ロシア海軍は空母を必要とする
- カテゴリ:ロシア新世代航空母艦

『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【海軍総司令官:ロシアは現代的な航空母艦を必要とする】
2012年11月23日
ロシア海軍は現代的な航空母艦を必要としており、ロシア連邦海軍の為の将来航空母艦プロジェクトの開発は2020年までに完了する。
金曜日、海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ大将は述べた。
「僕の個人的な意見ですが、僕達にとって、それ(新たな航空母艦の建造)は、とても必要な事です」
『インタファクス』は、チルコフ氏の談話を引用して報じた。
彼によると
「新たな航空母艦の風貌を決定する作業が行なわれています」
「僕達は、航空母艦に関し、何が最も重要であるのかを理解しています。
それは、このようなクラスの艦を保有する必要があるという事です」
チルコフ氏は話した。
彼は、航空母艦の設計開発は、2020年までの国家軍備プログラムの枠内において完了させなければならない事を指摘した。
『ヴィズグリャード』紙が木曜日に報じた所によれば、チルコフ大将はロシア国防長官セルゲイ・ショイグ氏に同行して東方軍管区へ出張し、太平洋艦隊の施設と軍部隊の管理部を訪れた。
今年7月、チルコフ氏は、適切な科学研究機関が航空母艦の風貌を開発する作業を受注しており、同プロジェクトの為の資金供給が行なわれていると発表した事は注目に値する。
2009年、海軍総参謀部は、ロシア海軍の発展コンセプトにおいて、2050年~2060年までの間に、5~6個の航空母艦グループを創設すると表明した。
航空母艦の建造は、2012年に開始される事が期待されていた。
その一方、前ロシア国防長官アナトーリー・セルジュコフは、以前に、ロシア国防省は、2020年までは航空巡洋艦と、その為の保障船を建造する計画は存在せず、その為の資金は提供されないと述べた。
「同プログラム建造の為の資金は、2020年までの国家軍備プログラムには有りません」
セルジュコフは、ロシア海軍の為の新たな航空母艦の建造計画に関する質問に答え、こう話した。
セルジュコフによると、ロシア国防省は「今のところ、将来航空母艦の風貌と、その為の技術的機能について、全く了承していません」
ロシア海軍の編制には、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」が存在している。
ソヴィエト連邦時代、航空母艦の建造基盤は、ニコラーエフ(ウクライナ)の黒海造船工場にのみ存在した。
そこ(黒海造船工場)では、5隻の航空巡洋艦が建造された。
それは「キエフ」、「ミンスク」、「ノヴォロシースク」(プロジェクト1143及び11433)、「バクー」(プロジェクト11434)と「トビリシ」(プロジェクト11435)である。
最初の3隻の就役期間は15年未満であり、海軍の編制から除外された後、海外に売却された。
後の2隻は、ソヴィエト連邦解体後に「アドミラル・ゴルシコフ」と命名され、インド海軍へ「ヴィクラマーディティヤ」として提供された。
「アドミラル・クズネツォフ」は北方艦隊に就役している。
更に2隻の(航空)巡洋艦~「ワリャーグ」と「ウリヤノフスク」は完成しなかった。
最初の船体は中国に売却され、「遼寧」と命名されて同国の最初の航空母艦となった。
2隻目は解体された。
ウラジオストクには、2隻のヘリコプター空母「ミストラル」型の為の係留所が用意される。
金曜日、チルコフ氏は、2隻の「ミストラル」は太平洋艦隊へ配備され、係留所は改装されると語った。
「最初の2隻のミストラルは太平洋艦隊へ配備されます。
専門建設者によりウラジオストクの第33埠頭は再建されます。
僕達は、作業のクオリティの高さを確認しました」
彼は話した。
彼によると、太平洋艦隊は、ヘリコプター空母「ミストラル」と、カムチャツカへ新たな潜水艦を配置する為のプログラムを開発する。
以前、海軍総参謀部は、2隻のヘリコプター揚陸ドック艦「ミストラル」型は太平洋艦隊へ配備され、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名すると発表した事が想い起される。
2隻の「ミストラル」建造に関するモスクワ-パリ間の契約は、昨年6月に署名された。
契約額は12億ユーロである。
ロシア海軍の為の最初のヘリコプター空母は今年2月に起工され、2014年にロシアへ納入される予定である。
ロシア海軍の為の2隻目の「ミストラル」は、2015年に受領されるだろう。
汎用ヘリコプター揚陸ドック艦「ミストラル」は、基準排水量16500トン、満載排水量21300トン、ドック満載で32300トン、船体の最大長は210メートルである。
18ノットの速力を発揮する事が可能である。
彼は18ノット以上の速度に達することができる。
航行範囲は最大で20000海里になる。
乗組員数は160名であり、更にヘリコプター空母は450名の人員、13両の主力戦車或いは70台の車両を輸送できる。
艦のヘリコプターグループには16機(8機の揚陸ヘリと8機の強襲戦闘ヘリ)が含まれる。
飛行甲板上では、同時に6機のヘリコプターの発着が可能である。
ロシア兵器輸出公社(ロソボロネクスポルト)とフランスのDCNS社は、2011年6月に最初の2隻のヘリコプター空母「ミストラル」を建造する為の契約に署名した。
株式会社「統合造船業営団」は、DCNSの下請け業者であるサン-ナゼールのSTXフランス造船所の下請けとして関わっている。
バルト工場では、双方の艦の艦尾部分となる船体構造の約40パーセントに当たる24個の船体ブロックが建造される。
その後、ブロックはフランスへ送られ、双方の艦の組み立てが完了する。
最初のヘリコプター空母は、2015年にロシア海軍の編制へ加入しなければならない。
2005年5月、当時のロシア海軍総司令官ウラジミール・クロエドフ上級大将が新空母建造計画を発表して以来、歴代のロシア海軍総司令官は、将来航空母艦Перспективный Авианосец建造について繰り返し表明しています。
ウラジーミル・クロエドフ上級大将(1997年11月7日~2005年9月4日在任)
[ロシアは2015年まで空母を建造しない]
ウラジーミル・マソリン上級大将(2005年9月5日~2007年9月11日在任)
[ロシアは、2015年以降に新たな航空母艦を建造する]
[ロシア新空母]
[ロシア空母は潜水艦と水上艦を保護しなければならない]
ウラジーミル・ヴィソツキー大将(2007年9月12日~2012年5月5日在任)
[ロシアは、2060年までに5~6隻の空母を保有する]
[ロシアは、北方艦隊と太平洋艦隊に5~6隻の空母を配備する]
[ロシア海軍は、海洋航空複合体を構築する]
[ロシア新空母、2020年までに完成?]
[ロシア海軍の新空母は2020年以降に建造を開始する]
そして、今年(2012年)5月6日にロシア海軍総司令官に就任したヴィクトル・チルコフ中将は、6月下旬、改めて空母建造計画を続行すると表明しました。
[ロシアは新たな駆逐艦及び巡洋艦及び空母の建造計画を続行する]
将来航空母艦は、当初は「40000トン以上50000トン未満」の原子力艦(改ヴィクラマーディティヤ級)として構想されていました。
[ロシア、2012~2020年に中型空母を4隻起工?]


