ウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2021年末までにロシア海軍へ復帰する

『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2019年9月4日8時24分配信
【ロシア唯一の航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」は修理の後、2021年に海軍へ復帰する-『統合造船業営団』トップ】
ウラジオストク(ルースキー島)、9月4日、インタファクス
『統合造船業営団』は、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」を期限内に修復するつもりである。
『インタファクス』は、『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフより伝えられた。
「未だ如何なる延期も有りませんし、我々の計画は生きてます。
他の決定が採択されるとすれば、それは確定してからです。
何も変更は無く、2021年のままです」
ラフマノフは、「アドミラル・クズネツォフ」の修理完了時期に関する質問に答え、こう話した。
以前、ロシア連邦海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将は、ロシア海軍は航空母艦を近代化の後、2021年の受領を見込んでいると『インタファクス』へ述べた。
「スケジュールは、チェックして承認しておりますのでね。
航空母艦については、全てスケジュール通りに行なわれておりますよ」
彼は、6月25日にフォーラム『アルミヤ-2019』で話した。
「ええ、当然ですよ」
エフメノフは、海軍は、航空母艦を修理の後、2021年の受領を見込んでいるのかという質問に答え、こう話した。
以前、ラフマノフは、巡洋艦の使い古された主要動力システムは近代化されると述べた。
5月、『統合造船業営団』のトップは、「アドミラル・クズネツォフ」は新たな対空防衛システムと通信システムを得ると話した。
海軍の代理人は、近代化中に艦は対空防衛複合体「パーンツィリ」の海上版、新たなボイラー、ポンプ、新たな航空システムを得ると述べた。
航空母艦の技術的準備状態の回復及び近代化の為の艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』との国家契約を、軍は2018年4月に締結した。
「アドミラル・クズネツォフ」は2017年2月に地中海航海からセヴェロモルスクへ戻った。
海軍の歴史上初めて、艦上戦闘機Su-33及びMiG-29KRはシリアで戦闘動作を行なった。
公式データによると、「アドミラル・クズネツォフ」は、航海中に2機の艦上戦闘機を失った。
事故は着艦へのアプローチの際に発生し、飛行士は脱出した。
メディアは、シリア沿岸への航海でロシア航空母艦が濃い煙を出していた事を指摘した。
2018年10月30日未明、第82艦船修理工場(ロスリャコヴォ村、ムルマンスク)に在る世界最大級の浮きドックの1つであるPD-50から「アドミラル・クズネツォフ」が出渠した。
事故の結果、浮きドックのクレーンの1つが航空母艦の甲板へ落下した。
重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は、1982年に黒海造船工場の造船台で起工された。
艦は50機以上の飛行装置を搭載できる。
その兵装構成には、対艦有翼ミサイル「グラニート」、高射ミサイル複合体「クリノーク」と高射ミサイル砲複合体「カシターン」、自動艦載機関砲、更には対潜兵器システムが在る。
ロシア海軍唯一の「航空母艦」~ウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(1991年1月21日就役)の近代化改装の契約は、2018年4月23日に締結され、その直後に工事が開始されました。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の契約は締結された]
近代化改装の全容は明らかにされていませんが、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理システム、航空機管制複合体、火災探知システムなどは新型に変更される事になるようです。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな通信システムを受け取る]
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは航空隊と戦闘情報管理ステムを近代化する]
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな航空機管制複合体を装備する]
近代化改装を終えた「アドミラル・クズネツォフ」は、少なくとも20年間の就航が可能となります。
つまり、2040年頃までは現役に留まるという事です。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは近代化改装後、少なくとも2040年まで現役に留まる]
プロジェクト11435重航空巡洋艦(アドミラル・クズネツォフ)を設計した『ネフスキー計画設計局』により、「アドミラル・クズネツォフ」の新たな近代化改装案が作成されました。
[ネフスキー計画設計局はロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装の為の準備を進めている]
「アドミラル・クズネツォフ」には、新たな淡水化装置が設置されます。
「アドミラル・クズネツォフ」は、近代化改装により新型の高射ミサイル砲複合体「パーンツィリ-M」が装備されます。
[近代化改装されるウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは新たな高射ミサイル砲複合体パーンツィリ-Mを装備する]
更には、ロシア海軍の新型フリゲート・プロジェクト22350(「アドミラル・ゴルシコフ」型)で初めて採用される最新の高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」の装備も計画されています。
[近代化改装されるウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは最新高射ミサイル複合体ポリメント-リドゥートを装備する]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装の費用については、これまでに様々な数字が出ていましたが、結局、約600億ルーブルに落ち着いたようです。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の費用は約600億ルーブルになる]
「アドミラル・クズネツォフ」の機関(蒸気タービン)自体は変更されませんが、蒸気発生用のボイラーは8基全てが交換される事になり、2018年7月下旬からボイラーの撤去作業が始まりました。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフのボイラーの撤去作業が始まった]
蒸気タービン機関自体も大規模な修復が行なわれます。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは蒸気タービンエンジンを修復する]
「アドミラル・クズネツォフ」は、8基のボイラー(KVG-4)を、新たに製造されたボイラーKVG-4と交換します。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2018年9月4日8時0分配信
【情報筋:「アドミラル・クズネツォフ」の新たなロシア製ボイラーは25年と見積もられている】
新たなボイラーKVG-4の寿命は25年になります。
「アドミラル・クズネツォフ」は、2018年9月17日にムルマンスク北東のロスリャコヴォの第82艦船修理工場の大型浮きドックPD-50へ入渠しました。


