ロシアは新たな原子力空母を開発する
- カテゴリ:ロシア新世代航空母艦
『ロシアの声』日本語版より
2012年11月26日18時16分配信
【ロシア 海上安全保障の鍵となる原子力空母開発】
その元記事。
『イタル-タス通信』より
【ロシアは国家安全保障の重要な要素である原子力航空母艦を開発する】
モスクワ、11月26日/イタル-タス
ロシアは、約2年間で我が国の海洋における国家安全保障の最も重要な要素の一つでなければならない将来重航空巡洋艦を設計する。
これは、今日(11月26日)、ロシア連邦政府軍事産業委員会の情報提供者が記者に伝えた事である。
「ロシア海軍は、将来航空巡洋艦を必要としております。
それは、10年は先んじていなければならず、アメリカ合衆国や他の国で使用されている現在の航空母艦と同様のものであってはなりません」
彼は指摘した。
「この艦の主な要件は、多方面の手段であり、それは全ての環境~宇宙、空中、海上、地上及び水中空間において行動できなければなりません」
情報提供者は強調した。
「この航空巡洋艦は、艦の管理/艦の指揮/強力な打撃手段の機能を組み合わせなければなりません。
それは、単なる航空機運送艦ではありません。
それは、異軍種間グループ部隊の行動を、地上/沿岸/海洋及び大洋という軍事行動舞台において、これらのグループの編制の一つに加入して統制しなければなりません。
航空母艦に関する問題を解決する為には、軌道ステーショングループとの相互連携が必要です。
これにより、目標に関する情報データを受信し、海軍の水上及び水中部隊、海洋航空隊、沿岸軍、戦略部隊を含む空軍の航空隊、陸軍グループといった各種軍部隊へ中継します」
情報提供者は説明した。
打撃任務に関して、彼は続けて述べた。
将来航空母艦は、それを遂行できなければならない。
「海洋及び地上目標に対する打撃には、艦上航空隊と、更には、艦に標準装備される打撃ミサイルシステム及び複合体が使用されるでしょう」
艦は、必要な場合、異なる度合いの武力紛争に関与する事になるだろう。
以前は、「沿岸-海洋」型の紛争のみであった。
情報提供者は更に、こう述べた。
将来航空母艦に必要な条件は、事実上無制限の自律航行能力であり、それは、原子力反応炉の設置により得られる。
それは、乗組員の交代によってのみ制限を受ける。
他には、全天候下における行動が可能である事と、高い戦闘耐久性がある。
「航空母艦は、独立して行動するわけではなく、空母打撃グループを構成します。
それは、少なくとも6隻の戦闘艦と、1-2隻の潜水艦が護衛任務を遂行します」
情報提供者は指摘した。
彼によると、航空母艦の排水量は50000トンを上回る。
これは、ロシア海軍の戦闘編制に在る唯一の航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」よりは大きいが、現代のアメリカ合衆国の航空母艦よりは小さい。
それは、約80機の艦上機を搭載しなければならない。
情報提供者は、更に述べた。
航空母艦の外観の予備設計開発は、広範囲の造船機関及び設計局の協力を得ている。
それは、サンクトペテルブルクに在るロシア連邦国防省第1中央科学研究所及びクリロフ記念中央科学研究所の主導により進められている。
「作業は、絶え間なく高度の緊張状態に在ります。
艦の設計は2018年までに完了させなければならず、その後に建造を開始しなければなりません」
彼は強調した。
11月23日、ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ大将は、ロシアが近代的な航空母艦を必要としていると述べた。
彼は、航空母艦プロジェクトの開発は、2020年までの国家軍備プログラムの枠組みで完了させると詳細を述べた。
7月、総司令官は、海軍が新たな航空母艦の建造を計画していると述べた。
「設計局は、新たな航空巡洋艦を設計するという仕事を受けています」
彼は続けて説明した。
「既に、この作業の為の資金が割り当てられています」
現在、ロシア海軍の編制には、ただ1隻の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」が北方艦隊の軍備として留まっている。
総司令官によると、同艦は、彼らの任務を遂行している。
2020年までに近代化を行なうプログラムが存在する。
昨年11月に当時のロシア連邦国防長官アナトーリー・セルジュコフが発表したように、2020年までの国家軍備プログラムにおいて、航空母艦建造の為の資金は提供されない。
「私共は、その風貌と、その為の技術的機能について、全く了承していません」
彼は強調した。
「私共は、2012年末までに予備設計を得るでしょう。
その後でのみ、この件についてお話しする事が出来ます」
(2012年11月26日15時05分配信)
記事中で触れられていますが、ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ大将は、11月23日に改めて航空母艦の必要性について述べました。
[ロシア海軍は空母を必要とする]
ロシアの新世代航空母艦は、Перспективный Авианосец(将来航空母艦)と呼ばれていますが、今回の記事に登場する「ロシア軍事産業委員会の情報提供者」は、「航空巡洋艦」という呼称を使っています。
(航空母艦という呼称も使っていますが)
この記事では全く触れられていませんが、以前の将来航空母艦設計案は、ロシア海軍総司令部の不興を買い、受け入れられませんでした。
[ロシア海軍総司令部は原子力空母設計案を拒否した]
この「将来航空母艦」は、ロシア海軍総司令部曰く「1980年代に計画されたウリヤノフスクと大して変わらない」という事でした。