しかし、2009年初頭には、60000トン級の原子力空母になりました。
[ロシアは、5~6万トンの新世代原子力空母を建造する]
[ロシアは、新たな空母建造を設定する]

更に大型になる可能性も有ります。
(80000トン級になるという情報もある)
未完の原子力重航空巡洋艦「ウリヤノフスク」(満載排水量80000トン)

将来航空母艦(Перспективный Авианосец)の計画当初は、トランポリン台(スキージャンプ発艦)の原子力空母を建造するつもりだったようですが、最近では、カタパルト装備案が有力視されているようです。

ロシア将来航空母艦は、2020年までは建造に着手されませんが、「ネヴァ川計画設計局」による設計作業は進んでおり、その為の資金は「2011-2020年の国家軍備プログラム」から拠出されています。
将来航空母艦は、セヴェロドヴィンスクの「生産合同セヴマシュ」とサンクトペテルブルクの「バルト工場」で分割建造され、「セヴマシュ」で最終組立が行なわれます。
生産合同セヴマシュ

バルト工場

将来航空母艦の搭載機は、第5世代戦闘機、ヘリコプター、そして無人航空機になります。
[ロシア第5世代戦闘機T-50(PAK FA)の海軍版が開発される?]
無人航空機は、偵察、早期警戒などに使用されます。
スホーイの無人航空機BAS-62・早期警戒機型「ゾンド-2」


スホーイの無人航空機BAS-62・偵察機型「ゾンド-1」


スホーイの無人機。
右からゾンド-2(早期警戒機)、ゾンド-1(偵察機)、ゾンド-3(偵察機)

記事後半は、ヘリコプター空母「ミストラル」型について書かれています。
チルコフ提督は、今年7月下旬に、「ミストラル」型はウラジオストク市へ配備されると表明しています。
[ヘリ空母ミストラル型はウラジオストク市へ配置される]
ウラジオストク市の金角湾の係留所の再建も進められています。
[ウラジオストク金角湾の水上艦係留所は再建される]
- 関連記事
スポンサーサイト