[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは大型浮きドックPD-50へ入った]
2018年10月30日未明、大型浮きドックPD-50へ入渠していた「アドミラル・クズネツォフ」の出渠作業中、突然に電力供給が止まり、浮きドックは沈没しました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを修理中の浮きドックPD-50で事故が発生した]
この事故により、浮きドックPD-50のクレーン1基が「アドミラル・クズネツォフ」の飛行甲板へ落下し、甲板を損傷しました。
具体的には、飛行甲板に直径5メートル程の穴が開きました。
「アドミラル・クズネツォフ」は、事故後にロスリャコヴォからムルマンスクの第35艦船修理工場へ回航され、第24埠頭(「アドミラル・クズネツォフ」がいつも停泊している場所)へ係留されました。
10月30日の浮きドック事故で「アドミラル・クズネツォフ」が受けた損傷は計52ヶ所に及び、その修復費用は約7000万ルーブルと見積もられています。
[浮きドックPD-50の沈没事故による航空母艦アドミラル・クズネツォフの損傷復旧には約7000万ルーブルの費用が掛かる]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装には約600億ルーブルが計上されているので、7000万ルーブルは、その1パーセントにも満たない数字です。
更に、損傷を受けた部分は、元々近代化改装工事の過程で交換する予定だった箇所なので、損傷を受けようが受けまいが、どのみち近代化改装予算の範囲内で交換する事になります。
従いまして、今回の事故の損傷復旧の為、新たに7000万ルーブルを出費する必要は無いわけです。
[浮きドックPD-50の沈没事故による航空母艦アドミラル・クズネツォフの損傷復旧の為の追加支出の必要は無い]
「アドミラル・クズネツォフ」の飛行甲板へ落下したクレーンは、12月下旬に撤去されました。
[浮きドックPD-50の沈没事故により航空母艦アドミラル・クズネツォフの飛行甲板へ落下したクレーンは完全に撤去されている]
「アドミラル・クズネツォフ」の火災探知システムは、予算の都合の為か、半分だけが新型に取り換えられることになるようです。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは火災探知システムの半分を新型に替える]
更には、電力供給体系(ケーブル線)の一部も更新されます。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは電力供給体系を部分的に更新する]
「アドミラル・クズネツォフ」から取り外された蒸気タービンエンジンは、サンクトペテルブルクの『キーロフ-エネルゴマシュ』などへ送られ、修復されます。
その完了は2020年に予定されています。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの蒸気タービンエンジン修復は2020年に完了する]
「アドミラル・クズネツォフ」は、近代化改装により機関の能力もアップするようです。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな能力を得る]
2019年3月、『統合造船業営団』総裁アレクセイ・ラフマノフ氏は、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装工事の完了と海軍への引き渡しが、2021年末よりも3~4ヶ月遅れるかもしれないと発言しました。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の完了は2021年末よりも3~4ヶ月遅れるかもしれない]
3~4ヶ月遅れるかもしれない理由は、「アドミラル・クズネツォフ」が入渠できるドックの確保に関する問題です。
[ロシアは事故で沈没した大型浮きドックPD-50に代わる新たな浮きドックの外国への発注は計画していない]
現在の『第35艦船修理工場』の乾ドックのサイズでは、「アドミラル・クズネツォフ」は入渠できませんが、これを、同艦が入渠できるサイズに拡張する計画は以前から有り、これが実行に移される事になりました。


[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの為のムルマンスク艦船修理工場の乾ドック結合・拡張工事の準備は進められている]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装工事の主要部分は、2020年中には完了できる見込みです。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装工事の主要部分は2020年中に完了する]
2019年6月10日、ロシア海軍総司令部及びロシア造船業界の代表は、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装工事の問題に関する(非公開の)会議をムルマンスクで開催し、この場で、『第35艦船修理工場』の乾ドック拡張後、「アドミラル・クズネツォフ」をそこへ入渠させる事が正式に決定したようです。
[ロシア海軍総司令部と造船業界は重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装に関する問題を討議する]
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは、ムルマンスク艦船修理工場の乾ドック拡張後にドック入りする]
『第35艦船修理工場』の乾ドック拡張工事は、2019年7月以降に始まりました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為のムルマンスク艦船修理工場の乾ドック結合・拡張工事は既に始まっている]
この工事には少なくとも1年は掛かるので、工事完了は最短でも2020年7月になるでしょう。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為のムルマンスク艦船修理工場の乾ドック結合・拡張工事には1年掛かる]
ただし、この時期まで「アドミラル・クズネツォフ」の改装工事が中断されるわけでは無く(現に、今現在も中断されていない)、水上に浮いたままでも出来る工事は進められます。
「アドミラル・クズネツォフ」が『第35艦船修理工場』の新たな乾ドックへ入渠できるのは、早くても2020年7月になるでしょう。
乾ドックで水面下部分の工事を行ない、更に、他の全ての作業が完了するのは早くても2021年前半になるでしょうし、それから洋上試験を行ない、同年末までにロシア海軍へ引き渡すのは、かなりギリギリのスケジュールでしょう。
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