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ロシア海軍は2019年に55基の超音速対艦ミサイル"オーニクス"を受領する

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『タス通信』より
2019年10月18日20時54分配信
【(ロシア)国防省は2019年に38基の有翼ミサイル「オーニクス」を受け取った】
モスクワ、10月18日/タス通信

科学生産合同『機械製造』は、今年初めからロシア連邦軍へ38基の有翼ミサイル「オーニクス」を引き渡し、更に17基が現在、受取者へ輸送されている。
金曜日の軍需製品統一受領の日に同社の設計主任アレクサンドル・デルガチェフは述べた。

「2019年、株式会社・軍事産業団体・科学生産合同『機械製造』は、国家防衛発注の枠組みにおいて、沿岸複合体バスチオンの3組の大隊一式及び対艦有翼ミサイル"オーニクス"55基の納入を計画しております」
彼は話した。

デルガチェフによると、現時点で、複合体「バスチオン」の2組の大隊一式が引き渡されている。
第3の大隊一式は製造され、駐留場所へ輸送中である。
更に、38基のミサイル「オーニクス」が納入済みであり、17基が製造され、受取者へ輸送されている。

今日において、ミサイルは300kmの最大攻撃距離を有しており、最大飛翔速度は高空でマッハ2.5、弾頭部分の重量は250kgである。
複合体水上艦及び潜水艦の兵装である。

9月、ロシア連邦防衛産業企業体の情報提供者は、科学生産合同『機械製造』が最大射程距離800kmで海上及び地上目標への攻撃精度が増大した海上配置有翼ミサイル「オーニクス-M」を開発していると『タス通信』へ伝えた。
ミサイルの飛翔試験は数ヶ月以内に始まる。




【株式会社「軍事産業団体・科学生産合同『機械製造』」】

[新世代超音速対艦ミサイル「オーニクス」(ヤーホント)]

汎用対艦有翼ミサイル「オーニクス」(輸出名「ヤーホント」)の開発は1981年6月5日に正式決定され、1982年3月10日には科学生産合同『機械製造』による予備設計案が採用されました。

潜水艦による水中発射試験を行なう為、プロジェクト670M原子力潜水艦K-452が1986年6月25日から1992年7月10日までプロジェクト06704改造を実施しました。
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K-452(1992年6月3日からB-452)は、1992年から1998年まで「オーニクス」ミサイルの発射試験に従事しました。

水上艦による水上発射試験の為にプロジェクト1234小型ロケット艦「ナカト」が改造され、1996年から発射試験が行なわれました。
[「オーニクス(ヤホント)」試験艦「ナカト」]
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「ナカト」による「オーニクス」の発射試験は、1990年代末に資金難で中断された後2000年代初頭に再開され、「オーニクス」は2002年9月23日付でロシア海軍へ軍備採用されました。
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一方、「オーニクス」搭載艦として、プロジェクト885「ヤーセン」原子力水中巡洋艦プロジェクト22350フリゲートの建造も始まりましたが、財政難などにより工事は遅延し、就役は大幅に遅れました。
[プロジェクト885ヤーセン原子力水中巡洋艦]
[プロジェクト22350フリゲート(アドミラル・ゴルシコフ」型)]

ロシア海軍原子力水中巡洋艦「セヴェロドヴィンスク」は、就役前の2013年11月上旬に初めて「オーニクス」を発射しています。
[原子力潜水艦セヴェロドヴィンスクは超音速対艦ミサイル「オーニクス」を発射した]

「オーニクス」は、近代化改装されるプロジェクト11442重原子力ロケット巡洋艦、プロジェクト949A原子力水中巡洋艦にも搭載されます。
[ロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ナヒーモフの近代化改装は2022年末に完了する]
[近代化改装されるロシア海軍太平洋艦隊のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級)の1隻目は2021年以降に復帰する]

「オーニクス」は、対地/対艦ミサイル「カリブル」と共用の汎用ミサイル垂直発射機3S-14UKSKから発射されます。
[汎用ミサイル垂直発射機3S-14UKSK]

「オーニクス」の地上発射型である「バスチオン」は、ロシア海軍の各艦隊(北方艦隊、太平洋艦隊、黒海艦隊、バルト艦隊)へ配備されています。


「バスチオン」は、2016年11月15日にシリア領内テロ組織を攻撃しています。
現在の所、これが「オーニクス」系列ミサイルの唯一の実戦での使用例です。

[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア領内のテロ組織へ巡航ミサイルを発射した]


軍備採用から10年以上経過した2016年初頭までに、科学生産合同『機械製造』「オーニクス」のソフトウェア面での改良を行ないました。
[ロシア海軍の超音速対艦ミサイル"オーニクス"は近代化される]

科学生産合同『機械製造』は、「オーニクス」の更なる改良を計画しています。
[ロシア海軍の超音速対艦ミサイル"オーニクス"は更に改良される]
[ロシア海軍の為の超音速打撃ミサイル"オーニクス-M"の開発は進められている]

「オーニクス-M」は、ミサイルのサイズや最大速度は、元の「オーニクス」と同一ですが、最大射程距離が800kmに延伸され、攻撃精度も向上します。

元の「オーニクス」の射程距離が300kmですから、2.6倍に増大する事になります。

一見すると無理があるようですが、元々、「オーニクス」(ヤーホント)の射程距離300kmというのは、技術的理由ではなく、政治的理由(ミサイル技術管理レジームにより、最大射程300kmを超えるミサイルは外国へ輸出できない)により決められたものです。
輸出を考慮せず、自国(ロシア海軍)だけで使うのならば、射程を300kmに抑える必要は無いわけです。


科学生産合同『機械製造』は、ソヴィエト連邦時代には2種類の超音速対艦ミサイルを開発しています。
[長距離打撃ミサイル複合体バザーリト/ヴルカーン]
[有翼ミサイル複合体グラニートは軍備採用30周年を迎えた]

現在は、極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」の開発を進めています。
[極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」]
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