それで「将来航空母艦」の設計は仕切り直しとなり、今度は2018年までに最終設計案を纏める事になりました。
つまり現時点では、ロシア「将来航空母艦」がどのような艦になるのかは全くの白紙状態という事です。
「ロシア軍事産業委員会の情報提供者」は、「将来航空母艦」が
「アメリカ合衆国や他の国で使用されている現在の航空母艦と同様のものであってはならない」
と述べていますが、以前の設計案が、まさに「現在のアメリカ空母と同様のもの」だったわけです。

ロシア海軍に提示されたのは、この図の1(蒸気カタパルト装備案)です。
今回の記事によると「ロシア軍事産業委員会の情報提供者」は、「将来航空母艦」には打撃ミサイル複合体が装備されるべきだと主張しています。
打撃任務は、艦載機のみならず、航空母艦自身でも遂行できなければならないと。
この場合の「打撃任務」は、陸上に対するものも含まれるようです。
仮に、この「ロシア軍事産業委員会の情報提供者」が望む通りの「将来航空母艦」が設計されたのならば、「カリブル」有翼ミサイルが装備されることになるのでしょうか。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

今回の記事によると、将来航空母艦を中核とする空母打撃グループは、6隻の水上戦闘艦と1~2隻の潜水艦で構成されるとの事です。
水上戦闘艦は、将来駆逐艦とアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート或いはその発展型、潜水艦は、ヤーセン級多用途原潜になるのでしょうか。
2012年11月26日18時16分配信
【ロシア 海上安全保障の鍵となる原子力空母開発】
その元記事。
『イタル-タス通信』より
【ロシアは国家安全保障の重要な要素である原子力航空母艦を開発する】
モスクワ、11月26日/イタル-タス
ロシアは、約2年間で我が国の海洋における国家安全保障の最も重要な要素の一つでなければならない将来重航空巡洋艦を設計する。
これは、今日(11月26日)、ロシア連邦政府軍事産業委員会の情報提供者が記者に伝えた事である。
「ロシア海軍は、将来航空巡洋艦を必要としております。
それは、10年は先んじていなければならず、アメリカ合衆国や他の国で使用されている現在の航空母艦と同様のものであってはなりません」
彼は指摘した。
「この艦の主な要件は、多方面の手段であり、それは全ての環境~宇宙、空中、海上、地上及び水中空間において行動できなければなりません」
情報提供者は強調した。
「この航空巡洋艦は、艦の管理/艦の指揮/強力な打撃手段の機能を組み合わせなければなりません。
それは、単なる航空機運送艦ではありません。
それは、異軍種間グループ部隊の行動を、地上/沿岸/海洋及び大洋という軍事行動舞台において、これらのグループの編制の一つに加入して統制しなければなりません。
航空母艦に関する問題を解決する為には、軌道ステーショングループとの相互連携が必要です。
これにより、目標に関する情報データを受信し、海軍の水上及び水中部隊、海洋航空隊、沿岸軍、戦略部隊を含む空軍の航空隊、陸軍グループといった各種軍部隊へ中継します」
情報提供者は説明した。
打撃任務に関して、彼は続けて述べた。
将来航空母艦は、それを遂行できなければならない。
「海洋及び地上目標に対する打撃には、艦上航空隊と、更には、艦に標準装備される打撃ミサイルシステム及び複合体が使用されるでしょう」
艦は、必要な場合、異なる度合いの武力紛争に関与する事になるだろう。
以前は、「沿岸-海洋」型の紛争のみであった。
情報提供者は更に、こう述べた。
将来航空母艦に必要な条件は、事実上無制限の自律航行能力であり、それは、原子力反応炉の設置により得られる。
それは、乗組員の交代によってのみ制限を受ける。
他には、全天候下における行動が可能である事と、高い戦闘耐久性がある。
「航空母艦は、独立して行動するわけではなく、空母打撃グループを構成します。
それは、少なくとも6隻の戦闘艦と、1-2隻の潜水艦が護衛任務を遂行します」
情報提供者は指摘した。
彼によると、航空母艦の排水量は50000トンを上回る。
これは、ロシア海軍の戦闘編制に在る唯一の航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」よりは大きいが、現代のアメリカ合衆国の航空母艦よりは小さい。
それは、約80機の艦上機を搭載しなければならない。
