fc2ブログ

空母とフリゲートに対するロシア海軍の不満には根拠が無い

11月下旬、『イズベスチヤ』紙は、ロシア海軍将来航空母艦及び新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」に関し、否定的な記事を配信しました。

[ロシア海軍総司令部は原子力空母設計案を拒否した]

[新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」の建造は長期化する]

これに対し、ロシア造船業の総元締めである「統合造船業営団」の職員が反論しました。


『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【航空母艦及びフリゲートに対する海軍の苦情には根拠が存在しない-統合造船業営団】
2012年11月30日

メディアで公開された文章に書かれた海軍の匿名の情報提供者の海軍プロジェクト将来航空母艦への不満と、フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」の不充分な居住条件というのは、馬鹿馬鹿しい内部暴露である。
この表明は、『中央海軍ポータル』特派員に統合造船業営団職員からもたらされた情報に基づくものである。

メディアで公表された談話は、2つの材料から成り、どちらとも海軍総司令部の高位の情報提供者の意見が反映されている。

最初の材料は、将来航空母艦への批判の表明である。

海軍が「ソ連邦解体により建造されなかった古いソヴィエトの航空母艦ウリヤノフスクを提案された」とメディアが記した事に関し、統合造船業営団の代理人によれば、2011年に行なわれた将来航空母艦、より正確には海洋航空複合体の開発コンセプトの入札での勝者として国防省は、航空艦の豊富な経験を有する専門計画組織~ネヴァ川計画設計局、総合科学機関~クルイロフアカデミー中央科学研究所、現在はクルイロフ国立科学センター~を選択しなかった。

「それ故に、全て負の結果がもたらされました」
対談者は『中央海軍ポータル』へ示唆した。
「クルイロフではないだけに、航空母艦そのものには全般的に進歩は無く、彼らは、ネヴァ川計画設計局の助言を受ける事を余儀なくされました。
クルイロフ中央科学研究所がソヴィエト連邦時代に完成させたプロジェクトをベースとして、それに最新の機器と兵装を追加して"改作"したのです。
海軍の要望が艦の為の必要条件を形成するという事は覚えておく必要が有ります。
柔らかい言い方をすれば、それは具体性を欠いておりました」



「私は、更に、海軍のもう一つの苦情についてお答えしたいと思います-フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"に関する事に」
対談者は『中央海軍ポータル』に表明した。
「フリゲートの建造は、サンクトペテルブルクのセーヴェルナヤ・ヴェルフィで続行されています。
ここでは、イズベスチヤ紙から引用させて頂きます。
"海軍将兵は更に、艦のレイアウトと人員の配置に問題があると言う。
水兵室はあまりにも小さく、通路と他の空間は機器に溢れていると彼らは話している"」


「私は叫びたい気持ちです。
あなた方(海軍)は、以前に何をしたのですか?
誰が、業界に技術的な条件を与えたのですか?
このプロジェクトを承認したのは?
海軍では無いとでも言うのですか?
工場は、海軍の統制及び監視なくして海軍が発注した艦を建造する事など出来ません。
こんな苦情を言うのは、彼ら自身にのみ出来る事であり、我が海軍の総司令部が心理的に動揺していると断定できます。
数年前、何らかの理由により、幾つかの要望が出されました。
友人(海軍)よ、貴方が望むように決定して良いのでしょうか?
沢山の武装を持ち、ステルス要素を有する伝統的な大型の弾薬艦か、海軍旗の為の巡航定期船に?」


「砲に関する造船業への苦情にも、根拠は有りません」
統合造船業営団の代理人は確認した。
「長期間に渡り資金割り当てが無い場合の、当然の結果ですよ、時間が掛かるのは。
国防省は、それ(苦情)が甘っちょろい事を承知しているでしょう。
ゴルシコフは発注のトップであり、兵器や機器のサンプルで経験を蓄積する為の技術的な練習台なのです。
それは海軍総司令部だって知っておりますよ。
前海軍総司令部は、全てを海軍へ委任し、全ての解決策を受け入れ、国防省の管轄へ送りました。
私共は、現在の総司令部が、ビジネス上の問題を解決してくれる事を期待します。
誰も、噂で世論を乱す筆頭になる事など望んではいないでしょう。
デマ新聞は、それを全て示す事が出来る筈ですがね」

対談者は、『中央海軍ポータル』に対し、こう総括した。


以前の報道によると、ロシア海軍総司令部は、「将来航空母艦」として、ソ連邦時代のプロジェクト11437「ウリヤノフスク」と実質的に変わらない艦を提示されたとの事です。

今回の記事によると、それは、ロシア国防省が、空母の経験が無い機関(記事中では具体名は出ていない)に概念設計を依頼した為であるとの事です。

おそらく、これを決めたのは前国防長官アナトーリー・セルジュコフでしょう。

あえて「ソ連邦時代からの専門家(ネヴァ川計画設計局)」にやらせず、「航空艦」の設計経験を持たない設計局に将来航空母艦を設計させたという事です。

ネヴァ川計画設計局ソヴィエト連邦時代から一連の「航空巡洋艦」の設計を手掛けていましたが、それだけに、以前の癖が残って保守的な航空母艦しか設計できないだろうと見たのでしょう。

セルジュコフ氏は、「素人」ならではの大胆な発想で斬新な「将来航空母艦」が設計される事でも期待していたのでしょうが、出てきた案は、旧ソ連邦時代の「航空巡洋艦」の焼き直しに過ぎませんでした。
12-1124h.jpg


「統合造船業営団」職員は、フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」に対するロシア海軍の不満に対しても反論しています。
同艦のレイアウトに問題があり、水兵室が狭いという不満に対し、「統合造船業営団」職員は、
「それは海軍が承認した事だろう。なのに、今さら文句を言うのか?」
と反論しています。

ロシア海軍が望む「沢山の武装を持つ大型の弾薬艦」とするのならば、水兵室が狭くなるのは当然だろうという事です。
12-1130a.jpg

『イズべスチヤ』は、以前にも新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」が11月末にバレンツ海で航海試験を開始すると報じ、「統合造船業営団」職員に否定されています。
[新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は11月末に航海試験を行なう]

[新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は11月末に航海試験を実施しない]

おそらく、この時の「統合造船業営団」職員は、今回の記事と同一人物でしょう。

この時、「統合造船業営団」職員は
「イズべスチヤ紙の記者は、これまでにも、海軍の情報提供者とやらに何度も振り回されてきました」
と述べましたが、今回の件も同様という事でしょう。
関連記事
スポンサーサイト