2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜AS-31は修理の為にセヴェロドヴィンスクへ運ばれた
- カテゴリ:ロシア海軍の特務原潜

『タス通信』より
2019年11月2日配信
【情報筋:水中装置「ロシャリク」は修理の為にセヴェロドヴィンスクへ運ばれた】
モスクワ、11月2日/タス通信
7月1日の火災で損傷した原子力水中装置AS-31(ロシャリク)は、修理を行なう為に艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』(セヴェロドヴィンスク)へ曳航された。
『タス通信』は防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。
「深海装置AS-31は、修理を行なう為に『ズヴェズドーチカ』へ運ばれました。
修理作業の量と、長期に渡るであろうその期間は、特務潜水艦の損傷の検査を行なった後に判明します」
対談者は話した。
『ズヴェズドーチカ』は、『タス通信』が情報提供者より提示された情報へのコメントを拒んだ。
以前、防衛産業の他の情報提供者は、「ロシャリク」は復旧の為、今秋に『ズヴェズドーチカ』へ曳航されると『タス通信』へ伝えた。
この時、対談者は、潜水艦から水を排水し、チタン製船体と内部区画の不具合の検出を行なうと説明した。
情報提供者は、予備評価では、AS-31のシステムは損傷を受けている事を指摘した。
7月2日、ロシア連邦国防省は、軍用科学研究深海装置で7月1日に火災が発生し、それ故に14名の士官潜水艦乗員が死亡したと発表した。
装置はセヴェロモルスク海軍基地へ運ばれ、委員会は事故原因の調査作業を始めた。
秘密の潜水艦の存在は、2003年に『セヴマシュ』の社内新聞である新聞『コラベル』の発表により知られるようになった。
この時、同時に非公式名「ロシャリク」についても言及された。
新聞によると、労働者は、新たな潜水艦の複数の球形の区画から成る強度船体が、1970年~1980年代の人気アニメ映画の主役であるボールから成る馬の玩具に似ている事から、このニックネームを付けた。
2019年7月1日、ロシア海軍の「科学研究深海装置」は、ロシア領海内での海底調査中に火災が発生し、乗組員14名が死亡しました。
[ロシア海軍の深海調査原潜で火災が発生し、乗員14名が死亡した]
ロシア国防省は、事故を起こした「科学研究深海装置」の名前などは一切公表していませんが、プロジェクト10831「ロシャリク」原子力深海ステーションのようです。

原子力深海ステーションAS-12は、1988年頃にセヴェロドヴィンスク造船所『セヴマシュ』で起工され、2003年8月頃に進水、2004年~2010年頃に就役しました。
船体はチタン製です。
同級に関しては詳細は未だ不明です。
艦名については「AS-31」という説も有り、今回の『タス通信』の記事では、AS-31と記されています。
明確な要目も不明ですが、水中排水量は2100トン、全長は60メートル、幅は7メートル、水中速力は30ノット、潜航深度は少なくとも1000m以上(未確認情報によれば最大6000m)、乗員は25名と推定されています。
ロシア海軍の第4世代通常動力潜水艦プロジェクト677「ラーダ」とほぼ同サイズの小型原潜のようです。
「ロシャリク」級特務原潜AS-12(AS-31?)



ロシャリク級は、以前には戦略原子力潜水艦プロジェクト667BDR(デルタIII級)K-129を改造した特殊用途原子力潜水艦プロジェクト09786(デルタ・ストレッチ)BS-136「オレンブルク」を母艦としており、同艦に搭載されて海洋で行動していました。


2012年9月には北極圏へ行き、ロモノソフ海嶺とメンデレーエフ海嶺の海底を調査しています。
『イズべスチヤ』より
2012年10月29日配信
【軍用原子力バチスカーフ「ロシャリク」は北極圏を探った】
北極圏で行動する母艦BS-136「オレンブルク」(2012年9月27日)

ロシャリクは、2015年にも2回の遠距離航海を行なっています。
[ロシア海軍の特務原潜ロシャリクは2015年に2度の遠征を行なっていた]
2016年12月末にプロジェクト09787特殊用途原子力潜水艦「ポドモスコヴィエ」が再就役してからは、同艦を母艦としているようです。
[改造を終えた特務原潜ポドモスコヴィエ(モスクワ州)はロシア海軍へ引き渡された]

事故後、ロシャリクと搭載母艦(プロジェクト09787特殊用途原子力潜水艦BS-64「ポドモスコヴィエ」)は北方艦隊基地セヴェロモルスクへ入港しました。


この事故の詳細や事故を起こした艦の名前は相変わらず公表されていませんが、ロシア国防省は、事故で死亡した乗員14名の名前は公表しています。
[2019年7月1日のロシア海軍の深海調査原潜の火災事故で死亡した乗組員14名の氏名が公表された]
死亡したのは艦長を始めとして佐官クラスの年長者が殆どですが、おそらくは、火災事故発生の際、若い乗組員(つまり、将来のロシャリク運用の中核となる人々)を助ける為、自分達が犠牲になったのでしょう。
(ロシャリクの標準乗員は25名なので、おそらく11名程度が生存している)
火災事故で損傷したロシャリクはセヴェロドヴィンスクの艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』へ回航され、修理が開始されます。

[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜の修理は9月に始まる]
機関部分以外の損傷は激しく、船体の一部を含め、殆どの機器は交換される事になるようです。
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