情報提供者は、更に述べた。
航空母艦の外観の予備設計開発は、広範囲の造船機関及び設計局の協力を得ている。
それは、サンクトペテルブルクに在るロシア連邦国防省第1中央科学研究所及びクリロフ記念中央科学研究所の主導により進められている。
「作業は、絶え間なく高度の緊張状態に在ります。
艦の設計は2018年までに完了させなければならず、その後に建造を開始しなければなりません」
彼は強調した。
11月23日、ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ大将は、ロシアが近代的な航空母艦を必要としていると述べた。
彼は、航空母艦プロジェクトの開発は、2020年までの国家軍備プログラムの枠組みで完了させると詳細を述べた。
7月、総司令官は、海軍が新たな航空母艦の建造を計画していると述べた。
「設計局は、新たな航空巡洋艦を設計するという仕事を受けています」
彼は続けて説明した。
「既に、この作業の為の資金が割り当てられています」
現在、ロシア海軍の編制には、ただ1隻の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」が北方艦隊の軍備として留まっている。
総司令官によると、同艦は、彼らの任務を遂行している。
2020年までに近代化を行なうプログラムが存在する。
昨年11月に当時のロシア連邦国防長官アナトーリー・セルジュコフが発表したように、2020年までの国家軍備プログラムにおいて、航空母艦建造の為の資金は提供されない。
「私共は、その風貌と、その為の技術的機能について、全く了承していません」
彼は強調した。
「私共は、2012年末までに予備設計を得るでしょう。
その後でのみ、この件についてお話しする事が出来ます」
(2012年11月26日15時05分配信)
記事中で触れられていますが、ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ大将は、11月23日に改めて航空母艦の必要性について述べました。
[ロシア海軍は空母を必要とする]
ロシアの新世代航空母艦は、Перспективный Авианосец(将来航空母艦)と呼ばれていますが、今回の記事に登場する「ロシア軍事産業委員会の情報提供者」は、「航空巡洋艦」という呼称を使っています。
(航空母艦という呼称も使っていますが)
この記事では全く触れられていませんが、以前の将来航空母艦設計案は、ロシア海軍総司令部の不興を買い、受け入れられませんでした。
[ロシア海軍総司令部は原子力空母設計案を拒否した]
この「将来航空母艦」は、ロシア海軍総司令部曰く「1980年代に計画されたウリヤノフスクと大して変わらない」という事でした。

それで「将来航空母艦」の設計は仕切り直しとなり、今度は2018年までに最終設計案を纏める事になりました。
つまり現時点では、ロシア「将来航空母艦」がどのような艦になるのかは全くの白紙状態という事です。
「ロシア軍事産業委員会の情報提供者」は、「将来航空母艦」が
「アメリカ合衆国や他の国で使用されている現在の航空母艦と同様のものであってはならない」
と述べていますが、以前の設計案が、まさに「現在のアメリカ空母と同様のもの」だったわけです。

ロシア海軍に提示されたのは、この図の1(蒸気カタパルト装備案)です。
今回の記事によると「ロシア軍事産業委員会の情報提供者」は、「将来航空母艦」には打撃ミサイル複合体が装備されるべきだと主張しています。
打撃任務は、艦載機のみならず、航空母艦自身でも遂行できなければならないと。
この場合の「打撃任務」は、陸上に対するものも含まれるようです。
仮に、この「ロシア軍事産業委員会の情報提供者」が望む通りの「将来航空母艦」が設計されたのならば、「カリブル」有翼ミサイルが装備されることになるのでしょうか。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

今回の記事によると、将来航空母艦を中核とする空母打撃グループは、6隻の水上戦闘艦と1~2隻の潜水艦で構成されるとの事です。
水上戦闘艦は、将来駆逐艦とアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート或いはその発展型、潜水艦は、ヤーセン級多用途原潜になるのでしょうか。
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