体の質量は金属製よりも小さく、その強度は著しく増大している。
このような船体は、全く腐食する事は無く、その就役期間は、通常の運用を順守すれば事実上無制限である。
プロジェクト12700は、中央海洋設計局『アルマーズ』が海軍の為に開発した。
この艦は、最新の海洋機雷へ対処する為に意図されており、それを海域の水上や、海底で探知できる。
この艦は、危険なゾーンへ入らずに、遠距離で危険な物体を捜索、確認、そして破壊を実行できる。
[参照]
プロジェクト12700対機雷防衛艦
排水量-約890トン
全長-62メートル
幅-10メートル
最大速力-16ノット
乗組員-44名
機雷へ対処する為、艦は様々な種類の掃海具、更には遠隔操作及び自動無人水中装置を使用できる。
ロシア海軍の新世代掃海艦プロジェクト12700「アレクサンドリト」は、船体が一体成型のガラス繊維強化プラスチックで造られており、世界最大級の非金属船体艦です。


従来のソ連/ロシア海軍の掃海艦は、外洋で活動する海洋掃海艦と、自軍基地周辺海域で活動する基地掃海艦に分けられていましたが、プロジェクト12700は、基地掃海艦と海洋掃海艦を統合するものとなり、「対機雷防衛艦」とも呼ばれています。
(当初は基地掃海艦に分類されていたが、2016年に海洋掃海艦となった)

プロジェクト12700対機雷防衛艦の4番艦(記事中では3番艦と記されているが、本来は4番艦)「ウラジーミル・イェメリヤノフ」は、サンクトペテルブルクの『中部ネヴァ川造船工場』で2017年4月20日に起工されました。
[ロシア海軍の為の新型掃海艦ウラジーミル・イェメリヤノフはサンクトペテルブルクで起工された]
2019年4月2日に屋内造船台より出渠しました。
[ロシア海軍の新世代掃海艦ウラジーミル・イェメリヤノフは屋内造船台から出渠した]
2019年5月下旬までに黒海艦隊の将兵で乗組員が編成され、サンクトペテルブルクで研修を開始しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア南方軍管区(黒海艦隊)広報サービス発表
2019年5月20日13時1分配信
【黒海艦隊は掃海艦「ウラジーミル・イェメリヤノフ」の乗組員を形成する】
2019年5月30日、「ウラジーミル・イェメリヤノフ」は進水しました。
[ロシア海軍の新世代掃海艦ウラジーミル・イェメリヤノフは進水した]
その後は造船所の岸壁で艤装工事が進められ、8月31日に係留試験が始まりました。
係留試験が終わった後、「ウラジーミル・イェメリヤノフ」の洋上試験(工場航行試験と国家試験)が始まります。
「ウラジーミル・イェメリヤノフ」のロシア海軍への引き渡しは、2019年末に予定されています。
就役後は黒海艦隊へ編入されます。
プロジェクト12700対機雷防衛艦は、現在までに6隻が起工され、2隻がロシア海軍へ引き渡されています。
1番艦「アレクサンドル・オブホフ」は、2011年9月22日に起工され、2014年6月27日に進水し、2016年12月9日に就役し、バルト艦隊へ編入されました。

[新世代掃海艦プロジェクト12700の1番艦アレクサンドル・オブホフはロシア海軍へ就役し、バルト艦隊へ編入された]
2番艦「ゲオルギー・クルバトフ」は、2015年4月24日に起工され、2016年5月下旬までにガラス繊維強化プラスチックの船体の形成は完了しました。
[ロシア海軍の為の新型掃海艦ゲオルギー・クルバトフは起工された]
[ロシア海軍の為の新型掃海艦ゲオルギー・クルバトフの船体が形成される]
その後、艦内へ各種機器を設置する為、船体周辺に足場が組まれましたが、2016年6月7日夜に火災が発生しました。
[ロシア海軍の為に建造中の新型掃海艦ゲオルギー・クルバトフで火災が発生した]
この為、「ゲオルギー・クルバトフ」の進水と就役は延期される事になり、後続の3番艦が先に就役しました。
3番艦「イワン・アントノフ」は2017年1月25日に起工され、2018年4月25日に進水し、2019年1月26日に就役し、黒海艦隊へ編入されました。

[新世代掃海艦イワン・アントノフはロシア海軍へ就役し、黒海艦隊へ編入された]
5番艦「ヤーコフ・バリャーエフ」は2017年12月26日に起工されました。
[ロシア海軍の為の新型掃海艦ヤーコフ・バリャーエフはサンクトペテルブルクで起工された]
6番艦「ピョートル・イリイチョーフ」は2018年7月25日に起工されました。
[ロシア海軍の為のアレクサンドリト級掃海艦6番艦ピョートル・イリイチョーフは起工された]
7番艦アナトーリー・シレモフは、2019年7月12日に起工されました。
[ロシア海軍の為の第7のプロジェクト12700掃海艦アナトーリー・シレモフが起工された]
現在の所、プロジェクト12700対機雷防衛艦は、計12隻の建造が承認されています。
[ロシア海軍の為の新世代掃海艦アレクサンドリト級は12隻が建造される]
最終的には、30隻以上の建造が計画されています。
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